質問者:
「35歳、普段は主婦をしています。10歳の子供がいるのですが、夫と離婚することになりました…。ローンが残っている家をどう分けたらいいかわかりません。」
子供が小さい子育て中での離婚…
子育てはどうするのか?お金は足りるのか?家のローンが残ってる…
など、これから先どうなってしまうのか、とっても不安ですよね。
今回は、そんな不安を解消するべく、離婚の際に家の財産分与はどうしたらいいのか?についてお伝えします。
30代の離婚が一番多く、離婚の際に家をどうするかの話し合いが長期化するのはお子さんがいる場合が多いです。
そのため、
- 年齢:30代
- 家族構成:夫と子供1人
- 職業:主婦
このような設定で考えていきましょう。
30代の子持ち離婚では、家の財産分与はどうやって分けるのがベストなのか?知識のない方でもわかりやすいように説明していますので、ぜひ最後までご覧ください。
1.財産分与のときに家はどうやって分ければ良い?
離婚の際の財産分与では、夫婦結婚後に築いた財産を、2分の1で分け合います。
現金だと、1000万円あれば500万円ずつというように均等に2分の1に分けることができますよね。
しかし、家はそのまま半分に分けることはできません。
家を離婚の際の財産分与で分ける方法は大きく分けて3つあります。
- 売却して現金を分ける
- ほかの財産で調整して分ける
- 住宅ローンの負担を分ける
それぞれ具体的にどのような分け方なのか、見ていきましょう。
分け方1.売却して現金を分ける
家を売却してしまい、売却金で余った現金を2分の1で分ける方法です。
この方法が、離婚の際に最もスッキリと別れられる方法です。
住宅ローンや連帯保証人なども清算できるので、離婚後の生活を後腐れなくスタートすることができます。
ただし、子供がいる場合は、住環境を変えてしまうことになるので、精神的に負担になってしまうことがあり、注意が必要です。
分け方2.他の財産で調整して分ける
売却しない・もしくはできない場合に、家に住み続ける選択肢をとった際の財産の分け方です。
離婚で分けることのできる財産は、家だけではありません。
土地・自動車・有価証券・貴金属や保険など、家以外にも財産分与として分けることができます。
生命保険や教育保険など、長期で持っておくことが前提で契約しているものなどは、解約せずにどちらかが譲り受けるというケースが多いです。
財産の評価額を鑑定士など査定してもらいましょう。
家を売却しない場合、これらの財産の配分を話し合って分けることも可能です。
ただし、車や家などローンの残債がある場合は注意しましょう。
例えば、評価額が200万円の車でも、ローンが100万円残っているとしたら、半額の100万円の価値しかないことになります。
家にも同じことが言えますが、この点については後程詳しくお話しします。
分け方3.住宅ローンの負担を分ける
同じく住み続ける場合、住宅ローンの返済金額で調整して、家の財産分与をする方法もあります。
例えば、妻が家に住み続けることにしたときに、その代わりに夫は他の財産を得ることも可能です。
しかし、家と同じくらい価値のある財産がない場合には、今後払い続ける住宅ローンの金額を妻に負担してもらうことで調整することもできます。
住宅ローンで負担を調整する際に注意すべき点があります。それは、住宅ローンの名義人や連帯保証人のことです。
仮に、住宅ローンの負担を分けたとしても、住宅ローンの名義人や連帯保証人は簡単に変更できません。
住宅ローンの名義人である夫が返済を滞らせた場合、連帯保証人の妻が一括請求を求められてしまうケースもあります。
後から取り返しのつかない状況にならないように、離婚前にしっかりと話し合い、公的な書面に残しておくなど準備を怠らないようにしてください。
2.【結論】売却して現金を分けるのがベスト!
