頭金は2割が理想!毎月のローン返済を少なくする方法を紹介

マイホームを購入する際、最初に支払う頭金をどうするか悩むところですよね。

頭金は、購入価格の2割を支払うことが多いですが、一方で頭金を0円にして購入することも不可能ではありません。

この記事では、

  1. 頭金ってどれくらい支払うもの?多く支払った方がいい?
  2. 頭金が必要なタイミングって?適切な頭金がいくらなのか知りたい!

そんなお悩みにお答えしていきます。

頭金に関する知識を身につけて賢く家を購入しましょう!

1.そもそも頭金とは?

頭金は、住宅を購入した際にローンで支払う分を差し引いたお金のことをいいます。

頭金の役割としては、住宅ローンも含めたマイホーム購入に必要な総支払額を減らすことです。

例えば建物2,000万円、土地1,000万円、諸費用400万、合計3,400万円かかる物件を購入するとします。

この時頭金を300万円支払えば、住宅ローンの借入額は3,100万円で済むという計算になります。

頭金を支払えば、住宅ローン費用も総支払額も合わせて減らすことができるのです。

2.頭金の目安は物件価格の1〜2割

マイホーム購入の際、「頭金は1〜2割用意しておきましょう」とよく言われます。

以前は住宅金融公庫などで住宅ローンを借りる場合、借入限度額が購入金額の8割まででした。

なので、必然的に2割を現金で準備する必要があったのです。

そんな昔の名残もあって、頭金は目安として1〜2割とされていますが、頭金を支払わなくても物件を購入することは可能です。

では、なぜ頭金を払った方がいいのかそのメリットを紹介していきます。

3.頭金を支払うメリット

マイホーム購入の際、頭金を支払うことのメリットはいくつかあります。

ここでは、メリットを3つ紹介します。

  1. 借入金が少なくなる
  2. 売る時に担保割れを防ぐ
  3. 利子が少なくなる

具体的にどんな恩恵を受けられるのかを見ていきましょう。

メリット1.毎月の住宅ローン返済額が少なくなる

頭金を支払って総支払額を減らすことで、住宅ローンの借入額を少なくすることができます。

借入額が減れば住宅ローンの利息も減らすことができますし、毎月の返済額が減って生活に困るリスクも回避できるのです。

※頭金なしの場合と頭金2割の場合の返済額の違い

頭金 借入額 住宅ローン総返済額  毎月の返済額   ローン利息 
頭金0円の場合 3,000万円 31,674,712円 82,828円 1,674,712円
頭金2割の場合
(600万円支払い)
2,400万円 25,340,261円 62,121円 1,340,261円

メリット2.売る時に担保割れを防ぐ

担保割れとは、「住宅ローンの残債」が「住宅の価値(時価)」を上回っている状態のことです。

つまり家を売りたいと思った時に、自分で差額のお金を用意しなければなりません。

「担保割れ」が生じるのは、住宅の価値の下落スピードにローン残債の減り方が追い付かないことによります。

頭金を支払って住宅ローンの借入額を減らすことで、担保割れを防ぐことができます。

メリット3.利子が少なくなる

頭金を支払うことで、住宅ローンを組む際に必要な利子を少なくすることができます。

例えば、支払う頭金の額によって返済額はこのように変わってきます。

  • 物件価格3000万円
  • 金利1.75%
  • 返済期間35年
頭金額 住宅ローン総支払額 住宅ローン利子
頭金0円(借入額3000万円) 31,981,828円 1,981,828円
頭金300万円(借入額2700万円) 28,783,882円 1,783,882円
頭金500万円(借入額2500万円) 26,651,912円 1,651,912円

このように、頭金の支払額によって住宅ローンの利子は大きく変わってきます。

頭金を支払うことで、無駄な出費を減らすことができるというわけです。

4.頭金を支払うデメリット

頭金を支払うことはメリットばかりのように見えますが、実はそうではありません。

多額の出費に伴うデメリットを2つ紹介します。

  1. 手持ちの現金が少なくなる
  2. 住宅ローン減税の控除額が減る

頭金を支払う際のデメリットも必ずチェックしておきましょう。

デメリット1.手持ちの現金が少なくなる

まとまった金額の頭金を支払えば、当然今まで貯めてきた貯金が減り手持ちの現金が少なくなります。

安定した収入があれば「大丈夫!」と考えがちですが、突然の病気や事故で急に働けなくなり収入が減少するリスクも考えられます。

こういった不測の事態に備えるためにも、頭金を支払う際には十分な計画が必要です。

デメリット2.住宅ローン減税の控除額が減る

先に頭金を支払うと、住宅ローン減税の控除額が減ってしまいます。

住宅ローン減税とは、年末の住宅ローン残高の1%が所得税・住民税から控除される制度のことです。

この制度は13年間受けることができるので、頭金を支払わずに住宅ローン減税の控除額を増やす方法を選ぶ人も多くいます。

頭金を払うと住宅ローンの借入額が減り、住宅ローン減税の控除額が減るというデメリットがあるからです。

どれくらい減るのかを見てみましょう。

□年収に対する住宅ローン減税比較表

年収 借入額 借入額
   2000万円  3000万円
年収400万円 162万円(200万円)  172万円(229万円)
年収500万円 168万円(206万円) 223万円(280万円)
年収600万円 168万円(206万円) 251万円(308万円)
年収700万円 168万円(206万円) 252万円(309万円)

