「自宅が再建築不可物件だけど、売却できる?」
「再建築不可物件を再建築可能にするには、どうすればいいの?」
などと再建築不可物件についてお悩みですね。
再建築不可物件は、売却可能です。
しかし、高く売る方法を知らないと、3割~5割安く売ることになります。
本記事では、再建築不可物件について売却方法や高く売る方法、税金の注意点など徹底解説!
自宅が再建築不可物件かを知り、売却を成功させましょう。
1.物件が再建築不可か確認しよう!
再建築不可物件とは、建物を解体すると、再び建物を建てられない土地や建物のことです。
親からの相続などで家を所有している場合、自身の家が再建築不可物件かどうかを知らない人が多くいます。
そのような人は家を売却する際に不動産屋から言われて、初めて家が再建築不可物件だと知るのです。
再建築不可物件は、売却できます。
しかし、再建築不可物件は建て替えられないなどデメリットが多く、近隣の売却相場に比べて売却価格が安いです。
再建築不可物件の売却について解説する前に、次の3つのことを確認しましょう。
- 接道義務について
- 3種類の再建築不可物件
- 再建築不可物件か調べる方法
どのような家が再建築不可物件にあたるか、自身の家は再建築不可物件なのかを順番に見ていきましょう。
1-1.接道義務について
再建築不可物件は、主に接道義務という建物についての規定を違反しているため再建築不可となります。
接道義務とは、次の2つを満たさなければならないという規定です。
- 敷地の間口が、道路に2メートル以上接していること
- 接している道路の幅(幅員)が、4メートル以上であること
接道義務は、緊急車両の出入り口を確保するといった目的で義務付けられています。
ただし、自治体や地域によっては接道義務を課していないところもあるのです。
自分の住む地域が接道義務を課しているかどうか知りたい場合は、自治体に問い合わせましょう。
1-2.3種類の再建築不可物件
具体的にどのような物件が再建築不可になるのか、詳しく確認しましょう。
再建築不可物件になりやすい物件には、主に次の3つがあります。
- 道路に接していない物件
- 間口が2メートル以上道路に接していない物件
- 法律で認められていない道路に接している物件
再建築不可物件について、順番に確認しましょう。
物件1.道路に接していない物件
再建築不可物件の一つ目は、敷地が道路に接していない物件です。
たとえば、他の家に囲まれていて道路に接していないような物件は、再建築不可物件となります。
このような場合、道路に敷地が接するよう対処しないと再建築可能になりません。
物件2.間口が2メートル以上道路に接していない物件
道路に接している間口が2メートルに満たない場合、再建築不可物件です。
たとえば、間口が狭く、奥に敷地が広がっている(旗ざお上の土地)ような物件は、再建築不可となります。
このような場合、間口を2メートル以上にできなければ再建築可能になりません。
物件3.法律で認められていない道路に接している物件
道路に接しているものの、その道路が建築基準法上道路と認められない場合、物件は再建築不可です。
たとえば、農道や私道の多くは建築基準法の道路と認められず、それらの道にしか接していない物件は再建築不可となります。
また、幅員が4メートル未満の道も道路とみなされません。
このような場合、物件を再建築可能にするためには次の2点が考えられます。
- 建築基準法上の道路に接する
- 接している道を建築基準法上の道路にする
再建築不可物件を再建築可能にする方法は、「5.再建築不可を可能にする4つの方法」で詳しく説明しています。
1-3.再建築不可物件か調べる方法
自分の家が再建築不可なのか調べるためには、まず役所へ行って必要な情報を確認しましょう。
役所で「敷地に接している道が、建築基準法上の道路なのか」を調べてもらうのです。
建築基準法上の道路でなければ、家は再建築不可となります。
たずねる窓口は、道路や建築を扱う課です。
自治体によっては、Webで建築基準法上の道路種別情報を公開しています。
24時間家で気軽に調べられるため、Webの利用がおすすめです。
2.再建築不可物件が売れない3つの理由
