「漁師の年収ってどれくらい?給料は安いの?」
「漁師になるにはどうすればいい?」
など、漁師の仕事や収入、なり方について疑問を持っているのではないでしょうか。
テレビ番組で漁師が取り上げられることもあり、漁師の仕事に興味を持っている人は多いです。
そこで本記事では、漁師の仕事や収入に興味がある方向けに、以下4点を紹介しています。
- 漁師の年収
- 漁師になるには
- 漁師の仕事の種類
- 漁師の1日の流れ
この記事を読むことで、漁師の仕事を理解でき、自分に合うかどうか判断しやすくなるでしょう。
ぜひ、ご覧ください。
気になる!漁師の年収とは
漁師の年収はサラリーマンの平均年収よりも安いです。
しかし、漁業の種類や働き方によっては高収入を得ることができます。
ここでは、漁業の種類別や年齢別の平均年収、高収入を得られる漁業を紹介していきます。
【漁業種類別】漁師の平均年収
漁師の平均年収は沿岸・沖合で約200万円〜300万円、遠洋漁業で600万円〜800万円程度です。
沿岸漁業は沿岸部、沖合漁業は200海里水域の範囲内で行う漁業、遠洋漁業は太平洋・大西洋・インド洋などでマグロやカツオを獲る漁業になります。
操業期間が長く過酷な環境の漁ほど、収入は高くなる傾向です。
収入がわかれば、漁師の仕事への理解を深めることができます。
ここでは、漁業種類別の漁師の平均年収について確認していきましょう。
沿岸・沖合漁業
転職サイト「Career Picks」によると、沿岸・沖合漁業の平均年収は200万円〜300万円です。
日本人の平均年収は約440万円なので、一般的なサラリーマンの年収よりは少ないということになります。
月収で考えると月16万円〜25万円程度なので、決して余裕のある収入とは言えません。
遠洋漁業
遠洋漁業の平均年収は600万円〜800万円程度です。
遠洋漁業は操業期間が1ヶ月〜1年程度と長く、規模も大きいため高収入になります。
国家公務員の平均年収が約680万円になるので、遠洋漁業は同等もしくはそれ以上の稼ぎです。
【年齢別】漁師の平均年収
年代別漁師の平均年収は以下のとおりです。※沿岸・沖合・遠洋漁業全体
年代 | 年収 |
---|---|
20代 | 450万円〜570万円 |
30代 | 620万円〜710万円 |
40代 | 800万円〜900万円 |
50代 | 900万円〜950万円 |
60代 | 600万円〜650万円 |
※出展:Career Picks
年齢・経験とともに年齢が上昇し続け、20代〜50代で約2倍です。
しかし、漁師は体力が必要な仕事ということもあり、60代になると50代から300万円程度減少します。
漁師への転職を考える場合は、自身の年齢や体力面に考慮するようにしましょう。
【高収入可】マグロ・カニ漁師
漁師の中で最も収入が高いのが、マグロ・カニ漁師です。
Career Picksによれば、マグロ・カニ漁師の平均年収は800万円〜1,500万円になります。
どちらも遠洋漁業で、数ヶ月間帰宅せずに過酷な漁を行うため高収入です。
少し前のものですが宮城県北部船主協会の公式ブログで、遠洋カニ漁の求人内容について記されていました。http://gyosenin-boshu.net/?eid=52
内容は、アフリカ大陸南部大西洋付近での漁業で航海日数最大60日、陸上作業7日の仕事です。
約50日間の休暇を挟み、またアフリカへと漁に出ます。
この場合の給料が「月額32万円+歩合」、2年後には「40万円+歩合」です。
歩合の金額は明記されていませんが、相当もらえることが予想されます。
このように、他の漁師の仕事より収入が高いのがマグロ・カニ漁師の魅力です。
【副業で高収入】兼業漁師
漁師の中には、漁と他の仕事を両立して生計を立てている人もいます。
漁師の仕事は時間が早く午後以降はスケジュールが空くので、さまざま副業が可能です。
みずほ総合研究所の「副業・兼業の広がりの可能性」によると、本業が漁業で副業をやっている人の業界と割合は次のようになります。
- 漁業:26%
- 農業・林業:23%
- 建設業:8%
- 製造業:8%
- 卸売業・小売業:4%
- 情報通信業:3%
- 宿泊業・飲食サービス業:3%
