孤独死の現実は、想像を絶するものがあります。
あなたや大切な人がこの状況に直面するかもしれないと思うと、心が重くなりますね。
しかし、この記事を読むことで、孤独死による遺体の変化とその放置がもたらす深刻な影響を理解できます。
遺体が溶けるまでの過程や、それに伴う室内環境の悪化、特殊清掃の必要性など、知っておくべき重要な情報が満載です。
この知識を得ることで、万が一の事態に備え、適切な対応を取る準備ができます。
知りたいことから読む
孤独死によって体が溶けるまでの変化とは
孤独死によって体が溶けるまでの変化は、下記が挙げられます。
- 死斑が見えてくる
- 死後硬直が起きる
- 腐敗が始まる
- 体温の低下が起きる
- 遺体に腐敗性水泡ができる
- 遺体から腐敗ガスが発生する
- 皮下気腫状態となる
それぞれ、紹介します。
【関連記事】孤独死した遺体や現場はどうなる?遺体を発見したときの対処法を解説
変化1.死斑が見えてくる
孤独死が発生した際、死後に体に起こる変化のひとつとして、「死斑が見えてくる」という現象があります。
死斑とは、心臓の鼓動が停止したことで血液の循環が途絶え、私たちの体が眠っている間に重力の影響で血液が体の下部に集まってしまう症状を指します。
たとえば、床に横たわった状態で死亡した場合、背中やお尻など体の下部に見られることが一般的です。
この死斑が出現することにより、血液の凝固や皮膚の色素沈着が進行し、最終的には体色が紫褐色に変化します。
天候や周囲の環境により異なるものの、一般的には死後2~6時間で現れ始めます。
孤独死が起きてしまった場合、死斑の出現は亡くなった方がどの程度の期間遺体の状態であったかを推測する重要な手がかりです。
同時に、孤独死の現場であることを確認するための指標ともなります。
そして、いかに早期に発見し、適切な対処を行うかが重要となります。
変化2.死後硬直が起きる
死後硬直とは、人間が死亡すると約3時間後から体が硬くなる現象を指します。
この硬直は、筋肉に含まれる微量の酸素を使って運動エネルギーを供給するATPという物質が不足することにより生じます。
具体的な例として、遺体が発見されるタイミングでよく現れる傾向があります。
この段階で、遺体はまるで人形のように硬直し、その姿勢が変わらない状態になります。
また、この時期は死後12時間から24時間ほどで、その後48時間ほどで消失します。
さらに恐ろしいことに、体温低下とともに遺体の変化が次の段階に進みます。
この死後硬直という現象が起こると、遺体の処理が困難になるだけでなく、遺族や関わる人々の精神的な負担も増大します。
したがって、孤独死という悲劇が起きないよう、生前からの対策や予防が重要であると再認識させられます。
変化3.腐敗が始まる
孤独死が起きた際、遺体が腐敗を始める過程は非常に過酷なものとなります。
この段階に至ってしまった遺体は、非常に強い臭いを発し、この臭いが周囲に広がることでようやく発見される孤独死が少なくありません。
発見が遅れると家や部屋全体を腐敗臭が満たし、そこに住むことが不可能な状況になることもあります。
腐敗の一例として、食物を食べながら亡くなってしまい、そのまま家中に食物が散乱している場合、その食物もまた腐敗し、遺体と一緒に非常に強い臭いを放ってしまいます。
また、死者の体から流れ出る体液は床や壁を汚してしまうため、リフォームなどの大規模な修復作業を必要とします。
このように、腐敗が始まる段階になると、遺体とその周囲の環境が大きく悪化してしまいます。
変化4.体温の低下が起きる
死後、体温は徐々に外部環境の温度に近づいていきます。
この変化は、遺体を発見した際の死後時間の推定に有用であり、孤独死の成り立ちを理解する上で欠かせません。
体温の低下は、生物学的な理由から起こります。
生物は一定の体温を維持するために生体反応を行いますが、死亡によりその機能が停止するため、体温は下がり始めます。
特に、高齢者の場合、体温調節機能の低下により、発見が遅れるとさらに体温も下がりやすい状況が生じます。
たとえば冬季に孤独死が発生した場合、室内の暖房が切れると体温の低下は一層速やかに進行します。
また、日数が経つと遺体から触れる冷気は室温を大きく下回ることが多く、孤独死の状況をさらに厳しく感じさせることでしょう。