再建築不可物件は、売却できます。
しかし、売れるまで時間がかかるなど売れにくい物件です。
再建築不可物件が売れない理由には、次の3つがあります。
- 建て替えられない
- 住宅ローンを組めない可能性がある
- 修繕費用がかかる
再建築不可物件が売れない理由を順番に確認しましょう。
理由1.建て替えられない
再建築不可物件は、一度解体すると新築を建てられません。
建て替えられないということは、買い手にとって非常にリスクがあります。
なぜなら、老朽化や震災で家が倒壊した場合、建て替えられないからです。
リフォームは可能のため、倒壊しない限り住み続けられるでしょう。
しかし、建て替えられないというリスクを持つ物件は、安くても買い手が付きにくいのです。
理由2.住宅ローンを組めない可能性がある
再建築不可物件の購入に住宅ローンを組めない可能性があります。
なぜなら、再建築不可物件は住宅ローンの審査を通る物件の基準に達しない可能性があるからです。
住宅ローンの物件審査基準は、築年数や耐震性など審査する金融機関や不動産鑑定会社によって異なります。
再建築不可物件は築古の場合も多く、住宅ローンの審査で落ちることもあるのです。
住宅ローンを組めない物件となると、借入金なしで購入できる人でないと買えません。
そのため、再建築不可物件は住宅ローンを組めない可能性があり、売れにくいのです。
理由3.修繕費用がかかる
築古の多い再建築不可物件は、リフォームやリノベーションといった修繕費用が必要になるケースがほとんどです。
フルリフォームをするとなると、500万円~1,200万円ほど必要となります。
水回りだけを全てリフォームするとしても、120万円~400万円ほどかかるのです。
リフォームだけでなく、敷地や設備の管理で維持費も必要となります。
このように修繕や管理に多額の費用が必要なことも、再建築不可物件が売れない理由です。
3.再建築不可物件の相場と2つの売却方法
再建築不可物件が売れないといっても、売却は行えます。
再建築不可物件の売却相場は、近隣の再建築不可物件でない物件の5割~7割と低いです。
たとえば、近隣の物件が1,200万円で売却できても、再建築不可物件だと600万円~840万円となります。
しかし、売却価格が安くても売りたい人はいるはずです。
再建築不可物件の売却方法は、次の2通りです。
- 一般売却
- 買取
どのような売却方法か、順番に確認しましょう。
方法1.一般売却
一般売却とは、主に個人の買い手に物件を売ることです。
不動産売買の一般的な売却方法で、「仲介」とも言われます。
再建築不可物件の場合、物件の条件の悪さから買い手を見つけることが困難です。
再建築不可物件を売りたいなら、次の2点を実施すると売却できる可能性を上げられます。
- 隣家に売却交渉してみる
- リフォーム可能物件として売り出す
それぞれのポイントを詳しく確認しましょう。
ポイント1.隣家に売却交渉してみる
再建築不可物件の売却は、まず隣家に相談してみましょう。
なぜなら、条件が悪くても隣家なら自分の敷地を拡げられるといったメリットを得られるため、購入してもらいやすいからです。
隣家との交渉は不動産知識や金銭が関わるため、不動産屋や弁護士と一緒に行うことをおすすめします。
ポイント2.リフォーム可能物件として売り出す
再建築不可物件は、リフォーム可能物件として売り出しましょう。
再建築不可物件は建て替えられないものの、リフォームは可能です。
近年はDIYが流行し、自分で思うままに家を作り変えたいという人も一定数います。
リフォーム可能物件として売り出すことで、物件を安く購入して作り変えたい買い手を見つけられる可能性があるのです。
方法2.買取
買取とは、不動産屋に物件を売却することです。
買取は一般売却に比べて、売却価格が低くなります。
しかし、買い手を探す時間を節約できるため素早く売却できるのです。
また、一般売却と違い直接不動産屋が買い取るため、仲介手数料がかかりません。
再建築不可物件は一般売却だと買い手が付かないこともありますが、買取なら売却できます。
買取をしたいなら、買取専門業者に相談しましょう。
迷ったらここ!買取専門業者と一括査定サイト