ここまで家の分け方を3つ見てきましたが、離婚後のことを考えると、家は売却してしまい、現金を財産分与で分ける方法がベストです。
売却以外の選択肢をとると、どうしても住宅ローンが残ったままになってしまいます。
夫が住宅ローン名義で連帯保証人になっている場合、連帯保証人もそのまま残ってしまうケースが多いです。
離婚後に連帯保証人となって、トラブルになってしまうケースは、本当によくあることです。
離婚後の連帯保証人に関するトラブル例
トラブル例:
離婚後に家に2人の子供と一緒に住み続け、夫には養育費の代わりに残り1500万円のローンの返済をしてもらうことになったAさんの場合。
Aさんは30代後半の主婦です。
離婚後は2人の子供を養育するため、仕事を複数掛け持ちし、何とか生活費を捻出していました。
しかし、離婚して2年がたったある日、住宅ローン会社から突然連絡がありました。
「住宅ローンが支払われていないので、連帯保証人のあなたが支払ってください!」
Aさんは目の前が真っ暗に…。
元夫に連絡をとろうとしましたが、音信不通で一向につながりません。
子育てしつつ、何とかやりくりしての手取り15万のAさんに、支払いの残債は到底支払い続けることができません。
Aさんの家は競売にかけられることになり、子供たちを引き連れ、狭いアパートに引っ越しました。
Aさんの心の内では、
「あぁ、あの時家を売却してローンの返済を行い、財産分与で現金を受け取っていれば…」
と後悔の念が押し寄せています。
家のことは離婚後にスッキリさせるべき
Aさんのケースのように、離婚時に夫がローンを支払うという話し合いで合意して公的な書面に残しても、夫がずっと住宅ローンを支払い続けてくれる保証はどこにもありません。
離婚時に話がまとまったとしても、夫からすると「自分が住んでいない家のローン」にすぎません。
途中で支払わなくなってしまい、音信不通になってしまうケースも往々にしてあります。
このように、家に住み続ける場合、住宅ローンを完済するまでは金銭的なリスクを長年共有するということになります。
離婚してもなお、家のことを通じて元夫との関係が切れずにズルズル…なんてことは避けたいですよね。
このようなリスクを考えると、家は離婚時に売却してしまい、売却金を財産分与で分け合うというのがベストな選択肢であるといえます。
もし離婚の際に、家が売れる状況なら売却を検討するべきです。
売却がベストといっても、自分は何をすれば良いのか、さっぱり分かりませんよね。
そこで、ここからは家の売却に向けての具体的なアクションを3つのステップに分けてご紹介していきます。
3.家の財産分与で売却するときの3ステップ
家を売却して現金化すると言っても、そう簡単にはいきません。
「住宅ローンの問題はどうするのか?」
「まずは何から始めたらいいの?」
分からないことが多く、不安になってしまいますよね。
でも大丈夫です!
きちんとステップに沿って進めていけば、トラブルなくスムーズに手続きを進めることができます。
以下の3つのステップで進めていきましょう。
- 専門業者に家の査定をしてもらう
- 夫婦間での合意をとり、家・ローンの名義の確認を行う
- 住宅ローンの残債を把握する
まずは、簡単に今の家がいくらで売れるのかを見積サイトを使って査定してみましょう!
ステップ1.家の売却金額を見積サイトで調べる
まずは、家を売るイメージをつけるために、実際いくらくらいで売ることができるのかを調べましょう。
「売却するためにいろいろ準備したのに、そもそも家に値段がつかなかった…」
ということも考えられます。
そうならないように、専門業者に家を売却した時の見積もりを取ってもらいましょう。
とはいえ、いきなり不動産屋に足を運ぶのはなかなかハードルが高いですよね。
インターネットで簡単に査定をしてもらえるサービスがあるので、まずはそれを活用してみましょう!
具体的にどんなサービスがいいか分からない人も多いのではないでしょうか?
なので、初めての人でも安心して使える一括見積サービスをご紹介します。
個人情報不要で査定できるサイトもあるので、安心して利用してください!
おすすめ1.LIFUL HOME’S
LIFUL HOME’Sでは、個人情報不要で家の価格を査定できるのがメリットです!
実は、ネットで物件の価格を査定しようとすると、電話番号などの個人情報も同時に必要になることが多いのはご存じでしょうか?
「電話番号を入力したら、不動産会社からの執拗な営業電話がたくさんかかってきて迷惑」
なんて例が多く存在します。
しかし、LIFUL HOME’Sの匿名査定では、個人情報は不要で物件情報のみで家の価格の見積もりができます。
CMでもおなじみのこのサービスは、一部上場企業が運営しているので、セキュリティ面でも安心できます。
おすすめ2.HowMa
HowMaは、AIが無料で瞬時に不動産を査定してくれるサービスです!
物件の価格相場は日々変動しています。
しかし、ネットの見積サイトでは情報が古く、見積価格と実際に売却できる価格にギャップがあるということが往々にしてあります。
しかし、HowMaではAIを使って相場の膨大なデータを常に収集しているので、常に相場価格に近くの額が分かるサービスです。
最新の価格データを知りたい方はぜひ利用してみてください。
おすすめ3.10秒でDo
その名の通り、わずか10秒で家の価格を査定してくれるサービスです。
まずは簡単に、お試し感覚で物件の価格を調べてみたい方にはおすすめです。
アプリタイプなので、スマホからインストールして利用してください。
物件情報を入力するだけで査定額を見ることができます。
個人情報の入力も不要なので、安心して利用できますね!
