入浴・食器洗い・自炊をする上で欠かせないものと言えば「ガス」です。
ガスの種類は、都市ガスとプロパンガスがあり、都市ガスはプロパンガスの約半分の料金で利用できます。
一方、割高なプロパンガスのメリットは、火力が強いことです。
ここでは都市ガスとプロパンガスを様々な面から比較をしていきます。
最終的にどちらのガスがご自分に向いているのか検討してみてください。
1.都市ガスとプロパンガスの違いは価格と火力
都市ガスとプロパンガス…名前は何となく聞いたことがあるという方も、それぞれどんな違いがあるのか知らない人も多いですよね。
まずは都市ガスとプロパンガスの違いから覚えていきましょう。
都市ガスとは
都市ガスは、メタンが主成分の液化天然ガスで、ガス導管を通して地下から配給されるのが特徴です。
そして都市ガスは公共料金に含まれ、人件費などのコストが低いため基本料金が安く設定されています。
しかしプロパンガスと比べると熱量が低いため、火力が弱いと感じることがあるのです。
プロパンガスとは
プロパンガスは、プロパンが主成分の液化石油ガスで、家の外にガスボンベを設置しそこから配給されます。
ガスボンベの交換や配達などで人件費もかかるため、都市ガスに比べ料金が高めです。
ただし火力の熱量が多く、強い火力を維持できるのがプロパンガスの魅力です。
都市ガス | プロパンガス | |
料金 | 安い | 高い |
火力 | 弱い | 強い(都市ガスの2倍) |
原料 | メタンが主成分の天然ガス | プロパンが主成分の液化石油ガス |
配給方法 | ガス導管を通し地下から配給 | ガスボンベを通し家の外から配給 |
保証金 | ないところが多い | 1万円程度 |
災害時の復旧速度 | 遅い | 早い |
オール電化の家庭は約1%
新しく家を建てる際など、ガスを使わずにオール電化にするご家庭も増えてきています。
とはいえ自家発電にし、全てを電気で賄っているのはわずか1%ほどの家庭です。
オール電化の方が安く済むと思いきや、震災後に電気代が上がったこともあり、思ったほどの節約にはなりません。
2.東京だと都市ガスの方が1ヶ月約4,000円安い
都市ガスとプロパンガスではどれほど料金に差が出るのか比較をしてみましょう。
東京ではなんと月間4,000円も都市ガスの方が安くなる場合も!
年間で考えてみると大きな差が出てきますね。
地域別の料金比較
ガス代は地域によって料金に差額があります。
特にプロパンガスは、ガス会社が価格を自由に設定できため差がでやすいです。
地域別に都市ガス・プロパンガスの基本料金と従量単価(1立方メートルあたりの単価)を比較してみましょう。
【基本料金】
東京23区 | 関 東 | 関 西 | |
都市ガス | 759円 | 759円 | 758円 |
プロパンガス | 1,592円 | 1,715円 | 1,714円 |
差 額 | 833円 | 956円 | 1,024円 |
【1立方メートル当たりの単価】
東京23区 | 関 東 | 関 西 | |
都市ガス | 145円 | 145円 | 158円 |
プロパンガス | 488円 | 483円 | 501円 |
差 額 | 343円 | 338円 | 343円 |
地域別に見ても、基本料金・従量単価共にずいぶん差があります。
共通して言えることは、都市ガスとプロパンガスを比較した際、プロパンガスの方が2倍以上の基本料金がかかってくるということです。
一人暮らし、二人暮らしでの料金比較
次に、一人暮らし・二人暮らしの場合、都市ガスとプロパンガスではどのくらい違うのか見てみましょう。
月々のガス代金は、基本料+従量単価×使用量(立方メートル)を支払う必要があります。
季節によってガス代金は変わりますが、平均とされる使用量一人暮らしで5立方メートル、二人暮らしで10立方メートルをもとに計算してみます。
一人暮らし(平均5立方メートル) | 二人暮らし(平均10立方メートル) | |
都市ガス | 1,484円 | 2,209円 |
プロパンガス | 4,032円 | 6,472円 |
差額 | 2,548円 | 4,266円 |
*東京23区内の月間での平均料金比較
都市ガスとプロパンガスでは、単純に計算すると1ヶ月で約4,000円ほど都市ガスの方が安いです。
しかし、実際は火力が違うので都市ガスとプロパンガスでは、1ヶ月の使用量が変わってくるので少し差は小さくなるでしょう。
3.プロパンガスだと火力が2倍になる
料金が高めのプロパンガスですが、プロパンガスは火力が2倍になるという特徴があります。
都市ガスは1立方メートルあたり約10750kcalの熱量に対し、プロパンガスは1立方メートルあたり約24000kcalの熱量があります。
熱量が高いと言うことは、冷水を温水に変えるまでに時間が短縮できたり、強い火力で料理が可能です。
プロパンガスから都市ガスに変えた場合には、火力が弱いという印象を持つかもしれません。
4.入居後にガス会社を変えるには?