買取専門業者はインターネットで検索できます。
また、買取一括査定サイトから複数の査定結果をもらうことが可能です。
次のような買取専門業者や一括査定サイトを利用しましょう。
会社・サイト | 内容 |
ハウスドゥ | 全国に639店舗を持つハウスドゥの買取専門店です。 「直接話して決めたい」という人は、近くの店舗に相談してみましょう。 |
不動産買取ナビ | 全国900社の買取専門業者が一括で査定してくれるサイトです。 複数の会社の査定結果を聞いてから、契約できます。 |
不動産買取MAX | 首都圏を中心に全国の主要都市の買取専門業者を無料で紹介してくれるサイトです。 「買取か一般売却かどちらが良いか分からない」という人も、最適の方法を無料で提案してくれます。 |
全国対応の買取専門業者やサイトを紹介しましたが、買取専門業者は各地域だけをカバーしていることが多いです。
そのため物件のある地域に絞って検索すると、近くの買取専門業者がヒットします。
買取してもらう会社は複数社比較して、一番高く買ってくれる会社を選びましょう。
4.再建築不可物件を高く売る2つの方法
再建築不可物件をそのまま売却しようとすると、安値で売却する他ありません。
しかし、次の2つを行うと再建築不可物件を高く売却できます。
- 接道義務を満たす
- リフォームをする
どのような方法か順に見ていきましょう。
高く売る方法1.接道義務を満たす
接道義務を満たせば、再建築不可から外れるため相場通りの値段で売却できます。
再建築不可でなくなれば、建て替えも可能で買い手も現れやすいのです。
接道義務を満たすための方法は4つあります。
- 不足部分を購入または借りる
- セットバックする
- 但し書き道路の許可を得る
- 私道を作る
このような方法で接道義務を満たし、家を高く売りましょう。
接道義務を満たす方法は、「5.再建築不可を可能にする4つの方法」で詳しく説明します。
高く売る方法2.リフォームをする
再建築不可物件は老朽化していることも多いため、リフォームするのも手です。
リフォーム費用はかかりますが、相場に近い価格で売却できます。
ただし、ひどく老朽化していないならフルリフォームは必要ありません。
水回りだけをリフォームすれば、買い手に好印象を与えられます。
水回りだけのリフォームなら、120万円~400万円ほどです。
必要な場所だけを部分的にリフォームし、残りはハウスクリーニングをするといった方法で家の価値を上げましょう。
5.再建築不可を可能にする4つの方法
再建築不可物件の売却価格は相場より低いですが、再建築可能になれば相場の値段で売却できます。
再建築不可物件を再建築可能にするためには、接道義務を満たすことが必要です。
接道義務を満たす方法には、次の4つがあります。
- 不足部分を購入または借りる
- セットバックする
- 但し書き道路の許可を得る
- 私道を作る
方法は4つありますが、物件の状況によって適切な方法は異なります。
どのような物件がどの方法を行えるか、順番に確認しましょう。
方法1.不足部分を購入または借りる
間口が狭いまたは道路に接していない物件の場合、不足部分を購入または借りることで接道義務を満たせます。
たとえば、間口が2メートル未満の場合、隣家の土地を購入または借りて間口を拡げれば、接道義務を満たせるのです。
同様に、道路に接していない物件なら、道路に接するまでの土地を購入または借りることで、接道義務を満たせます。
購入でも賃借でも、接道義務が満たせればどちらでも問題ありません。
ただし、購入すれば突然借りれなくなるといった貸主とトラブルになる可能性がなくなり安心です。
方法2.セットバックする
接している道路が4メートル未満の場合、土地を後退させて接している道路幅を拡げることで接道義務を満たせます。
土地を後退させて道路の幅員を4メートル以上に拡げることを、セットバックと言うのです。
セットバックは、道路中心線から敷地が2メートルになるよう土地を後退させます。
セットバックをした道路は、みなし道路と呼ばれ建築基準法上の道路と認められるのです。
自分の土地は狭くなりますが、建築可能となります。
セットバックするなら家の向かいをチェック!
