「住宅ローンが払えず滞納しそう」
「住宅ローンが残っているけど売却できる?」
とお悩みですね。
住宅ローンが払えないなら、住宅ローンが残っていても売却をしましょう。
本記事では、住宅ローンが残っている家の売却方法、住宅ローン滞納時に起こることなどを解説!
家を売却せず住宅ローンを滞納してしまうと、最悪住むところを失ってしまいます。
住宅ローンの支払いで悩んでいるなら、ぜひ本記事を参考にして家を売却しましょう。
1.住宅ローンを払えないなら売却がオススメ
住宅ローンを払えない場合、家の売却がオススメです。
家の売却方法は、次の3通りがあります。
売却方法 | 一般売却 | 買取 | 任意売却 |
内容 | 不動産屋に依頼して買い手を探し売却するといった一般的な売却方法 | 不動産屋に直接買い取ってもらう売却方法 | 住宅ローン滞納時に行える売却方法 |
売却価格 | 相場に近い | 相場より安い | 相場より安いが、競売より高い |
メリット | じっくり買い手を探せる | ・早く売却できる ・仲介手数料がかからない ・一般売却で買い手のつかない不動産を売却できる |
住宅ローンを滞納していても売却できる |
デメリット | ・売却まで時間がかかる ・築古など不動産の状態によっては買い手が見つからない |
売却価格を自分で設定できない | 住宅ローン滞納時しか行えない |
向いている人 | 住宅ローンをまだ払う余裕がある人 | 住宅ローンをすぐに払えなくなりそうな人 | 住宅ローンを滞納している人 |
このように売却方法は複数あります。
ニーズや状況に合わせて、最良の売却方法を選びましょう。
続いて、売却の仕方と住宅ローン残債の返済方法について説明します。
2.住宅ローンを払えず家を売却する4ステップ
まずは、住宅ローンが残っている家を売却する場合の流れを確認しましょう。
住宅ローンを滞納していない家を売却する流れは、以下の4つのステップに分けられます。
- 金融機関に相談する
- 不動産屋に相談する
- 買い手を探す
- 売却代金で住宅ローン残債を支払う
4つのステップを順番に見ていきましょう。
住宅ローンを滞納している場合に行う任意売却については、本記事の「5.任意売却について押さえておくべき5つのポイント」以下で詳しく説明しています。
STEP1.金融機関に相談する
住宅ローンが残っている家を売却するには、住宅ローンを組んだ金融機関に必ず相談しましょう。
なぜなら、住宅ローンが残っている場合、引き渡し時点で住宅ローンを完済しなければ家を売却できないからです。
金融機関に相談して、売却代金やその後の返済で残りの住宅ローンを返済できないと判断されると、家を売却することができません。
ただし次のような場合は、金融機関の許可が下りて家の売却を行える可能性が高いです。
- 経済的に困窮していない
- 一度も住宅ローンを滞納していない
金融機関の許可なしに家を売却できないため、売却したいならすぐにでも相談しに行きましょう。
住宅ローン完済と抵当権の抹消について
住宅ローンの完済に関わる「抵当権」について確認しましょう。
抵当権とは、債権者(ローンを組んだ金融機関)が債務者が購入した建物や土地を担保にする権利のことです。
住宅ローンが残っている家の売却は、抵当権の抹消が前提となります。
抵当権を抹消するには、住宅ローンを完済しなければならないのです。
そのため、住宅ローンが残っている家を売却したい場合、金融機関に抵当権の抹消を行ってもらい、引き渡し時点で住宅ローンを完済する必要があります。
STEP2.不動産屋に相談する
金融機関への相談と同時に、不動産屋にも相談しましょう。
ただし、適当に不動産屋を選ぶと、相場より安く売却してしまう可能性があるのです。
次のような不動産屋を選ぶと、満足できる売却を行えます。
- 売却したい家のエリアに対応している
- 不動産売買の実績が豊富である
- 高値で売ってくれる
- 営業がしつこくない
- 担当者と相性が良い
HOME4Uやホームズなど不動産一括査定サイトなどを利用すると、家を売ってくれる不動産屋を見つけられます。
複数社を比較して、自分にぴったりの不動産屋を選びましょう。
STEP3.買い手を探す
不動産屋に依頼すると、買い手を探してくれます。
次のような要望がある場合は、不動産屋にあらかじめ相談しておきましょう。
- 買い手を自分で探したい
- 個人に売りたいなど買い手に条件がある
- 希望売却価格がある
- 売却期限がある
買い手が見つかったら売買契約を結び、引き渡しを行います。
STEP4.売却代金で住宅ローン残債を支払う
売買契約を結ぶと、売却代金を受け取ります。
受け取った売却代金で、住宅ローン残債を支払いましょう。