- 医療・福祉業:3%
- 運輸業・郵便業:2%
- 生活関連サービス業_娯楽業:2%
- 教育・学習支援業:1%
副業で得る収入は人それぞれですが、「漁師の平均年収+副収入」が入るので稼ぐことが可能です。
漁師の年収を高くする・安定させる方法
「独立」をすれば高収入を稼ぐことができます。
漁の利益が自分の稼ぎにダイレクトに反映されるからです。
ここでは、自営・独立した場合の収入面について確認していきましょう。
年収を高くする:自営として独立をする
平成30年度の「漁業経営調査(file:///Users/tsutsumidaijiro/Downloads/e018-30-b.pdf)」によると、1経営体(個人経営体)当たりの漁労収入は840万円です。
年商約840万円であれば十分な稼ぎと言えます。
ただし、油費や漁船・漁具費を差し引いた所得は約250万円です。
少なく見えるかもしれませんが、自営の場合は節税などもありますし、所得と手取り額は異なります。
自営として独立をすれば年商約840万円以上稼ぐことも可能です。
ただし、独立をすれば必ず稼げるわけではありません。
漁獲量が少ない場合は赤字になり、資金繰りが悪化して廃業するリスクもあります。
自らがすべての経営責任を負うことになるので、メリット・デメリットを踏まえた上で判断することが大切です。
収入を安定させる方法
漁師の収入を安定させる方法の1つに「漁業収入安定対策事業」の利用があります。
漁業収入安定対策事業とは、漁業者の収入の安定等を図ることを目的とした漁業共済組合の事業です。
具体的な事業内容は以下2点です。
- 積立ぷらす:漁業者が収入減になった場合に国と漁業者が拠出した積立金で補填
- 共済掛金追加補助:漁業者負担の純共済掛金から国庫補助を差し引いた半分相当を補助
この事業により、共済金の負担が軽減され収入が減少した場合に補填を受けることができます。
加入条件は、次の2つです。
- 資源管理計画または漁場改善計画への参加
- 漁業共済への実質加入
このような事業を活用することで、収入が安定しやすくなります。
漁師で稼ぐのにおすすめの3つの地域
稼ぎたいのにおすすめなのが「北海道」「長崎県」「宮城県」です。
これらの地域は漁業生産量や漁港数が国内トップクラスで、安定した漁獲量が期待できます。
ライバルは多いですが、漁師に興味がある方は、これらの地域を検討してみてはいかがでしょうか。
おすすめ1.北海道
北海道は、漁業生産量が日本で最も多い地域です。
そのため、安定した漁の成果が期待できます。
200を超える漁港があり、サンマやスケトウダラが有名な釧路港もあるなど、国内で1番漁が盛んなエリアなのでおすすめです。
おすすめ2.長崎県
長崎県は日本で1番漁港が多い地域なので、漁師で稼ぐのにおすすめになります。
水産庁のデータによると、2019年4月時点で184港あり、他県と比べて圧倒的に多いです。
漁業産出額(生産額)についても900億円超と、北海道(約3,000億)に次いで2番目に大きいエリアになります。
長崎であれば稼げる可能性は高いです。
おすすめ3.宮城県
宮城県は漁業生産量が北海道、長崎に次いで3番目に多く、漁港数は全国4位、石巻港や気仙沼港があるなど漁が盛んなエリアです。
カキの漁場として有名ですし、気仙沼港は遠洋漁業の基地でもあります。
安定した漁獲量が期待できるためおすすめです。
転職した漁師になった人の体験談
漁師に転職した人の体験談を見れば、転職後のイメージがしやすくなります。
ここでは漁師へ転職した2人を紹介していますが、必ず多くの体験談に目を通すようにしてください。
これまで気づけなかった、漁師の楽しみや成長過程、懸念点などがわかります。
以下2つの体験談について確認していきましょう。
- 定置網漁で同年輩のサラリーマンと年収はあまり変わらない
- 研修4ヵ月で魚群を探す船に乗り込んでいる
体験談1.定置網漁で同年輩のサラリーマンと年収はあまり変わらない
ニート同様の生活から紹介を経て、定置網漁の仕事に就いた方になります。
経験豊富な漁師のアドバイスを受けながら成長し、漁師生活は3年目です。
3年目でありながら同年輩のサラリーマンと年収はあまり変わらないと言います。