ステップ2.夫婦間での合意形成+家・ローン名義の確認
ある程度、家にどのくらいの金額がつくのかを把握したら、具体的に家を売るためのアクションをとっていきましょう。
夫婦間での合意形成
家を売却する際は、必ず夫婦で合意をとってから売却するようにすることが大切です。
どちらか一方の意志だけで進めてしまうと、トラブルになりかねません。
家を売却するか、持ち続けるか、メリットデメリットを比較しながら話し合いましょう。
もしも相手と連絡が取れない場合、弁護士を立てて話し合いを進めることになります。
家・ローン名義の確認
家の名義は、不動産の登記簿謄本で確認するのが確実です。
最寄りの法務局で貰うことができるので、以下より最寄りの法務局に問い合わせてみましょう。
もしくは、家の購入時に受け取っている「権利証」もしくは「登記識別情報通知書」でも確認できます。
住宅ローンの名義はローン契約している金融機関(銀行など)に問い合わせて確認しましょう。
契約している金融機関の窓口を訪ねてみるのが確実です。
この際に、住宅ローンの名義と連帯保証人を合わせて確認するようにしてください。
連帯保証人に関しては、信用情報機関(CICなど)に開示を求めることで確認することもできます。
インターネットからでも簡単に開示請求ができるので、確認のためにも問い合わせてみましょう。
ステップ3.住宅ローン残債の把握
夫婦での合意が取れたら、住宅ローンの残債はいくら残っているのかを確認しましょう。
家を売った時のお金でローンの残債に足らない場合、売却自体ができない恐れもあります。
一般的なやり方を3つご紹介します。
- 住宅ローン返済予定表で調べる
- インターネットバンキングを使って調べる
- フラット35の住宅ローン残債を調べる
住宅ローン返済予定表で調べる
住宅ローンを契約した際に送付されている返済予定表があれば、それで確認しましょう。
繰り上げ返済や滞納していない限り、その返済予定表に残債の記載があるので正しい金額が確認できます。
ただし、最新の情報かどうかは定かではないので、返済予定を変更した場合などは、インターネットバンキングで最新の情報を確認するようにしてください。
インターネットバンキングを使って調べる
楽天銀行や住信SBI銀行などでネットバンキングで住宅ローンを契約していた場合は、ネットで住宅ローン残債を確認できます。
メガバンクや地方銀行でもインターネットバンキングに対応している金融機関であれば、手続きをすれば照会が可能です。
スマホでも簡単に確認できるので、紙が見当たらない方はこちらのやり方を試してみましょう。
フラット35の住宅ローン残債を調べる
フラット35でローンを組んでいる場合、取り扱いの金融機関もしくはコールセンターに連絡することで照会できます。
お客さまコールセンター 専用ダイヤル(電話:0120-0860-16)
コールセンターで照会を求める場合は、返済引き落とし口座の口座番号を本人確認のために聞かれます。
事前に準備をして電話するようにしましょう!
4.住宅ローンが残っている場合はどうする?
「住宅ローンの残債を確認したら、家を売却しても返せないほど残ってる…」
家の価格を査定しても、住宅ローンの残債に届かない場合、そのままでは売却することは基本的にできません。
借金が残っている家に、買い手はつきませんよね。
残りの残債分を返済しないと、売却はできません。
では、売却金でローンの残債を完済できない場合、どんな選択肢を取れるのか見ていきましょう。
選択肢1.預貯金などから残債分を返済する
売却金に加えて、預貯金などから現金を出せる場合です。
売却金と併せて住宅ローンの残債を返済できるのであれば、売却することは可能です。
親族からお金を借りたりして、何とか現金を集めることができるのであれば、ローンの残債は返済してしまう方が良いでしょう。
やはり家を持ち続けるということは金銭的にも精神的にも負担になってしまうことが多いです。
選択肢2.どちらか一方が住み続ける
住宅ローンの残債が残ってしまい、現実的に売却できない場合、Aさんのように夫婦のうちどちらかが家に住み続けるというパターンです。
住む方は住環境を変えずに済むため、子供がいる家庭はこの選択肢を検討するケースも多いかもしれません。
しかし、このケースでは、前述のとおり金銭的なリスクがついて回ります。
住宅ローンの債務は、ローンの名義人と連帯保証人のどちらにも課されます。
そのため、どちらか一方が住み続け、もう片方が家に住んでいなくても、債務は消えずにそのまま残ってしまいます。
住宅ローンは夫名義・妻が連帯保証人になっており、夫がそのまま住み続けてローンの支払いも行う場合を考えてみましょう。