ただし、住宅ローンが残っている家を売却して、住宅ローンを完済できることは稀です。
売却代金で住宅ローンを完済できない場合は、次の2つの方法で返済します。
- 自己資金で返済する
- ローンを借り換えて払い続ける
これら2つの住宅ローン残債を返済する方法について、続いて詳しく見ていきましょう。
3.住宅ローン残債を支払うを2つの方法
家を売った代金で住宅ローンを完済できないことを、オーバーローン(担保割れ)と言います。
オーバーローンの場合、家の売却に加えて他の方法で残債を返済することになるのです。
住宅ローン残債を返済する方法には、次の2つがあります。
- 自己資金で払う
- ローンを借り換えて払う
それぞれの返済方法を順番に確認しましょう。
方法1.自己資金で払う
預貯金などの自己資金で、住宅ローン残債を支払うことができます。
ただし、抵当権を抹消しているため、一括で支払うことが条件です。
家を売却する前に、資金を貯めていれば可能かもしれません。
しかし、住宅ローンが払えない場合、自己資金で一括返済することは難しいでしょう。
自己資金で完済できないなら、次に紹介する「ローンを借り換えて払う」ことになります。
方法2.ローンを借り換えて払う
家を売っても住宅ローンを返済しきれない場合、ローンを借り換えて支払う方法があります。
たとえば、住み替え(買い替え)ローンの利用です。
住み替えローンとは、住宅ローンの残債を新しい家の住宅ローンに上乗せして返済していくローンの組み方を言います。
ただし、住み替えローンを利用すると毎月の返済額が高くなるため、売却した家の住宅ローンを払えず困っている人は支払えない可能性が高いです。
住み替えローンの他に、住宅ローン残債だけ新規の無担保ローンを借りて返済していく方法もあります。
住宅ローンより金利が高いものの、残債だけなら毎月の返済額を抑えることが可能です。
このような方法で自身に合った返済計画を立てて、住宅ローンの完済を目指しましょう。
4.住宅ローンを払えず滞納したときの流れ
住宅ローンを完済する方法を見てきました。
しかし、住宅ローンを払えず家を売却したい場合、住宅ローンを滞納しそうな人もいるはずです。
続いて、住宅ローンを払えず滞納するとどうなるかを確認しましょう。
住宅ローンを滞納すると、以下のような流れで問題が起こります。
- 催告書・督促状が届く
- 残債の一括返済を求められる
- 家が競売にかけられる
- 家を失う
住宅ローンを滞納した時に起こる問題を、順に説明します。
流れ1.催告書・督促状が届く
住宅ローンを滞納して1ヶ月~3ヶ月で、住宅ローンを組んだ金融機関から催告書や督促状が届きます。
催告書や督促状は、「これ以上滞納すると、競売など法的手続きを取ります」といった内容です。
郵便だけでなく、電話でも支払いを催促されます。
この時点なら、延滞金を上乗せした金額を払うだけです。
流れ2.残債の一括返済を求められる
催告書や督促状を無視していると、滞納3ヶ月~6ヶ月で期限の利益を喪失して、住宅ローン残債を一括返済するよう通知が来ます。
期限の利益の喪失とは、滞納し続けたために分割払いができなくなることです。
続いて、代位弁済通知も届きます。
代位弁済とは、債務者に代わり保証会社が金融機関に住宅ローンを支払うことです。
代位弁済後は、住宅ローンの残額を支払ってもらった保証会社に支払うことになります。
期限の利益を喪失し、代位弁済をされると、資金が入って分割で払いたくても一括返済しか応じてもらえなくなるのです。
流れ3.家が競売にかけられる
住宅ローンを滞納し続けると、6ヶ月~8ヶ月で家を競売にかけられます。
競売を開始する通知が来た後、物件の調査や写真撮影で裁判所から執行官がやって来るのです。
競売開始から7ヶ月ほどで落札され、落札者に所有権が移転します。
落札後、債権者に配当額が支払われますが、それでも残った住宅ローンの残額については支払い請求されるのです。
流れ4.家を失う
競売落札後、所有権を移転した家に住み続けることはできません。
結果、住宅ローンを滞納すると1年ほどで家を失います。
このように、住宅ローンを滞納すると目まぐるしく支払い請求の通知が来て、競売にかけられ、家を失くしてしまうのです。
家を失くす前に、任意売却で少しでも高く家を売却することをオススメします。
任意売却については、次の「5.任意売却について押さえておくべき5つのポイント」で詳しく見ていきましょう。
5.任意売却について押さえておくべき5つのポイント
任意売却とは、住宅ローン滞納時に住宅ローンを借りている金融機関の合意を得て、家を売却することです。
任意売却は、債務者に有利な条件で売却を行えます。