通常の実働時間は5時間程度で集中して働けるのが特徴です。
自由時間はしっかりとあるそうで、充実した毎日を送っています。
体験談2.研修4ヵ月で魚群を探す船に乗り込んでいる
大工の仕事から漁師に転職をした方です。
研修に入って4ヵ月ですが、覚えの早さや器用さをかわれて、既に魚群を探す船に乗り込んでいます。
収入は前職と変わらず、住まいの自己負担はわずか2万円です。
島への移住となるので、休みの日も釣りをして楽しんでいます。
漁師の仕事はインターネットで見つけ、フェアや体験に参加をして決断。
日々、知識や技術を吸収しながら成長を続けています。
漁師に転職した人の体験談をもっとみたい人は「漁師.jp」を見てみてください。
【4ステップ】漁師になるには
漁師になる方法は、一般の就職活動とそれほど変わりません。
就職セミナーへの参加や履歴書提出、面接など「就職活動」が必要だからです。
ここでは、漁師になるための以下4ステップを紹介します。
- 情報収集
- 就業セミナーや就業支援フェアに参加
- 就職活動
- 採用、研修
各ステップの詳細について、見ていきましょう。
ステップ1.情報収集
漁師になるために、まずは情報収集をしましょう。
漁師の仕事内容や種類、収入などを把握し、目指す漁師像を描きます。
漁業や漁師のことを知らずに就職活動を始めてもうまくいきません。
まずは、漁師に関する情報収集を行うようにしてください。
ステップ2.就業セミナーや就業支援フェアに参加
漁師に関する情報収集をした後は、就業セミナーや就業支援フェアに参加をしましょう。
就業セミナーや就業支援フェアに参加をすれば、実際の漁師から話を聞いたり、求人情報を得ることができます。
全国漁業就業者確保育成センター主催の就業支援フェアには、多くの漁業者が参加しており、応募・選考を受けることが可能です。
ステップ3.就職活動
漁師になるには、一般会社と同じように就職活動をする必要があります。
就業セミナーやフェア、ハローワークで求人を探したり、直接漁業協同組合や漁業会社にアプローチをしましょう。
興味がある会社が見つかれば、履歴書を用意して面接を受けます。
新卒・転職どちらの場合も、応募して面接を受けることが必要です。
ステップ4.採用、研修
採用先が決まったら、研修が行われます。
たとえば沿岸漁業の場合は、6ヶ月〜1年程度の研修を経てようやく一人前としてのスタートです。
沿岸漁業であれば、船を動かすための小型船舶操縦士免許や漁業無線など、沖合・遠洋漁業は航海士や機関士の資格も取得をしていきます。
研修終了後も、日々勉強をして自身のキャリアアップを図る漁師は多いです。
漁師の仕事の種類
漁師の仕事は、「沿岸漁業」「沖合漁業」「遠洋漁業」の3種類です。
それぞれで操業期間や獲る魚の種類が変わります。
漁師を目指すのであれば3種類の特徴や違いを覚えておくことが必要です。
ここでは、3種類の漁業について紹介していますので1つずつ確認していきましょう。
沿岸漁業
沿岸漁業とは、沿岸部で行われる漁業のことです。
- 定置網漁(網を設置して魚を呼び込む方法)
- まき網漁(魚の群れを網で追い込み獲る方法)
- 刺網漁(魚の泳ぐルートに網を仕掛けてからませる方法)
など、沿岸付近に網を設置して、魚を獲ります。
沿岸漁業は獲る魚の種類が多いのが特徴です。
また、沿岸部で活動するため、日帰りが基本になります。
沖合漁業
沖合漁業とは、200海里水域の範囲内で行う漁業のことです。
数日〜1ヶ月程度かけて、イカやカツオ、サンマ、イワシ、サバ、アジなどを獲ります。
カツオ一本釣り漁や沖合イカ釣り漁、サンマ棒受け網漁など、時期によって狙う魚や漁法はさまざまです。
沖合漁業は20トン〜150トン程度の漁船を使います。
日本の漁業の中で最も多いのが沖合漁業です。
※200海里とは…1海里は1,852m、200海里は370.4km。各国は200海里水域まで漁業や鉱物を管理できる
遠洋漁業
遠洋漁業は、太平洋・大西洋・インド洋など、世界の海が漁場となる漁業のことです。
世界の海が漁場なので、数ヶ月〜1年程度は船上生活が続きます。
マグロやカツオ、イカなどを一本釣りや巻き網漁で獲り、漁船の大きさは100トン〜500トンクラスです。