家を出て住んでいない妻にも債務は残ったままです。
数年たってから夫が住宅ローンの返済を滞らせれば、妻が代わりに返済を求められることになります。
ローンの借り換えを行うか、別の連帯保証人を立てるなどして、連帯保証人から外れる選択肢を探さないといけません。
しかし、連帯保証人を外れるのはとてもハードルが高いです。
このような長期的な金銭的リスクが伴うという事は忘れないようにしてください。
選択肢3.任意売却を検討する
任意売却は最終手段だと考えましょう。
家の価格を査定してみても、住宅ローンの残債をはるかに下回ってしまい、返済できる見込みがないときに出てくる最後の選択肢だと言えるでしょう。
任意売却とは、住宅ローンが残っている状態でも金融機関(銀行など)の合意を得ることで家と土地を売却できる方法です。
任意売却は通常、経済的に支払いができない人が対象です。
そのため、数か月のローンの対応が必要であったり、金融機関の信用情報にキズがついてしまいます。
金融機関の立場からしても、無担保での状態で残りの残債を返済してもらうことになるので、リスクが高いため最終手段と言える方法です。
なかなか簡単に承認されるわけではないですが、「ローン返済がどうしてもできない」という人は検討してみてもいいかもしれません。
5.家の財産分与にまつわる疑問あれこれ
最後に、家の財産分与にまつわるよくある疑問にまとめて回答していきます!
Q1.家を売って財産分与した場合は贈与税はかかる?
A1.財産分与では、基本的に贈与税はかかりません。
贈与税は、無償で財産を譲り受けたときにかかる税金です。
税金で損をしないためには、家を売却するタイミングを離婚直後にしましょう。
離婚の前に家を売却し、現金を分け合った場合は贈与税がかかります。
一方、離婚後に家を売却して財産分与した場合、夫婦の共同財産を清算するもので贈与ではないと判断できます。
そのため、贈与税はかかりません。
税金で損をしないために、離婚後に家の売却をするのがベターです。
また、離婚後だとズルズル先延ばしになる可能性があるので、離婚直後に売却して財産分与できるように事前に話を進めて準備しておきましょう。
Q2.離婚後の生活はどうする?
A3.家を売却する方向で考え、小さな家に住み替えるのがベストです。
家の住宅ローンが残っている場合、やはり住み続ける選択肢をとるのはリスクが大きくなってしまいます。
(もちろん、住宅ローンを完済している場合は別ですが…。)
近年はライフスタイルの変化も激しくなっています。
例えば子供がいる家庭だと、子供の住環境を変えたくないからそのままの家に住み続けたいと思うケースも多いです。
しかし、子供が成長し、家を出ていくと、その大きな家は不要になってしまいますよね。
「やっぱり売却しよう」となっても、共有名義になっていると夫婦両方の承諾がないと売却することができません。
そのため、離婚から数年たってから家の売却の承諾をしてもらうために相手に連絡を取らないといけないというのもなんだか気が進みませんよね。
離婚で関係をきれいに清算し、新しい生活に踏み出すためにも、小さな家を借りて生活を再構築するのがベストだと考えられます。
Q3.独身時代の貯金も財産分与の対象になるの?
A3.夫婦の共同財産ではないので、財産分与の対象になりません。
家を結婚前にすでに購入していた場合や、両親から相続した場合など、財産分与の対象には含まれません。
財産分与は、あくまで結婚後に夫婦で共同で築いた財産を清算するものです。
例えば、住宅ローンの支払いをどちらかの独身時代の貯金や親に支払ってもらっていた場合、その分は財産分与の対象になりません。
結婚後にできた貯金などから支払った分からが夫婦の共同財産として判断されます。
まとめ
今回は、30代の子持ち女性が離婚で家を財産分与するときの、分け方や注意点、ベストな選択肢は何なのかについてお伝えしてきました。
ポイントを以下3つにまとめました。
- 財産の分け方は大きく分けて3パターン
- 金銭的リスクを考えると家は売却するのがベスト
- まずは複数見積もりで家の現在価格を査定してみよう
この記事を読んでくださっているということは、これから具体的に財産分与についての話し合いに臨むという方が多いのではないでしょうか。
離婚では多くの精神的・経済的エネルギーを消耗してしまいます。
特に家をどうするかの話し合いは、お互いの意見が違えば衝突し、長期化することも多いです。
少しでも有利に話し合いを進めるため、まずは家の価格を把握しておき、財産分用についての知識を簡単には知っておきましょう。
本記事がお役に立てば幸いです。