入居後にガス会社を変えたいと思うこともあります。
アパートやマンションのような賃貸物件であれば、まず大家さんの許可が必要です。
物件単位で契約していることが多いので、出来ない場合もあります。
許可が下りたら、複数のガス会社の比較ができるサイトで探してみましょう。
特に【ガスチョイス】というサイトは見積もり無料は当たり前!
切り替え費用も無料で行えるのでスムーズにガス会社の乗り換えが可能です。
5.都市ガスのメリットとデメリットはなに?
ではあらためて都市ガスのメリットとデメリットを確認していきます。
前半の部分と重複することもありますが、自分にとって何を重視してガス会社を選ぶのか、見直してみましょう。
メリット1.料金が安い
まず都市ガスの最大のメリットは料金が安いことです。
二人暮らしでは月間4,000円ほど差額が発生するため、年間で計算すると5万円ほどの節約になります。
メリット2.安全性が高い
また都市ガスは地下のガス導管を伝ってガスを供給しているわけですが、中枢場所に監視制御PCが設置されています。
そのため大きな地震やガス漏れなどトラブルが発生した際は、直ちにガスがストップするよう設計されているのです。
もちろんプロパンガスにも安全装置が付いていますが、ガスボンベがむき出しに設置されているのを見ると「なんだか怖いな…」と思う方もいるでしょう。
デメリット1.熱量が低い
続いて都市ガスのデメリットも見ていきましょう。
先ほどもお話しした熱量が低い点はデメリットです。
火力の強いプロパンガスに比べると、給湯器で水を温めるのに時間がかります。
冬のシャワーや食器洗いはすぐにでも温かいお湯に触れたいと思いますよね。
料理をする際も「火力が弱いと時間がかかりそうだな」と思われますが、都市ガスの場合ガスの吹き出し口が多く付いているコンロを用いるため、火力が弱すぎて困るということはありません。
デメリット2.災害時復旧に時間がかかる
またデメリットの2つ目として考えられるのは、都市ガスは復旧に時間がかかることです。
都市ガスは地下の配管を通して数百戸~数千戸にガスを送っています。
各戸の器具点検やガス栓閉止確認を行ってからでないと復旧ができないため、時間がかかってしまうのです。
大きな地震が起こった際は都市ガスの復旧が遅れ、なかなかガスが使えず困ったという経験をされた方も多くいます。
デメリット3.設置する初期費用が高い
また設置する初期費用が高くなるのも都市ガスのデメリット。
新築で家を建てた際に都市ガスにする場合、まずガス導管を家まで引く引き込み工事をしなければいけません。
これは平均で10~15万円ほどと言われています。
ガス導管の通っている公道から、都市ガスの供給場所までどれくらい離れているかによります。
1m引き込むのに約1万円かかると思っておきましょう。
6.プロパンガスのメリットとデメリットはなに?
