「離婚したら残った住宅ローンはどうなっちゃうの?」
「夫と離婚になりそうだけど、家のローンの連帯保証人になってる私はどうしたらいいの?」
離婚することになった際、一番不安なのは住宅ローンではないでしょうか?
離婚の手続きだけでも大変なのに、住宅ローンのことまで考えないとなるとパンクしちゃいそうになりますよね。
しかし、離婚前に計画しておかないと、
「夫と連絡が取れなくなって、住宅ローンだけが私に残ってしまった…。」
「相手と連絡が取れなくなり、支払いの請求が保証人の自分に来てどうしよう!」
なんてことになりかねません。
そうならないように、今回は以下の3つをお話していきます。
- 離婚時の住宅ローンに関する事例
- 家の売却の3ステップ
- 家を売るときの注意点
離婚前だからこそできる準備をして、新たな人生をむかえましょう!
1.離婚の際に住宅ローンはどうする?事例3選
離婚の際に残った住宅ローンはどうすべきか?これは、どの家庭でも大きな問題になります。
実際に離婚の際にどのような形で住宅ローンを負担するのか、3つの事例をもとに解決策を見ていきましょう!
(1)Aさん(38) 専業主婦 の場合
夫との性格の不一致が原因で離婚することになっていたAさん。
家は1戸建で住宅ローンは3000万円(返済は月々約10万円、借入期間30年、金利2.5%)の条件です。
この時点で、約1800万円の住宅ローンが残っています。
住宅ローンの名義は夫で、私は連帯保証人になっています。
話し合いの結果、家は売却せずに、夫と息子が引き続き住むことになりました。
住宅ローンはどうしたか?
もともと、家も住宅ローンも夫名義だったので、今後も夫が住宅ローンの支払いを続けることになりました。
住宅ローンと不動産の名義人である夫が家に住み続ける場合は、夫が住み続けて住宅ローンの支払いも行うので問題はありません。
ただし、Aさんは連帯保証人から抜けることはできませんでした。
家を出た連帯保証人の妻はどうなる?
夫婦間では「夫が支払う」という合意がとれていても、原則、妻は連帯保証人の責任を免れることはできません。
妻が連帯保証人としての債務を免れるには金融機関との交渉が必要です。
連帯保証人から外れることに了承してもらう必要があります。
正直、このハードルは高いので、難しいことは覚悟しておいてください。
保証人を外れるために、金融機関から条件を求められますが、要求されるよくあるものとしては以下のものがあります。
- 別の保証人を用意する
- 保証協会の利用を求められる
- まとまったお金を一時金として入金する
了承が得られるかどうかは金融機関次第になってしまいますので、事前に計画を立てることが必要になります。
(2)Bさん(35) パート主婦の場合
夫の浮気が原因で離婚することになりました。
家は1戸建で住宅ローンは3千万円(返済は月々約10万円、借入期間30年、金利2.5%)の条件です。
この時点で約2500万円の住宅ローンが残っています。
住宅ローンの名義は夫で、私は連帯保証人になっています。
話し合いの結果、私と子供が住み続けることになりました。
住宅ローンはどうしたか?
今回の離婚は夫の不貞行為が原因だったので、夫が慰謝料の代わりとして払い続けることになりました。
妻が子供の親権者になり、養育費を貰う代わりとして、夫がローンの支払いを行うという形です。
しかし、夫にとっては住んでいない家のローンを支払い続けていくことになるので、支払い続けてくれる保障がないという点がリスクとして挙げられます。
仮に夫がローンの支払いを滞納してしまうと、連帯保証人であるBさんに請求が行き、最悪の場合立ち退きを迫られる可能性もあります。
Bさんはとても不安定な立場におかれてしまいます。
さらに、住宅ローンの債務者(夫)と家の居住者(Bさん)が異なる状態になるので、事前に金融機関と協議しておく必要もあります。
なので、離婚時に法的効力をもつ公正証書などを作成するなど、しっかりとした準備が必要です。
家の名義はどうしたか?
妻と子供が家に住む場合、家の名義をそのままにしておくと夫の財産として扱われてしまう事態も起こりえます。
しかし、住宅ローンを完済するまでは、金融機関が名義変更を了承してくれないことが大半です。
家の名義に関しても、離婚時に「ローン完済後は妻名義に変更する」など、明確に話し合い文書化しておくといった準備が重要になってきます。
文書作成などに関しては自分たちだけの判断で行わず、必ず第三者の専門家に相談して進めるようにしましょう。
(3)Cさん(31) 会社員の場合
生活リズムの違いからの気持ちのすれ違いが原因で、離婚することになりました。
家は1戸建でローンは3千万円(返済は月々約10万円、借入期間30年、金利2.5%)の条件です。
この時点で約1500万円のローンが残っています。
住宅ローンの名義私と夫で50%ずつの連帯債務です。
話し合いの結果、家は離婚後に売却することになりました。
査定したところローンの残債よりも売却金額の方が高く売却できることが分かったので、売却してできたお金を財産分与しました。
結局、離婚後には約1700万円で家を売却することができたので、残りの金額を財産分与しました。
約100万円の現金が手元に来ることになりました。
離婚後の新生活の準備資金に充てるお金ができたことで、お互い気持ちよく新生活がスタートできそうです。
2.離婚時の住宅ローンを考えるとまずは売却がベスト!
