事故物件に告知義務はある?見極めるためにチェックすべき4つのポイント

賃貸物件を借りるとき、事故物件だったら…と思うとゾッとしますよね。

事故物件なんて告知義務があって当然!と思うかもしれませんが、実は事故物件の告知義務は曖昧です。

基本的には、家を購入する場合は告知義務があり、賃貸の場合には告知義務がありません。

ここでは、事故物件の調べ方やチェックすべき4つのポイントを押さえていきます。

快適な新生活を送るためにも、事故物件に当たらないようにしましょう。

1.事故物件の定義は、人が亡くなったかどうか

「事故物件」と呼ばれる物件の定義はありません。

一般的に事故物件と言われるのは、その部屋(家)で人が亡くなった場合に事故物件として扱われます。

事故物件として扱われる主な原因は、以下の3つです。

  1. 自殺や他殺があった物件
  2. 事件や事故などで人が亡くなった物件
  3. 火事などの災害で人が亡くなった物件

それでは、順に見ていきましょう。

定義1.自殺や他殺があった物件

まず事故物件と呼ばれる1つは、自殺や他殺があった物件のことです。

首吊りや手首を切って自殺となればその1室が事故物件となりますが、飛び降り自殺などではアパート(マンション)全てが事故物件となります。

また日本は親族間殺人が55%を占める国なので、自宅の場所を知っていて殺人が起こってしまう可能性も高いのです。(参考:毎日新聞

ちなみに、病死や老死の場合は事故物件には含まれません。

定義2.事件や事故などで人が亡くなった物件

事件や事故などで人が亡くなった物件も事故物件として扱われます。

自殺や他殺に比べ数は少ない理由になりますが、車が突っ込んだりガス漏れが発生したりなどで死に至ってしまった場合です。

有名なのは2007年に起こった北海道北見市都市ガス漏れ事故。

警報機の誤作動と処理され、一酸化炭素中毒による死亡者が3人もでました。

定義3.火事などの災害で人が亡くなった物件

火事などの災害で人が亡くなった物件も事故物件になります。

火事以外に考えられる災害は、津波などの水害・台風・土砂崩れなど。

1室のボヤによる火災なら一酸化炭素中毒で人が亡くなることも考えられます。

3つに共通して言えることは、その部屋で人が亡くなっているということです。

このように事故物件になるのは、人が無残な死を遂げた場合になります。

では次に本題である事故物件の告知義務についてお話していきましょう。

2.事故物件の告知義務の違い

事故物件には告知義務があるかについてお話していきます。

同じ事故物件にしても購入なのか賃貸なのかによって告知義務は変わってくるのです。

ご自身の状況に当てはめて見ていきましょう。

購入の場合は告知義務がある

家を購入する場合には、告知義務が発生します。

中古住宅であっても決して安い買い物ではありません。

もし仮に事故物件であるにも関わらず、教えてもらえなかった場合は告知義務違反です。

もちろん不動産屋は過去に何かトラブルがあった物件と言うのは知っているわけですから、故意的に隠したことになります。

告知義務違反をした場合、借主は契約を取り消したり訴えることも可能です。

賃貸の場合は告知義務がない

一方で賃貸する場合には、告知義務がありません。

良心的な不動産屋は「告知事項有」と記載していることも多いので、「この告知事項はどんなことですか?」と単刀直入に聞けば答えてくれます。

不動産屋の物件サイトでは、このように告知事項有と記されていますが、意外と小さいので見逃しやすいです。

物件の情報を隅々までチェックし、不動産屋でも必ず聞いてみましょう。

最初の入居者以外は告知されないことが多い

賃貸の場合は告知義務がない理由は、事故物件になった場合「何年まで」「何人目まで」告知しなければならないという決まりがないためです。

線引きが曖昧になり、どの程度まで告知するかは各不動産屋に任せられています。

事故物件になって初めての借主には、告知するところがほとんどです。

しかし、最初の入居者以外は告知されないことも多いものだと頭に入れておくと良いでしょう。

ここまで、事故物件の定義や告知義務についてお話しました。

次は、実際に入居後に事故物件だと気づいた人の事例を紹介していきます。

3.入居後に事故物件だとわかった2つの事例

まずは、実際に事故物件だと知らずに入居してしまった事例をみていきましょう。

ここでは、2つの事例を紹介します。

  1. 入居後に担当者から聞かされた
  2. 下の階の部屋が事故物件だった

事故物件と知らされずに入居してしまうこともよくあるようです。

事例1.入居後に担当者から聞かされた

入居1日で排水管から異様な匂いがしてきたようです。

事故物件のようですが、入居後に担当者から聞かされトラブルに・・・。

誰でも知っていたら買うことを躊躇してしまうのも当然です。

家を購入する場合、必ず告知義務があるので入居後に事故物件だと知らされたときには契約の取り消しや損害賠償請求も可能になります。

「事故物件だと知っていたら購入しなかった」ということをしっかりと主張しましょう。

事例2.下の階の部屋が事故物件だった

入居前に確認したにも関わらず、下の階の部屋が事故物件だったようです。

賃貸では告知義務もないので仕方がないですが、教えてもらいたいと思う人も多いでしょう。