変化5.遺体に腐敗性水泡ができる
孤独死した遺体が放置されている間、腐敗の過程で遺体に腐敗性水泡ができる現象も発生します。
遺体が腐敗する過程は、自然界の微生物や酵素が作用して、身体を分解していく一連の流れを指します。
腐敗が進行すると、体の組織が膨張し、毛穴や体内から液体またはガス(ふつうは液体に大量のガスが混じったもの)が噴出し、水泡状のものを形成します。
これが腐敗性水泡です。
孤独死が数日以上経つと、遺体に腐敗性水泡が出ることが多くなります。
この場合、すぐに遺体を発見したり、専門の清掃業者に対処してもらわなければ、遺体からの体液漏れや腐敗臭が広がってしまいます。
これにより、周囲の空間は衛生的な問題を引き起こすだけでなく、室内の不動産価値を大きく下げる恐れがあります。
変化6.遺体から腐敗ガスが発生する
孤独死が起こると、孤独死者の遺体からは、腐敗過程に伴って腐敗ガスが発生します。
人間の体には乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌だけでなく、ブドウ球菌や大腸菌などの悪玉菌も存在しているためです。
生前は善玉菌によって体内環境が調節され、悪玉菌の増殖が抑えられています。
しかし、死後に体温が下がり、全身の血流が止まると、生命活動を維持するための免疫機能がなくなるため、悪玉菌が急速に増殖します。
これにより、遺体は腐敗し、ガス状の腐敗物質が発生するわけです。
なお、特有の不快な臭いがあり、これが周囲に漏れ出すと、特定の専門業者でないと対応しきれないほどの環境汚染を引き起こします。
特に閉じた空間での孤独死では、これらの有害ガスが部屋中に広がり、長期間そのままにされると、住宅の価値低下や周辺住民への影響も出てきます。
変化7.皮下気腫状態となる
皮下気腫状態となるという段階に達すると、孤独死による遺体の変化はさらに悪化します。
皮下気腫とは文字通り皮膚の下に気体が溜まってしまう状態を指します。
一般的には外傷や手術などによって起こることが多いのですが、遺体では体内の腐敗ガスが皮膚の下に溜まる形で発生します。
皮下気腫が発生すると遺体は膨張し、異常な形状に膨らむことがあります。
これにより、遺体の特定が難しくなるだけでなく、取り扱いも困難になるため、遺族や清掃業者側にも大きなストレスを与えることになります。
さらに皮下気腫状態になると、腐敗ガスは皮膚からも漏れ出てくるため、臭気問題もさらに深刻化します。
また、皮膚は腐敗によりさらに脆くなっていき、最終的には皮下気腫に溜まったガスが突然噴出することもあります。
このように、遺体が皮下気腫状態になると著しく変形し、その結果、遺体の特定や、そして処理が非常に困難になるでしょう。
孤独死になりやすい人に共通する特徴
この見出しでは、孤独死になりやすい人の特徴について紹介します。
この情報を知っておくことで、自分や周囲の人が孤独死のリスクにさらされていないかを確認し、適切な対策を講じることができます。
もし知らないままでいると、身近な人が孤独死の危険にさらされる可能性が高まり、早期の対策を取るチャンスを逃す恐れがあります。
具体的に紹介する内容は以下の通りです。
- 65歳以上で一人暮らしである
- 認知症が発症している
- セルフネグレクト状態になっている
1つずつ、見ていきましょう。
特徴1.65歳以上で一人暮らしである
65歳以上で一人暮らしの方は孤独死のリスクが高いとされています。
その理由は、一人暮らしの高齢者が体調を崩したり、突発的な事故に見舞われたりした場合、すぐに助けを求めることが難しいからです。
さらに、社会的な繋がりが少ない高齢者は、長期間誰にも気付かれずに放置される可能性があります。
このような状況を避けるためには、地域社会や家族とのコミュニケーションを維持し、定期的に健康状態をチェックすることが重要です。
また、緊急時に対応できるように、近隣住民や自治体、社会福祉士などの関連機関と連携することも検討してみましょう。
特徴2.認知症が発症している
認知症が発症している人は、孤独死のリスクが高まります。
その主な理由は、認知症患者が日常生活における自己管理能力を失いやすく、身の回りの事を自分で行うことが難しくなるためです。