離婚時の住宅ローンの問題で、もっともトラブルが少ないのは、売却することです。
夫婦で購入した家はお互いの財産であり、どちらが住むか、どちらが残りの住宅ローンを支払うのかで揉めるケースは多いです。
さらに、注意すべき点は、住宅ローンはこれから10年以上かけて支払いが続くこと。
「元夫が会社をクビになって、住宅ローンの支払いができなくなった」
「元夫に新しい家庭ができて、住宅ローンの負担金額を変更して欲しいと言われた」
など、離婚後になって状況が大きく変わることも考えられます。
せっかく離婚をして、お互い別の人生を進もうと考えているのに、住宅のことで相手を心配し続けなければならないという状況も、正直しんどいですよね..。
それならば、Cさんのように思い切って家を売却してしまう方が新しい人生にとっては良いはずです。
ただし、家を売却することも、簡単ではありません。
ここからは、離婚の際に家を売るための具体的なアクションについて、見ていきましょう。
家を購入している人は、数千万単位でローンを組んでいることが大半です。
ローンを組んだ時点で大きな負債になりますが、離婚の際にはその責任(債務)をどうするかが問題になってきます。
基本的には、年数が経たない方が高く売却することができるので、長期的に考えても特別な事情がない限りは売却に向けて動く方がトラブルになりづらいです。
離婚が決まったら、不動産会社などの専門家に相談しつつ、家を売却する計画を立てるのがベストでしょう!
3.離婚時に住宅を売る3つのステップ
家の売却は数百万~数千万円の取引になります。
「一体いくらの住宅ローンが残っているのかわからない」
「どれくらいの金額で売れるのか知りたい」
上記のような状態だと何から手を付ければいいのかわからない状態だと思います。
住宅を売るために、準備として行うべきステップを大きく3つに分けて紹介します。
- 不動産・住宅ローンの名義の確認を行う
- 住宅ローンの残債がいくらなのかを把握する
- 物件価格の査定を行う
(1)不動産・住宅ローンの名義の確認を行う
まずは、自分の置かれている状況を把握しましょう。
不動産の名義人でないと売却する権利がありません。
また、ローンの名義が誰になっているかに加えて、連帯保証人が誰になっているのかも改めて確認しておきましょう。
不動産の名義の確認
不動産の名義を確認するために、不動産の登記を確認しましょう。
不動産登記が示された、「権利証(登記済権利証)」もしくは「登記識別情報通知書」を家を買ったときに受け取っているはずです。
万が一、権利証や登記識別情報通知書を失くしてしまった場合、最寄りの法務局で登記を確認することもできるので安心してください。
住宅ローンの名義の確認
住宅ローンの名義はだれか、連帯保証人はだれかを確認しましょう。
ローンを契約している銀行などの金融機関に問い合わせてみるのが一番確実な方法です。
また、自分が連帯保証人になっているかの確認は自分で調べることもできます。
CICやJBAといった金融業界の信用情報機関に情報の開示を求めることで分かります。
自分で調べてみたいという方はやってみてください。
ちなみに、一番多いのは、夫名義で住宅ローンを借りており、妻が連帯保証人になっているケースです。
(2)住宅ローンの残債がいくらなのかを把握する
次に、返済しなければならない残りの金額がいくら残っているのかを確認しましょう。
大きく3つほどやり方があります。
- インターネットバンキングを使って調べる
- フラット35の住宅ローン残債を調べる
- 住宅ローン返済予定表で確認する
インターネットバンキングを使って調べる
楽天銀行や住信SBI銀行などのネットバンキングの場合、ネットで住宅ローン残債を確認できます。
また、メガバンクや地方銀行でもインターネットバンキングに対応している金融機関であれば、手続きをすれば照会が可能です。
フラット35の住宅ローン残債を調べる
フラット35でローンを組んでいる場合、取り扱いの金融機関もしくはコールセンターに連絡することで照会できます。
お客さまコールセンター 専用ダイヤル(電話:0120-0860-16)
コールセンターで照会を求める場合は、返済引き落とし口座の口座番号を本人確認で聞かれるので、事前に準備をして電話しましょう。
住宅ローン返済予定表で確認する
住宅ローンを契約すると、返済予定表が送られてくる場合があります。
送られてきている場合は、繰り上げ返済や滞納していない限り、その紙に残債の記載があるので正しい金額が確認できます。