遠洋漁業で生計を立てる場合は、家に帰るのが年に数回ということもあります。
漁師の1日の流れ
漁師の1日は早朝から始まり昼過ぎには終了です。
ただし、操業期間が長い沖合漁業や遠洋漁業は船上生活が中心になるため、天候や漁の状況によって1日の流れが大きく変わります。
以下は、沿岸漁業・沖合漁業・遠洋漁業の1日の流れです。
沿岸漁業の場合
沿岸漁業をする場合の、1日の流れは次のとおりです。
- 4:00:出港
- 4:30:漁開始
- 6:00:朝食
- 8:30〜9:00:帰港、魚の出荷準備
- 13:00:網仕掛けの準備
- 14:00〜15:00:翌日の準備や網の修理が終われば終了
1日の流れは、人や会社、地域や天候によっても変わりますが、漁師の朝は早いです。
漁場は早い者勝ちなので、夜明け前に出港をして場所を確保し、漁を開始します。
そして、市場が開く前に帰港をした後は、魚の選別や出荷作業です。
食事や休憩を挟んで、翌朝の漁の準備をしたら、1日の業務終了になります。
沖合漁業
沖合漁業は、日中は操業および探索の繰り返しです。
数日〜1ヶ月程度かけて漁をするため、漁以外にすることがほとんどありません。
たとえば、近海カツオ一本釣り漁船は、餌積みをして出港し、漁場についたら操業・探索をひたすら行います。
操業期間が終わり、帰港したら水揚げをして終了です。
遠洋漁業
遠洋漁業も沖合漁業同様、日中は操業および探索の繰り返しです。
マグロ漁などが中心となるため、船上では過酷な作業が行われます。
たとえばまぐろ延縄船は、延縄を仕掛けるのに4時間〜6時間、引き上げに6時間〜12時間かかるのでタイムスケジュールはないに等しいです。
漁の状況によって忙しさが変わり、三日三晩眠れないこともあります。
遠洋漁業の1日は、予想がつかず過酷です。
遠洋漁業の一日をもっと詳しく見たい人は「華麗さんのブログ」を参考にしてみてください。
漁師に関する4つのQ&A
ここでは、漁師の仕事に関してよくあるQ&Aを紹介しています。
以下4つのQ&Aによって、長期休暇など漁師の仕事に関する疑問を解消できるでしょう。
- 長期休暇はとれる?
- すぐに漁師としてデビューできる?
- 女性でもできる?
- 未経験でも大丈夫?
Q&A1.長期休暇はとれる?
長期休暇がとれるかは、スケジュールや会社、地域などによって異なります。
禁漁期間が設けられている地域もあるためです。
ただし、一般の会社員や公務員のような、まとまった長期休暇をとることは難しいでしょう。
漁師の仕事上、休んだ分だけ収入が減るからです。
「長期休暇の取得は難しい」という認識で目指した方がいいでしょう。
Q&A2.すぐに漁師としてデビューできる?
漁業会社などに入れたとしても、すぐに一人前の漁師として働くことはできません。
一人前になるには、経験を積んで知識や技術を身につける必要があります。
数ヶ月〜1年以上の研修を受けた上で、ようやく一人前としてのスタートです。
ただし、それでも知識や技術が足りません。
他の仕事同様、研修終了後が1歩目のスタートなので、経験を積みながらレベルアップしていく必要があります。
Q&A3.女性でもできる?
女性で活躍する漁師もいます。
ただし、漁師は力仕事なので体力がないと難しいです。
そのため、現場で活躍する漁師の大半を男性が占めています。
女性の場合は沖合漁業や遠洋漁業は難しいため、沿岸漁業で働くことになるでしょう。
漁師の仕事に興味がある女性は、漁業関連の会社に問い合わせをしてみてください。
Q&A4.未経験でも大丈夫?
漁師は未経験でも大丈夫です。
多くの人が未経験から漁師になります。
勉強して得る知識はもちろん、現場での作業を通して少しずつ一人前の漁師に近づいていくのです。
未経験でも漁師を目指すことはできます。
まとめ
ここでは、漁師の年収や仕事内容などについて紹介しました。
最後にもう1度、大事な3つのポイントをまとめています。
- 漁師の平均年収は一般のサラリーマンもよりも安い
- しかしマグロ・カニ漁や自営になれば高収入も目指せる
- 一般の就職活動と同じ流れで漁師になることができる
漁師に興味がある方は、ここで紹介した内容を参考にして、早速行動を始めましょう!