また、認知症は判断力や記憶力の低下を招くため、危険な状況に陥っても適切に対処できない可能性があります。
具体例として、認知症の高齢者がコンロの火を消し忘れる、薬を飲むのを忘れるなどの事例があります。
このような状況を防ぐためには、家族や介護サービス、地域の支援機関などと連携し、定期的な健康チェックや生活サポートを受けることが大切です。
また、認知症患者の見守りシステムや緊急時に対応できる体制を整えることも重要です。
特徴3.セルフネグレクト状態になっている
セルフネグレクト、つまり自己放任状態にある人は、孤独死のリスクが高くなります。
セルフネグレクトとは、身の回りの世話や日常の健康管理を怠ることで、これは高齢者や心理的・社会的な問題を抱える人々に特に見られます。
その理由は、自己管理能力の低下や孤立感、うつ病等の精神的な問題が背景にあるためです。
たとえば、環境衛生の無視、不適切な食生活、医療の受診を怠るなどがセルフネグレクトの具体例です。
これらの状況は、個人の健康を著しく損なうだけでなく、周囲への危険や迷惑をもたらすことがあります。
このような問題を解決するためには、社会福祉士や地域の支援機関、精神保健の専門家といった専門家の助けが必要です。
また、家族や近隣住民とのコミュニケーションを強化し、孤立を防ぐ取り組みも大切です。
セルフネグレクトの状態にある人々に対して、適切なサポートと注意を提供することが、孤独死のリスクを減らすための鍵となります。
孤独死した遺体を放置することによるデメリットとは
孤独死した遺体を放置することによるデメリットは、下記が挙げられます。
- 室内に強烈な臭いが漂う
- ハエやうじ虫が発生する
- リフォームしないと部屋に住めなくなる
詳しく解説します。
デメリット1.室内に強烈な臭いが漂う
孤独死が起きた場合のひとつ目のデメリットは、室内に強烈な臭いが漂うことです。
死体が放置されると、徐々に腐敗していき、特有の強い臭いが生じます。
この臭いは一度染み付いたまま放置すると、時間が経つほど固定化してしまい、なかなか取り除けなくなります。
具体的な例としては、特に長い期間、死体が放置された場合、その臭いは隣室や下階、あるいは周辺の住宅にも影響を及ぼし、人々の生活環境に深刻な影響を与えることもあるでしょう。
特に集合住宅などでは、ほかの住人にも迷惑をかけてしまうリスクがあります。
したがって、孤独死した場合には、できる限り早く遺体を発見し、適切な処理を行うことが大切です。
デメリット2.ハエやうじ虫が発生する
孤独死の現場では、非常に不快な映像が広がることもあります。
そのひとつが、遺体を求めて集まったハエやうじ虫の発生です。
孤独死の場合、発見されるまでの期間が長いと皮肉なことに遺体はうじ虫の餌となり、その繁殖場所に変わるものです。
ハエやうじ虫は腐敗する物質を好むため、死後の体を溶かす腐敗現象が進行する遺体はまさに格好の対象となるものです。
このため、遺体が発見された部屋はあっという間にハエやうじ虫で溢れかえることとなります。
さらに、これらの昆虫は遺体から発生する細菌を運ぶため、環境衛生上非常に問題です。
ハエが飛んでいく場所全てに細菌をまき散らし、感染病の発生源ともなりかねません。
孤独死のデメリットとして、強烈な臭いだけでなく、このような昆虫の発生も挙げられるわけです。
デメリット3.リフォームしないと部屋に住めなくなる
孤独死してしまった人の家や部屋はそのままにすると、時間とともに遺体からの体液や腐敗臭が部屋中に広がり、リフォームしないと部屋に住めなくなります。
遺体が溶けたり、腐敗ガスが発生したりすると、その影響は床や壁に染みつき、悪臭を放ち続けます。
さらに、体液などが原因で部屋は汚染され、リフォームを行わないと住むことができない状態になります。
このような状況になった場合、適切な清掃や除菌はもちろん、床や壁の修復や張り替えなど、大規模なリフォームが必要です。
臭いや清掃だけでなく、壁紙の張り替えやフローリングの交換など、特殊清掃業者に依頼することで初めて住める状態へと戻せます。
したがって、孤独死された方の部屋は、適切な手続きと清掃によって、再び人が住める状態に戻ると言えます。
孤独死した遺体が溶けるほど発見が遅れるのはなぜ?