セットバックする幅は、向かい合う土地の状況によって次の2つのパターンに分けられます。
- 向かいが家の場合
- 向かいが川や線路の場合
それぞれのケースを詳しく説明します。
向かいが家の場合
向かいが家の場合、道路中心線から水平線で2メートル後退させることになります。
たとえば、道路幅2メートルの場合、1メートル土地を後退させれば道路中心線から2メートルです。
この場合、向かいの家も1メートル後退させて道路幅を4メートルにします。
ただし、向かいの家がすでにセットバックしていると道路中心線がずれているため、セットバックする前に役所で確認が必要です。
セットバックは、向かいの家がセットバックに応じないなど隣人トラブルに発展する可能性があります。
トラブルを絶対に回避したいなら、弁護士を挟んで向かいの家に相談しましょう。
向かいが川や線路の場合
向かいが川や線路などの場合、自分の土地だけで道路を4メートル幅にする必要があります。
たとえば、向かいが川で道路幅2メートルの場合、道路中心線は関係なく2メートル後退させて道路幅を4メートルにするのです。
向かいが家でないため、隣人トラブルになることはありません。
しかし、自分の土地が多く減ってしまうデメリットがあります。
方法3.但し書き道路の許可を得る
周囲に広い空き地があり敷地と道路が接していない場合、但し書き道路として許可を得れば新たな建築を許可される可能性があります。
但し書き道路とは、接道義務のことが書かれた建築基準法43条1項の但し書きにあたる道路のことです。
但し書き道路は、自治体の許可が必要となります。
災害危険区域や道路予定地など、但し書き道路として許可が下りない場合もあるのです。
但し書き道路として認められれば、建築が可能となります。
方法4.私道を作る
道路として認められていない道に接している場合、位置指定道路として私道を作ることで接道義務を満たせます。
位置指定道路とは、自治体に申請して許可された建築基準法上の道路のことです。
自分の家の前だけ私道を作って接道義務を満たせない場合は、他の家の住人と協力して私道を作ることになります。
他の家と協力して道路を作ると私道の所有者は複数人となり、管理も全員で行うことになるのです。
私道を作る場合、他の家とトラブルにならないよう必要なら弁護士を伴ってしっかり話し合いましょう。
6.税金で損しないために!再建築不可物件の3つの注意点
再建築不可物件の売却について、売却方法と高く売る方法を見てきました。
再建築不可物件を高く売るには手間がかかるため、「売却しても仕方ないな」と思った人もいるはずです。
しかし、再建築不可物件を所有していると維持費がかかります。
維持費の中でも、固定資産税は毎年支払わなければなりません。
最後に、再建築不可物件の税金について確認します。
再建築不可物件の税金をなるべく安く済ませたいなら、次の3つを覚えておきましょう。
- 解体しない
- 放置しない
- セットバックしたら申告する
3つの行動の理由を確認しましょう。
注意点1.解体しない
再建築不可物件の建物は、解体しないでおきましょう。
なぜなら、更地にすると税金が上がるからです。
土地に居住用の建物があるだけで、固定資産税は床面積により3分の1~6分の1に軽減されます。
しかし、更地にしてしまうと軽減されません。
たとえば、固定資産税が6分の1に軽減されて5万円の場合、建物を解体すると30万円になるのです。
税金を安く抑えるためには、今にも倒壊しそうな場合を除いて解体しないことをおすすめします。
注意点2.放置しない
再建築不可物件を住まずに放置して特定空き家に指定されると、固定資産税が上がります。
特定空き家とは、次の4つの基準から判断される空き家のことです。
- 倒壊など、著しく保安上危険となるおそれのある状態
- ゴミが溜まっているなど、著しく衛生上有害となるおそれのある状態
- 適切な管理をされておらず、著しく景観を損なっている状態
- その他周辺の生活環境の保全を図るために、放置することが不適切である状態
特定空き家に指定されると、建物があっても固定資産税が軽減されません。
さらに、強制代執行が行われ解体費用を請求されることになるのです。
無駄な税金や費用を払わないように、再建築不可物件に住まないなら安くても売却しましょう。
注意点3.セットバックしたら申告する
セットバックをしたときは、申告しないとセットバック部分の固定資産税を支払わなければなりません。
なぜなら、自治体がセットバック情報を全て把握していないからです。
セットバックをしたら、セットバック部分は道路となるため固定資産税を支払う必要はなくなります。
しかし、申告しないと非課税にならないのです。
申告には、セットバック部分が分かる地積測量図や土地の謄本などが必要です。
固定資産税を必要以上に多く支払わないよう、セットバック後はすぐに申告しましょう。
まとめ
再建築不可物件は、近隣相場の5割~7割になりますが売却できます。
高く売りたいなら、接道義務を満たすことが重要です。
接道義務を満たす方法には、次の4つがあります。
- 不足部分を購入または借りる
- セットバックする
- 但し書き道路の許可を得る
- 私道を作る
再建築不可物件の立地によって、接道義務を満たす方法は異なります。
接道義務を満たして、なるべく高い価格で売却できるようにしましょう。