(3)物件価格の査定を行う
住宅ローンの残債を確認したら、家を売却した時の金額が残債よりも高く売れるのかを査定して確認しましょう。
家がいくらで売れるのかを簡単に査定してくれるサービスがあります。
1社だけではなく、複数社で査定できるサービスを選びましょう。
すぐに一括見積もりしてくれるサイトを3つ紹介します。
① HOME4U
提携会社数1300社以上
→HOME4Uで査定を行う
18年の歴史のある老舗サイトです。
査定して売却まで至った事例も載っているので、売却のイメージも併せて付けることができます。
② LIFUL HOME’S
提携会社数1800社以上
→LIFUL HOME’Sで査定を行う
日本最大級の不動産・住宅情報サイトです。
東証一部上場企業の株式会社LIFULが運営しているので、セキュリティ面も安心です。
③ イエウール
提携会社数1600社以上
→イエウールで査定を行う
ネット上で無料で一括査定ができます。
最大6社と複数比較できるので、より正確な売却金額を知ることが可能です。
比較する場合としない場合では、売却金額に100万円以上差がつくこともよくある話なので、客観的な適正価格を知るために利用してみましょう。
全く知識がない、知らない状態だと何を誰にどのように相談すればいいのかということさえも見えてきません。
さらに詳しく知りたい方はこちらのページで解説しているのでご覧ください!
→離婚で家を売るうえで知っておくべき4つのポイント
4.離婚時に住宅を売る注意点
必ず、住宅ローンの残債を売却金額が上回るかどうかを確認しましょう。
もし、売却できても、住宅ローンよりも売却金額が少ない場合は、ローンの残り金額を現金で支払わないといけなくなります。
事前に返済計画を立てておかないと、あとあと夫と揉めることになりそうですよね。。
そうならないように、きちんと書面にして話し合いで決まった内容を残しておきましょう。
公正証書は公的な文書なので、後々トラブルになることを防げます。
公正証書を作成したい場合、公証役場に依頼して、公証人の立会いのもとで作成します。
行政書士・司法書士・弁護士などの専門家を通じて公証役場に依頼することができるので、スムーズに手続きを進めたい方は専門家の利用も検討してみてください。
まとめ
離婚で残った住宅ローンはどうすべきなのか、事例をもとにお伝えしてきました。
ポイントを以下にまとめます。
- 住宅ローンのことを考えると売却がベスト
- 家とローンの名義・ローン残債を確認し、一括査定をしてみよう
- 住宅ローンについて、離婚前に公的な書面にまとめておく
大きな負債が残ることになるので、可能であればCさんのように売却してしまうのが最良の選択肢と言えるでしょう。
どちらにせよ、事前にいくらかの知識を付けておくことは、スムーズに手続きを進めるために必要です!
後になって揉めてしまったり、手続きが先延ばしにならないように準備をすることが大切です!
住宅ローンは大きな金額の負債なので、精神的に疲れることもあるかもしれませんが、1人で考え込まずに不動産会社などに相談してみるようにしましょう。
【補足】どうしてもマイホームに住み続けたい人はどうする?
基本的に離婚時には住宅は売却してしまった方賢明といえるでしょう。
理由としては、大きな額のローンを向こう何十年も背負い続けなければならないからです。
しかし、Bさんの事例にあるように、子供がいる場合、家に住み続けたいというパターンも少なくありません。
住宅ローンが夫名義・妻が連帯保証人となっているパターンがよくある例として見られるので、その場合にとりうる選択肢としては何があるのか?再度簡単に見ていきましょう!
Bさんの場合は、養育費の代わりに残ったローンを夫がそのまま払うというパターンでした。
家に妻が(子供と)住み続ける場合、
- 夫に慰謝料の代わりとして払ってもらうように交渉する
- 妻名義でローンを借り換え、妻が払い続ける
- 夫に一部家賃として払う
上記3つの選択肢が考えられます。
①に関しては、Bさんと同じパターンですね!
②と③に関しては、どちらも妻が残りのローンの金額を支払うパターンです。
②に関して、妻名義でローンを借り換える場合、妻の職業や経済力が金融機関の審査の際に大きなハードルとなります。
ある程度の経済力がないと債務者の変更は金融機関に認められないことが多いです。
その場合は③の家賃として妻が夫に支払うという選択肢をとりましょう!