次に、孤独死した遺体が長期間発見されずに溶けるような状態に至る理由を解説します。
この内容を理解しておけば、孤独死を防止するための社会的な課題や個人レベルでの対策の重要性を認識することができます。
もし知らないままでいると、孤独死のリスクが身近にあるにもかかわらず、適切な予防策を講じる機会を逃すことになります。
具体的に紹介する内容は以下の通りです。
- 連絡を取り合う身内がいないから
- 近隣住民との関わりが希薄だから
- 突発的な病死が起きたから
それぞれの理由を詳しく見ていきましょう。
理由1.連絡を取り合う身内がいないから
孤独死が起こりやすい一因として、連絡を取り合う身内がいないことが挙げられます。
この理由は、孤立して生活している高齢者や独居者が周囲とのコミュニケーションを失ってしまうことによるものです。
身内や友人との連絡が途絶えることで、彼らが病気や事故に遭遇した場合、周囲に知られることがなく、適切な介入が行われず、結果として孤独死に至る可能性が高まります。
この問題に対処するためには、地域社会や家族が積極的に高齢者の生活に関わることが重要です。
自治体やボランティア団体が定期的に訪問し、孤立を防ぐためのプログラムを実施することも有効です。
さらに、近隣住民が互いに気を配り、異変に気付いた際には速やかに対応する体制を整えることが孤独死を防ぐ上で不可欠です。
理由2.近隣住民との関わりが希薄だから
孤独死が起こりやすい理由の一つとして、近隣住民との関わりが希薄であることが挙げられます。
この状況は、特に都市部での独居高齢者や社会的に孤立している個人に多く見られます。
地域コミュニティや近隣住民との緊密な関係がないため、健康や安全に関する問題が生じた際に、その情報が周囲に伝わりにくく、必要な時に支援を受けることが困難になります。
例えば、隣人が急病や事故に遭遇した際、日常的な交流がなければ、その異変に気づくことが難しく、救助の遅れにつながる可能性があります。
また、社会的孤立はメンタルヘルスの問題を引き起こしやすく、それがさらに孤立を深める悪循環を生むことがあります。
このように、近隣住民から孤立してしまうことによって、孤独死してしまった際の発見が遅れる要因となるのです。
理由3.突発的な病死が起きたから
孤独死が起こりやすいもう一つの理由は、突発的な病死が起きることです。
特に独居高齢者の場合、急激な健康悪化や突然の病気が命を脅かすリスクがあります。
この状況は、予期せぬ病気や事故が発生した際に、周囲の誰も気づかないため、適時に医療介入が行われないことによって引き起こされます。
例えば、心臓発作や脳卒中などの急性疾患は、すぐに治療が必要ですが、独居している高齢者の場合、発症しても誰かに助けを求めることができない状況が生じます。
これは、緊急時にすぐに対応できる家族や友人がいないことに起因します。
地域住民や家族が定期的に連絡を取り合うなどの対策が挙げられます。
このように、突発的な病死によって孤独死の発見が遅れてしまうことがあるのです。
溶けた遺体がある現場を業者が特殊清掃する手順
業者が溶けた遺体のある現場を特殊清掃する手順は、下記が挙げられます。
- 現場の除菌を行う
- 体液による汚染物を処理する
- 汚染箇所の清掃をする
- 家財の搬出作業をする
- 部屋全体の清掃・消臭をする
それぞれの手順を見ていきましょう。
現場の除菌を行う
まず、現場に到着した業者は、感染症の予防のために防護服やマスクなどを着用します。
孤独死が発生すると、遺体から発生する微生物が周囲に広がり、衛生的な問題を引き起こす可能性があるためです。
次に、遺体や体液がある箇所に消毒液を散布し、除菌を行います。
この作業は、細菌やウイルスなどの病原体を殺菌するとともに、悪臭の発生を抑える効果があります。
体液による汚染物を処理する
次に、遺体や体液が付着した物品や家具などを回収し、袋に入れて処理します。
また、床や壁などに染み込んだ体液も、専用の吸引機やスポンジなどで除去します。
業者は専用の薬品や機器を用いて掃除できることから、一般的な処理よりも綺麗にできるのが特徴です。
なお、これらの汚染物は、一般ゴミとして処分できないため、専用の廃棄物処理場に持ち込みます。
汚染箇所の清掃をする
次に、汚染箇所の清掃です。
床や壁などは、高圧洗浄機やブラシなどでこすり洗いし、汚れや臭いを落とします。
また、カーペットやカーテンなどの布製品は、洗濯機や蒸気クリーナーなどで洗浄します。
清掃後は、再度消毒液を散布し、除菌を確認して次のステップです。
家財の搬出作業をする
次に、家財の搬出作業を行います。
遺族の希望に応じて、残った家具や物品を整理し、必要なものは保管し、不要なものは処分します。
また、遺族が新たに住む場合は、模様替えや修繕なども行うこともあるでしょう。
業者によっては、不用品の買取や処分を実施し、依頼費用から差し引くことも可能です。
部屋全体の清掃・消臭をする
最後に、部屋全体の清掃・消臭です。
窓やドアなどを開けて換気し、空気清浄機や消臭剤などで臭いを除去します。
専用の薬剤を使用することにより、市販のものよりも効率よく腐敗臭を取り除けます。
また、床や壁なども拭き掃除し、ほこりや汚れを取り除いて、特殊清掃は完了します。
【関連記事】特殊清掃とは?家庭の掃除との違いや選び方まで徹底解説
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まとめ
孤独死による遺体の変化は、死斑の出現から始まり、腐敗により体が溶けるまで進行します。
この過程は、死後硬直、体温の低下、腐敗ガスの発生などを経て進みます。
放置された遺体は、強烈な臭いや害虫の発生を引き起こし、住居のリフォームが必要になることもあります。
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