※()内金額は、拡充措置適用時13年間の額。

表を見ても分かるように、借入額が少ないほど減税額は減り、多いほど減税額が増えます。

減税額は年収によっても異なるので、年収と比較して頭金の額を検討すると良いでしょう。

5.頭金0と頭金2割を支払ったときの違い

ここでは、頭金が0円の場合と頭金を2割支払った場合との違いを項目別で見ていきましょう。

実際にどれくらい違いが出るのかを見比べることで、自分に合った返済方法がより明確にできます。

【基本条件】
・住宅購入価格3000万円
・返済期間30年
・金利1.5%
・元利均等払い
・ボーナスでの元金返済総額600万円

頭金 借入額 住宅ローン総返済額 毎月の返済額 ローン利息
頭金0円の場合 3,000万円 31,674,712円 82,828円 1,674,712円
頭金2割の場合
(600万円支払い)
2,400万円 25,340,261円 62,121円 1,340,261円

利子の違い

頭金0円と頭金2割における利子の差額は、約300万円ほどです。

これだけの金額を余計に払わなければならないと考えると、住宅ローンの勿体無さが浮き彫りになります。

毎月返済額の違い

毎月の返済額に関しては、約2万円の差が生じます。

毎月2万円余分に出費するのは、想像以上に負担が大きいものです。

総支払額の違い

総支払額については、約900万円の違いが出ることが分かります。

これだけ大きな違いがあるとなると、より計画的にローンを組む必要性を感じますね。

6.頭金の決め方

住宅ローンによる出費を少しでも抑えたいというあなたは、頭金の決め方を知っておいた方がいいでしょう。

ここでは頭金の正しい決め方を2つ紹介します。

  1. 手元に残すお金を決める
  2. 購入にかかる費用を計算する

それでは、順に見ていきましょう。

決め方1.手元に残すお金を決める

突然の病気や事故で働けなくなり、安定した収入が途絶えてしまった時のことも考えたうえで、手元に残すお金を決めましょう。

一般的には、生活資金の半年から1年分程度の貯蓄があれば、いざという時の備えになります。

現在の収入と支出状況をしっかり把握し、万が一の場合にも生活に困らない資金がどれくらいなのかを考えてみましょう。

決め方2.購入にかかる費用を計算する

家を購入する際、一体何にどれくらいの金額がかかるのかを知っておくことが大切です。

購入にかかる費用は、あらかじめ細かく計算しておきましょう。

【物件価格3000万円の家を購入する場合に必要な諸費用】

申込証拠金 2万〜10万円
手付金 3000万円×0.1=300万円(購入代金の10〜20%)
修繕積立金 約20万円
引越し費用 約30万円
合計 約360万円

上記は特に出費がかさむ諸費用を抜粋して計算したものです。

この他にも細かい諸費用がかかってきますので、購入の際は事前に計算しておくと良いでしょう。

7.頭金を支払うタイミングはいつ?

頭金を支払うタイミングは、実際に購入する事が決まった契約時から引渡し(=融資実行日)までの間と考えておきましょう。

契約後、引渡しまでの期間が短い中古物件なら、頭金を調達する時間は限られてきます。

契約前に十分な資金を調達しておく必要があるでしょう。

新築物件なら完成までに数ヶ月(マンションなど長期計画や着工前申し込みなら1年弱ほど)の時間的猶予が生まれます。

その間に毎月コツコツと貯金をしておけば、頭金の支払額を増やすことも可能です。

8.家を購入するときに必要なお金

家を買うとなると、単純に「物件価格」だけを考えがちです。

しかし実際には、物件価格以外にも購入手続きにかかる諸費用(初期費用)がかかってきます。

ここでは購入に必要なお金の全体像をきちんと把握しておきましょう。

必要な諸費用 内容 新築一戸建て 新築マンション 中古マンション
申込証拠金 新築マンション等の「購入申し込み」時に不動産会社に支払うお金。 ×
手付金 売買契約時に売主に支払うお金で、契約を破棄する場合は返金されない。購入代金の5%~10%程度が一般的。
印紙税 売主とかわす売買契約書に印紙を貼る形で支払われる税金。契約金額に応じて金額が変わる。
仲介手数料

中古物件や一部の新築一戸建てなど、仲介会社を通して物件を購入する場合、仲介会社に払う手数料。

×
不動産取得税 不動産を取得した際に、一度だけ支払う税金。
固定資産税・都市計画税 1月1日の不動産所有者に対してかかる税金。日割り金額を売り主に支払うことが多い。
登記費用

不動産登記(所有権の保存または移転など)、抵当権設定登記の際に必要な登録免許税や、司法書士に依頼する場合の報酬。

印紙税 ローン契約書に印紙を貼る形で支払われる税金。
ローン借入費用

事務手数料、ローン保証料、団体信用生命保険特約料、火災保険料などが必要になる。

修繕積立基金 新築マンションを購入する際に支払う。地域や物件、住戸の広さによって、20万円台~40万円台と幅がある。 × ×
水道負担金 一戸建てを購入する場合など、新たに水道を利用する際に必要になる場合がある。 ×
引っ越し費用 現在の住まいから新居に引越すための費用。
家具購入費用

新居の購入にあたっては、家具や家電などを新たに購入したり、買い替えたりするケースが多い。

これだけ見ても、実に多くの諸費用がかかることが分かりますね。

一つ一つの出費は少ないものもありますが、重なると大きな出費になってしまいます。

単に物件価格だけを用意するだけでは資金が足りない可能性もあるので、事前に調べておく必要があるでしょう。

9.無理のない範囲で頭金を!

マイホームを購入するには、頭金をはじめまとまった金額が必要になってきます。

購入した後も毎月住宅ローンを支払っていくことになるので、無理のない範囲で資金調達をしておくことが大切です。

頭金に関する理解を深め、計画的に備えておきましょう。