次にプロパンガスのメリットとデメリットも確認していきます。
都市ガスのメリット・デメリットとと比較しながら読み進めてみてくださいね。
メリット1.都市ガスより熱量が高い
プロパンガスのメリットは、都市ガスより熱量が高いことです。
短期間で温水に出来る点や火力を気にせず料理が出来るので、中華料理屋さんなどではあえてプロパンガスにしているところもあります。
メリット2.災害時復旧が早い
またプロパンガスは都市ガスに比べ、災害復旧が早いのもメリット。
各戸にガスボンベが設置されているプロパンガスは、災害時にも個人個人に対応してくれるので都市ガスのような理由で復旧に時間がかかることがないのです。
小まめに点検や補修に対応してくれるという点でも、安心できるのはプロパンガスと言えるでしょう。
メリット3.設置する初期費用が安い
メリットの3つ目は、設置する初期費用が安いことです。
ほとんどの場合設置する工賃や初期費用は無料です。
それならばプロパンガスの方がお得!と思われるでしょうが、実はこの「無料」にはカラクリがあります。
確かに初期費用はかからないことがほとんどですが、毎月のガス代に上乗せされていることも。
例えば従量単価を100円上乗せして契約させられているなどです。
「毎月のガス代が高く感じる」という方は、従量単価と適正価格が相応なのか、確認する必要があるでしょう。
デメリット1.料金が高い
プロパンガスの料金が高いのは最初にお話した通りです。
東京二人暮らしの場合でも、年間6万円ほどの差額が出るとなれば、同居人の多い家庭はもっと高額に。
初期費用分が上乗せされているとしても、長い目で見ればプロパンガスは高くついてしまいます。
デメリット2.料金変動がある
さらにプロパンガスは料金に変動があることもデメリットとして頭に入れておかなければいけません。
ちなみに都市ガスも2017年に自由化されたため、地域によって料金に差があります。
しかし基本料金を見てもプロパンガスの半分以下の料金の為、変動が怖いのはプロパンガスの方です。
こちらも同じくガス代が高すぎると感じた際は、お住いの地域の適正価格なのか調べてみると良いでしょう。
7.プロパンガスから都市ガスに変える際の注意点
ここまで都市ガスとプロパンガスについてメリット・デメリットを比較してきました。
中にはプロパンガスから都市ガスにかえようかなと思った方もいることでしょう。
実際に変えるとなった場合、どんなことに注意をしなければならないのかまとめてみました。
- 近くにガス導管が通っているか確認する
- ガス導管を引くまで許可が必要になる場合もある
- ガス機器を買い替える必要がある
注意1.近くにガス導管が通っているか確認する
まず家の近くにガス導管が通っているのか確認する必要があります。
プロパンガスから都市ガスにかえたいと思っても、ガス導管が近くに通ってなければ工事は出来ません。
ガス導管は全国どこでも通っているわけではなく、人口密度の高い都市部に多いため、各ガス会社の供給エリアマップを見て確認してみましょう。
注意2.ガス導管を引くまで許可が必要になる場合もある
ガス導管を自宅に引くまで近隣に許可が必要になる場合もあります。
奥まった位置に自宅がある方は注意が必要です。
公道に出るために近隣住民が所有している私道を通れらなければいけない場合には、許可をもらうところから始めます。
私道を通らなければいけないのに、勝手に工事を始めることは出来ません。
注意3.ガス機器を買い替える必要がある
またプロパンガスから都市ガスにかえるとなれば、対応しているガス機器に買い替えなければいけません。
給湯器やガスコンロと新しく都市ガスに対応したガス機器を購入・設置するとなれば、さらに10~20万円がかかってしまいます。
賃貸物件の場合は大家さんに問い合わせる
賃貸物件の場合は、大家さんに問い合わせるのが一番の近道。
アパートやマンションのような賃貸物件はまとめてガス会社と契約をしているので、個人でガス会社を変更するのは難しいことがあります。
「都市ガスにしてガス代を節約したい」と思ったなら、大家さんに問い合わせをしてみましょう。
8.都市ガスの方が安くてお得!
都市ガスとプロパンガスのどちらを使えばいいのか迷っている人は以下の3つのポイントをおさえておきましょう!
- 料金だけで見たらプロパンガスより都市ガスの方が安くてお得
- プロパンガスも熱量の高さや災害復旧の早さなどメリットもある
- プロパンガスから都市ガスに変えるのは大変なため、住み始める際によく検討するべき