こちらの場合も「確認したのに教えてもらえなかった」と主張すれば、契約の取り消しができます。

4.事故物件かどうか調べる方法

賃貸物件では曖昧になっている事故物件の告知。

住み始めてから事故物件だったと知るのは嫌ですよね。

購入でなければ裁判で訴えても勝てるかどうか正直微妙…。となれば入居前にしっかり事故物件でないことを確かめる必要があります。

事故物件を確かめる方法は、以下の3つです。

  1. 事故物件サイトで調べる
  2. 不動産屋に聞く
  3. 近所の人に聞く

不動産屋は告知してこないことがあるため、自分でも疑ってかかるようにしましょう。

方法1.事故物件サイトで調べる

自分で事故物件か確かめる方法の1つは、事故物件サイトを通して調べるやり方です。

特に大島てるは、日本に留まらず世界中の事故物件をまとめたサイトなので参考になります。

サイトでは、住所を入れるとこのように炎のマークで事故物件を知らせてくれます。

ピンポイントでみると事故物件の詳細も分かるので、調べてみてください。

方法2.不動産屋に聞く

一番手っ取り早い方法としては、不動産屋に聞いてしまうことです。

これから何ヶ月~何年と暮らしていく大事な新居選びですから、ストレートに「事故物件じゃないですよね?」と確認してみましょう。

入居する2人目以降は告知しない不動産屋も存在しますが、聞かれて嘘をつくのは完全な違反。

虚偽の説明や調査不足の場合は法律で罰せられたり、損害賠償も請求できます。

方法3.近所の人に聞く

また近所の人に聞いてみるのも1つの方法です。

賃貸物件で事件や事故が起これば、あっという間に噂話は広まります。

不動産屋より詳しい話が聞けることがあるかもしれません。

5.事故物件か見極める4つのポイント

 

では、事故物件か見極めるにはどんなポイントがあるでしょうか。

内見しに行った際、事故物件と言われなくても、以下の4つのポイントが当てはまれば事故物件の可能性があります。

  1. 家賃が相場より格安
  2. 床や壁の一部だけ取り替えられている
  3. 建物の外観や名前が変わっている
  4. 定期借家である

注意深く観察し、怪しいと思ったら事故物件でないか確認してみても良いでしょう。

ポイント1.家賃が相場より格安

事故物件だと分かりやすい一番のポイントは、家賃が相場より格安に設定されていることです。

周辺で同じ条件の賃貸物件より2~3割ほど家賃が安くなっていれば「訳ありの部屋」というのは一目瞭然。

とは言え周辺の賃貸物件の相場を把握していないと安くなっているのか見分けがつかないため、他の物件をいくつか見せてもらい比較してみてください。

ポイント2.床や壁の一部だけ取り替えられている

内見に行った際チェックしておきたいポイントは、床や壁の一部だけ取り替えられていないかというところです。

丁寧なリフォームを施してくれていれば、和室の畳を全て張り替えたりと分かりづらくなっていますが、1枚だけ替えられていたら要注意。

「ここで殺人か何かが起こったのか…」と想像してしまいます。

ポイント3.建物の外観や名前が変わっている

建物の外観や名前が変わっている場合も事故物件である可能性が高いです。

殺人等の事件・事故が起こった物件は、すぐネットで外観が曝されます。

別の物件に見せるために、外観や前を変えることがあるのです。

ポイント4.定期借家である

また定期借家である場合も事故物件の可能性があります。

定期借家とは「2022年3月までしか入居できません」という期間的な縛りがある賃貸物件のことです。

事故物件は2人目以降の入居者には告知されないことも多いため、期間を設け退去してもらった後は告知をせず家賃も通常通りに戻そうと考えているのかもしれません。

もちろん本来の入居者が一時的に退去していて一定期間だけ貸すためなど、事故物件ではない理由もあります。

6.事故物件は心理的瑕疵(かし)物件に入る

事故物件は心理的瑕疵(かし)物件に入ります。

事故物件の他には、近くに刑務所や下水処理場などがある物件のことを心理的瑕疵物件と呼びます。

何となく入居するには気持ちが悪かったり、悪臭がするなど心理的に嫌だなと思わせる要因がある物件のことです。

  定義 事例
心理的瑕疵物件 入居者が抵抗感や不快感をもつ物件 事故死者、殺人事件
物理的瑕疵物件 建物の構造や機能に欠陥がある物件 雨漏り、シロアリ被害
法的瑕疵物件 法令などによって自由に利用できない物件 耐震設備が不十分、防災設備が古い
環境的瑕疵物件 周辺に嫌悪施設がある物件 日光を妨げる高層ビルがある

事故物件の告知義務は曖昧!自力で調べるくらい疑ってかかろう!

告知義務の告知は曖昧で購入時は告知してくれるものの、賃貸となると不動産屋次第で告知されないことも多々あります。

事故物件は必ず告知してくれると思っていた人も、入居を考える際には以下のポイントを押さえておきましょう。

  • 事故物件は自殺を含む殺人や火災などで人が亡くなった場合、病死や老死は含まれない。
  • 賃貸の事故物件は告知義務が無く、特に2人目以降の入居者には伝えられないことも多い。
  • どうしても事故物件に住みたくない場合、自力で調べたり不動産屋に確認をとろう。

家を購入する際や借りる際には、必ず不動産屋に確認し後々のトラブルを防ぎましょう。