住宅ローンを滞納すると自己破産をする人もいますが、自己破産すると財産を持てないなどデメリットが多いです。
また、自己破産はいつでもできますが、任意売却は決まった期間しか行えません。
そのため、自己破産より先に任意売却を検討することをおすすめします。
任意売却の主なポイントは次の5つです。
- 任意売却できるのは滞納6ヶ月目から
- 競売より高く売却できる可能性が高い
- 売却代金は一括で支払われる
- 瑕疵担保責任を問われない
- 白紙解約条項が付いている
任意売却のポイントについて、詳しく確認しましょう。
ポイント1.任意売却できるのは滞納6ヶ月目から
任意売却ができるのは、住宅ローンの期限の利益を喪失した滞納3ヶ月目~6ヶ月目からです。
そして任意売却がぎりぎりできるのは、競売が開始されて期間入札の公示前後までとなります。
期間入札とは、一定期間に入札を募り、後日改札する入札方法です。
期間入札の公示は、住宅ローンを滞納してから約10ヶ月目になります。
つまり、任意売却ができるのは住宅ローン滞納3ヶ月~10ヶ月の間の半年しかないのです。
任意売却の相談自体は、任意売却ができる前から行えます。
そのため任意売却したい場合は、住宅ローンを始めたらすぐに金融機関や不動産屋に相談しましょう。
ポイント2.競売より高く売却できる可能性が高い
任意売却なら、競売より高い価格で売却できる可能性が高いです。
ただし、一般売却で売るより安くなります。
なぜなら、任意売却は時間勝負なので、早く買い手を見つけるために相場より安く売り出すことになるからです。
価格は、任意売却の場合は相場の8割程度、競売の場合は相場の6割程度となります。
具体的には、次の表のようなイメージで売却・返済することになるのです。
前提 | |||
相場 | 1,000万円 | ||
住宅ローン残債 | 1,300万円 | ||
売却方法 | 売却価格 | 残債 | 残債の返済イメージ (月2万円ずつ返済した場合) |
任意売却 | 800万円 | 500万円 | 月2万円×約21年 |
競売 | 600万円 | 700万円 | 月2万円×約29年 |
このように競売に比べ、任意売却の方が経済的に余裕を持って残りのローンを返済していけます。
ポイント3.売却代金は一括で支払われる
任意売却だと売却代金が一括で支払われるため、まとまった現金を得られます。
なぜなら、任意売却には一般売却のような手付金がないからです。
任意売却をする人の多くは経済的余裕がなく、手付金を返済でなく生活費に回してしまう可能性があります。
そのため任意売却の決算は、物件の引き渡し時に一括支払いで行うのです。
一括支払いは、買い手にとって大金を用意するというデメリットがあります。
しかし、売り手にとってはまとまった現金を得られて、すぐに返済に充てられるメリットがあるのです。
ポイント4.瑕疵担保責任を問われない
任意売却の場合、瑕疵担保責任を問われません。
瑕疵とは、雨漏りやシロアリなど一目で分からないような欠陥のことを言います。
瑕疵担保責任は、売り手が家を売却後、一般的に1ヶ月~3ヶ月以内に発見された瑕疵に対して負う責任のことです。
一般売却だと瑕疵が見つかったら、補修費用などを売り手が持ちます。
しかし、任意売却をする人に金銭的負担をかけると、住宅ローン残債も滞納する可能性が高くなるでしょう。
そのため任意売却の場合、瑕疵担保責任は全て免責されるのです。
ポイント5.白紙解約条項が付いている
任意売却には、多くの場合白紙解約条項を契約に盛り込みます。
白紙解約条項とは、買い手が現れても、売り手の債権者が任意売却に同意しなかった場合、無条件で売買を解約できるという条項です。
売り手の債務不履行を防止するために、白紙解約条項は契約に付けられます。
なぜなら、債務不履行となり違約金が発生すると、売り手の返済はさらに困難になり、債権者が困るからです。
売り手は、債務不履行でも違約金を支払わなくて良いというメリットがあります。
しかし買い手にとっては、購入後に売買契約が不成立になるなどリスクがあるのです。
このように任意売却は、売り手にとって有利な条件で売却できます。
6.住宅ローンを払えず任意売却するときの相談先
「任意売却のポイントは分かったけど、どこに相談すればいいの?」という人もいるはずです。
任意売却は、住宅ローンを組んだ金融機関と不動産屋に相談します。
不動産屋は、任意売却を専門に行っている業者を選びましょう。
それぞれの相談先について、どのようなことを相談するか説明します。
- 住宅ローンを組んだ金融機関
- 任意売却専門業者
住宅ローンを滞納して任意売却をすべきか迷ったら、なるべく早くこの2ヶ所に相談しましょう。
相談先1.住宅ローンを組んだ金融機関
