家賃とは別に管理費を払うことがありますが、そもそも何に使われるものなのかご存知でしょうか。
いくら家賃が安くても、管理費がプラスされれば結局は高くつくケースも中にはあります。
この記事では、管理費の基礎的な知識をもとに以下の内容をまとめました。
- 管理費の基礎知識
- 「管理費込み」と「家賃と別」のケースでお得な方はどちら?
- 修繕積立金との違い
- 家賃の値下げ交渉を成功させる3つのコツ
特に「家賃で損をしたくない」方は必見です。
管理費とは
「管理費」とは、アパートやマンションの維持管理に使われるものです。
集合住宅だけではなく、ビルを管理するためにも発生します。
ちなみに一戸建ての場合は管理費はなく、あくまでも管理会社や大家さんに支払うことが前提です。
管理費の基礎知識1.管理費の具体的な使い道
管理費の具体的な使い道は、次の通りです。
- 共有部分の清掃・備品交換・電気代
- オートロック設備の点検・維持代
- エレベーターのメンテナンス代・電気代
- 浄化槽の点検・電気代
- ゴミ処理費用
- 浄化槽のメンテナンス・清掃代
- 管理人の業務費用
「共有部分」とは、エントランスや廊下や駐車場といった全ての住民が利用する場所のことを指します。
ここで挙げた以外にも、「インターネット使い放題」物件であればその費用や、監視カメラの維持費用などに充てられることが多いです。
管理費の基礎知識2.金額の相場
管理費には、相場やルールはありません。
つまり、物件によって幅が出やすいのが管理費です。
全体的な傾向として、「家賃4万円台」なら「管理費3,000円」程度が多く、家賃の10%以下程度が相場だと考えていいでしょう。
管理費の基礎知識3.金額が変動する理由
建物の管理費は、必ずしも一律ではありません。
同じマンションでも管理費の金額が異なることがありますが、それは以下の2つの理由からです。
- 入居した時期が違うから
- 床面積が違うから
分かりづらいポイントなので、それぞれ詳しくみていきましょう。
理由1.入居した時期が違うから
実は、賃貸物件は繁忙期と閑散期で家賃に変動があるんです。
繁忙期(1〜3月)よりも、閑散期(7〜8月)の方が、空室を埋めるために家賃を下げて提示する傾向にあります。
しかし、実はどちらも月々支払う金額は変わりません。
なぜなら、家賃を下げる代わりに管理費を上げているからです。
4.9万円(管理費1000円)から4.8万円(管理費2000円)のように変動させることは多々あります。
家賃だけに注目していると気づきにくいので要注意ですよ。
理由2.床面積が違うから
同じマンション内でも、床面積が異なると家賃は変わります。
管理費は、床面積の広さによって金額を決めています。
同じ建物内でもワンルームと2DKの部屋では広さが異なるので、後者の方が管理費が高くなる傾向にあります。
部屋の広さによって管理費も変動するため、注意しましょう。
管理費と共益費は違う?使われる目的とは
家賃の横に「共益費」と書かれているパターンもありますが、管理費との違いは何でしょうか。
結論から言えば管理費と共益費は同じです。
共益費(きょうえきひ)とは、民法上の費用の概念の一つで、債権者が複数存在する債権債務関係において、これら複数債権者の利益のため支弁される費用である。
そのため、「管理費・共益費」の両方を徴収することはありません。
どちらがお得?「管理費込み」と「家賃と別」の2パターン
物件情報を見たとき、「管理費込み」と「家賃と別」の2パターンがあることに気づきますよね。
例えば「家賃6万円」で検索すると、次のような情報が並ぶことがあります。
- 家賃6万円(管理費込み)
- 家賃5.7万円(管理費3000円)
どちらも同じ6万円です。
ですが、管理費の有無によって必要な費用が大きく変わることもあります。
巧妙に数字を操り惑わせるのは、不動産会社の常套手段。
一体どちらがお得なのか検証してみましょう。
パターン1.管理費込み・管理費0円
まず①の家賃6万円(管理費込み)の「管理費込み」パターンです。
「管理費込み」以外にも、「管理費無料」「管理費0円」となっていることもあります。
家賃以外に払うお金がないので、「安いかも」と思いやすいのがこちらですね。
しかし実態は、管理費の分を家賃に上乗せしているだけなので必ずしもお得とは限りません。
パターン2.管理費は別
お得になる方は、②の家賃5.7万円(管理費3000円)の「管理費は別」パターンです。
①よりも3千円家賃は安いですが、管理費も別に支払うため①と同じ月々支払う金額は6万円になります。
しかし、こちらのパターンの方が以下の費用を安く抑えることができるのです。
- 仲介手数料
- 敷金
- 礼金
- 更新料
「仲介手数料・敷金・礼金・更新料」は「家賃〇カ月分」で計算をするので、少しでも家賃が安い方が費用を抑えることができます。
もし「家賃2カ月分」を支払う物件だった場合。
- 家賃6万円×2カ月=12万円
- 家賃5.7万円×2カ月=11.4万円
このように、家賃と管理費が別になっていた方が6千円お得になることが分かります。
見かけに騙されないように、慎重に物件選びを進めていきましょう。
分譲マンションの管理費と修繕積立金は何が違う?