住宅ローンを滞納しそうなときや滞納したときは、住宅ローンを組んだ金融機関にすぐに相談しましょう。
なぜなら、金融機関に相談すると、返済期間や返済額を変更してもらえる可能性があるからです。
滞納する前に相談した方が、金融機関の心証も良くなります。
返済が難しい場合も、相談しておくと「返済の意思がある」と判断されて任意売却も認めてもらいやすくなるのです。
「数ヶ月後の住宅ローンを支払えないかも」と思ったら、すぐに金融機関の返済相談窓口に相談しましょう。
相談先2.任意売却専門業者
金融機関に相談して、任意売却を検討したら家を売ってくれる不動産屋を探します。
任意売却は特殊な売却方法のため、任意売却に長けた任意売却専門業者へ売却を依頼しましょう。
任意売却専門業者は、次のような条件に合う会社がオススメです。
- 売却する家のエリアに対応している
- 相談・売却実績が豊富である
- 弁護士や税理士など専門家が在籍または連携している
- 担当者の対応が早い
はじめは複数社に相談してみて、依頼するかどうかを決めると良いでしょう。
7.家を売却しても家に住み続けられる可能性がある
住宅ローンが払えず家を売却するときの方法や任意売却などについて確認してきました。
そこで、「売却したら、住み替えなきゃいけないの?」と疑問に思った人もいるでしょう。
住宅ローンを払えず家を売却した場合、売却した家に住み続けられる可能性があります。
売却後の家に住む方法のことを、リースバックと言うのです。
リースバックを利用すると、家の買い手に家賃を払うことで、引き続き家に住み続けられます。
最後に、リースバックのメリットやデメリット、相談先について説明します。
7-1.リースバックのメリットとデメリット
リースバックの主なメリットとデメリットは、以下の通りです。
メリット | ・まとまった現金を得られる ・固定資産材の支払いがなくなる ・引っ越ししなくて良い ・子どもの学区が変わらない ・売却したことを近所に知られない ・買い戻しができる |
デメリット | ・オーバーローンだとリースバックを認めてもらえない可能性がある ・売却価格が相場より安くなる可能性がある ・家賃が相場より高くなる可能性がある ・買い戻す場合、売却価格より高くなる可能性が高い |
オーバーローンだと住宅ローンの返済と家賃で二重の支払いが生じるため、リースバックを認めない金融機関もあります。
しかし、オーバーローンであってもリースバックは可能です。
オーバーローンの場合、任意売却を行ってリースバックをします。
そのため、「オーバーローンでもリースバックしたい」ときは、リースバック実績のある任意売却専門業者に相談しましょう。
7-2.リースバックの相談先
リースバックを利用したい場合、金融機関とリースバック専門業者に相談しましょう。
オーバーローンの場合は、リースバックの実績がある任意売却専門業者を選んでください。
なぜなら、通常の不動産屋だとリースバックに慣れておらず、リースバックできない可能性があるからです。
リースバック専門業者やリースバックも行ってくれる任意売却専門業者には、次のような会社があります。
会社名 | 特徴 |
リースバック支援センター | 年間400件以上のリースバックや任意売却の相談があり、実績が豊富な会社です。 地方の物件でも対応してくれます。 |
ハウスドゥ | 1,800件以上のリースバック実績を持っています。 全国に600件以上の店舗があり、直接相談しやすい不動産会社です。 |
リースバックプロ | 相談すると、リースバックに適した状況かを判断してくれます。 買い戻しや賃貸継続などリースバック終了後もサポートしてくれる会社です。 |
全国住宅ローン救済・任意売却支援協会 | リースバック実績のある任意売却専門業者です。 弁護士など専門家が多く在籍していて、状況に応じた提案をしてくれます。 |
エイミックス | 関東・東海・関西地方でリースバックも行ってくれる任意売却専門業者です。 専門家が無料で電話相談に応じてくれます。 |
他にも大手不動産会社がリースバックを行っています。
ほとんどの会社で無料相談を行っているため、まずは電話やメールで相談してみましょう。
まとめ
住宅ローンが払えない場合、家の売却は可能です。
住宅ローンを滞納するよりも、早めに家を売却しましょう。
ただし、住宅ローンが残っている家はローン完済が家を売る条件です。
売却代金で住宅ローンを完済できないなら、自己資金やローンの借り換えをして完済を目指します。
もし、住宅ローンを滞納してしまったら、任意売却を検討してください。
滞納を続けると、家を失ってしまいます。
住宅ローンの支払いで悩んだら、家を失う前に住宅ローンを借りた金融機関に相談しましょう。