管理費が発生するのは、分譲マンションも同じです。
分譲マンションの場合は管理費の他に「修繕積立金」が加わることが特徴です。
ここかからは、「修繕積立金」とはなにか、修繕積立金を支払うメリット・デメリットについてもご紹介いたします。
修繕積立金とは
修繕積立金とは、分譲マンションの共有部分(壁や屋上エントランスなど)の維持のために行う「大規模修繕工事」にまかなう資金のことです。
工事は10年〜15年に一度という長期サイクルですが、劣化を防ぐためには避けられません。
さらに、機械式駐車場がある場合は、月々別途で徴収されることになります。
修繕積立金の相場はマンションの規模や築年数によって変わりますが、築年数3年以内なら10,000円前後。
築年数が14年以上になると12,000円前後にやや上がります。
修繕積立金は「大規模な修理のために積みたてるお金」と覚えておきましょう。
修繕積立金と管理費の違い
毎月修繕積立金を支払う上に、管理費まで徴収する理由とはなんでしょうか?
それは、使う目的が違うからです。
修繕積立金は、長期サイクルで行う大規模工事に充てられるもの。
一方で管理費の方は、日常的な管理に充てられるものです。
マンションの場合は、たとえ物件を購入しても月々の管理費と修繕積立金を支払わなければなりません。
住宅ローンを完済した後も支払い続けなければならない、ということを頭に入れて購入を検討しましょう。
管理費・修禅積立金のメリット・デメリット
住宅ローンのほかに月々支払う費用が発生するのは、分譲マンションのデメリットとしか思えないかもしれません。
管理費と修繕積立金の2つ合わせて2万円前後になることが多く、
「老後も支払い続けることにメリットはあるの?」
と疑問に思う方も多いはずです。
購入する前に知っておきたい管理費と修繕積立金のメリット・デメリットについて押さえておきましょう。
管理費・修繕積立金のメリット
定期的にメンテナンスを行うことで、資産価値が上がることが管理費・修繕積立金のメリットです。
フロントサービスやセキュリティ対策が万全な物件であれば、安心感を得ることができます。
一戸建て住宅では全て自己管理になるため、日々の掃除はもちろんですが、災害や劣化に対応していくことは簡単なことではありません。
設備管理や清潔さを保ち続けることを考えると、修繕積立金と管理費は必要不可欠であると言えます。
管理費・修繕積立金のデメリット
月々の出費が増えることが管理費・修繕積立金の1番のデメリットです。
住宅ローン完済後も月々の支払いが続くことで、老後の生活に支障をきたしてしまい、余儀なく売却することも予想しなければなりません。
当然のことながら、出費がかさむことが管理費・修繕積立金を支払うデメリットとなります。
管理費は安くなる!家賃値下げ交渉を成功させる3つのコツ
「少しでも家賃を安くして欲しい」
と家賃交渉するなら、これから紹介する「家賃の値下げ交渉を成功させる3つのコツ」を使いましょう。
家賃交渉の切り出し方やタイミングなど、値下げ交渉のコツ3つをぜひお試しください。
コツ1.管理費・共益費を値下げ交渉してみる
コツ2.閑散期を狙う
コツ3.入居する意志を見せる
コツ1.管理費・共益費から交渉してみる
相場もルールもない管理費と共益費は、最も値下げ交渉しやすい部分です。
必ずしも値下げに応じてくれるわけではありませんが、ダメもとで「値下げできませんか?」と聞いてみることが肝心です。
管理費は難しくても、その代わりに家賃や礼金を値下げしてくれる場合もあります。
値下げの入り口として、「管理費をもう少し値下げしてほしい」と切り出してみてください。
コツ2.閑散期を狙う
1~3月の繁忙期よりも、入居希望者が減る7~8月の閑散期の方が値下げ交渉しやすいです。
大家さんとしては、家賃交渉をする人よりも現状のまま借りてくれる人の方を選びたいと考えるため、すぐに空室が埋まる繁忙期には応じにくいと言えます。
空室が続く物件では値下げに応じるケースが多いので、そのような物件がないか不動産会社に尋ねてみましょう。
コツ3.入居する意志を見せる
値下げ交渉をする以上、相手に借りる意志をしっかり見せることが大きなポイントです。
不動産会社に、「値下げをしてくれたら必ず入居する」意志を見せると、借り手の代わりに大家さんに交渉をしてくれます。
仲介側としては「やっぱりやめます」と言われるパターンが1番困るため、安易な値下げは避けましょう。
迷惑をかけない意味でも、あまり考えなしに値下げ交渉をしてはいけません。
おわりに
ここまでで管理費の意味や、家賃がお得になるテクニックを解説してきました。
以下が今回のまとめです。
- 管理費は日々のメンテナンス費用
- 管理費と家賃が別の方がお得!
- 相場が決まっていないので値下げ交渉のチャンス!
管理費に対して不透明さを感じていた人は、支払う意味が理解できたことで気持ちがスッキリしたのではないでしょうか。
管理費のあり・なしのカラクリも分かれば、借りるときにお得な方を選ぶことができます。
分譲マンションで管理費を毎月払い続けることは負担に感じてしまうものですが、その分一軒家にはない住みやすさを提供してくれるのは確かなメリットです。
ぜひ、この記事を参考にお得な物件選びを進めていきましょう。