【銀行別】不動産投資ローンの審査基準は?通らない理由まで解説!

「不動産投資でローンを組みたいけど、審査ってどうなっているんだろう…」

と、お悩みではありませんか?

結論から言うと、不動産投資のローンの審査額は、個人の年収や、物件の内容によって変わるので、人によって異なります。

しかし、全ての金融機関に共通して、審査で重要となるポイントはあります。

この記事では、不動産投資ローンの審査ポイントと金融機関ごとの審査基準について。

また、不動産投資ローンの審査の注意点も詳しく解説しています。

ぜひ、参考にしてください。

1.不動産投資ローンとは?

不動産投資ローンとは、マンションやアパート経営などの不動産投資のために、金融機関から融資を受けることができることを指します。

「不動産用のローンで、住宅ローンもあるけど一緒なの?」 と、思っている方もいるかも知れませんが、以下の表のように異なります。

項目 不動産投資ローン 住宅ローン
借入目的 投資収益を得る 自宅として利用する
返済方法 毎月の家賃,売却利益 毎月の給与
返済期間 20~35年 20~35年
金利 年1.5~4.5%程度 年0.5~2.0%程度
融資の審査内容 物件の収益性,個人の返済能力 個人の返済能力
法人名義での契約 不可

このように、様々な違いがあるので、住宅ローンとの違いをしっかり理解した上で、不動産投資を始めましょう。

2.不動産投資ローンの審査ポイントは?

不動産投資ローンの審査では、「継続してローンの返済が可能であるか」が見られています。

そして、返済可能かどうかの審査ポイントとして以下の3つが大きな評価対象になります。

この3つが高水準であるほど、融資を受けやすくなり、金額も大きくなります。

  1. 物件評価
  2. 属性評価
  3. 人間性評価

それでは、順番に詳しく見ていきましょう。

(1)物件評価

1つ目は物件評価です。

ローン審査では、主に以下の2つの物件情報がポイントになります。

  1. 物件の場所
  2. 物件の収益性

物件評価が高い場合、審査を通りやすくなるだけでなく、融資額や金利についても交渉がしやすくなります。

それでは、順番に見ていきましょう。

物件評価1.物件の場所

ローンの審査において、物件の場所次第では、そもそも審査を受けれないことがあります。

銀行の店舗ごとに、融資可能エリアが決まっており、そこから外れると融資を受けることができないためです。

仮に、あなたが、「みずほ銀行」でローンの審査に行ったとします。

その際に、購入物件がみずほ銀行の融資可能エリアから外れていた場合、審査が通りません。

まずは、購入物件の近くにある銀行を確認してから、ローンの審査を受けましょう

物件評価2.物件の収益性

不動産投資ローンでは、家賃収入を元にローンを返済していくため、物件の収益性も重要です。

そのため、金融機関はその物件の家賃収入で利益が得られるかどうかでローンの審査をします。

その際、物件の実質利回りや周辺の状況などを総合的に見て、物件の収益性が評価されます。

ローン審査を受ける時には、シミュレーションなどから収支計画を立て、物件の収益性を明確にしましょう。

~補足~ 実質利回りと表面利回りの違い 表面利回りとは、家賃収入を投資金額(物件価格)で割ったもの。

賃貸経営にかかる経費を考慮にいれていないため、大まかな指標として使用される。

それに対して、実質利回りは家賃収入から固定資産税、火災保険料などの不動産会社に支払う費用などを差し引いた額を購入費用で割ったもので、より正確な収益性がわかる

(2)属性評価

2つ目は属性評価です。

「属性」とは、借主個人の社会的・経済的背景のことです。

金融機関は、「属性」が高い人を優先して融資を行います。

ローン審査では、主に以下の5つの属性がポイントになります。

  1. 年収
  2. 職業
  3. 勤続年数
  4. 自己資本額
  5. 借金の有無

それでは、1つずつ見ていきましょう。

属性評価1.年収

ローン審査において、年収は重要な審査ポイントです。

以下の表が年収と融資額の目安になります。

年収 目安融資額
年収400万円以下 年収の10倍程度
年収400~700万円 年収の15~20倍程度
年収700万〜1000万円 年収の20〜30倍程度
年収1000万円以上 年収の20倍〜

一般的にサラリーマンの場合、年収の10〜20倍程度が融資限度額と言われており、年収が400万以上あれば審査は通りやすくなります。

しかし、投資用不動産の融資限度額は、明確な基準が銀行によっても異なるため、必ず400万以上必要という訳ではありません。

属性評価2.職業(勤務先)

職業(勤務先)もローン審査において重要なポイントです。

審査が通りやすい職業(勤務先)は以下の図のようになります。

表をみてわかる通り、「雇用の安定性」がローン審査に影響しています。

そのため、公務員から順に、弁護士などの士業や上場企業、中小企業、経営者やフリーランスと続きます。

しかし、金融機関は、企業名だけで判断しているわけではありません。

  • 資本金
  • 社歴
  • 売り上げ
  • 従業員数
  • 支店数

などの項目もチェックしています。 そのため、中小企業勤務でも、勤務先が評価されて、大きな融資をうけることもあります。

属性評価3.勤続年数

金融機関は、勤続年数が長ければ長いほど、収入が安定していると判断し、審査が通りやすくなります。

具体的には3年以上勤続していると、評価されやすくなります。 また、転職していて勤続年数が短くても、転職先が同業種や同業界、キャリアアップだった場合も評価対象になる可能性があります。

脱サラをして、不動産投資を始めようと考えている方は、勤続年数が0年になってしまい融資が受けにくくなるので、脱サラする前に不動産投資を始めましょう。

属性評価4.自己資金額

自己資金額が多いことで”お金の管理ができている人=返済能力が高い人”と見なされる可能性が高いため、ローンの審査は有利になります。

さらに、自己資金を多く用意できる人はその不動産投資に対して本気でと判断され、返済意思も十分にあると評価されます。

目安として、物件価格の20パーセントが用意できていると、大丈夫です。

最低でも、自己資金として300万はないとかなり厳しいので、ローン審査前に準備するようにしましょう。

属性評価5.借金の有無

借金の有無によっても、ローンの審査での評価が変わります。

金融機関にとっては、すでに借金を抱えている人は返済能力に不安があると見なされ、審査が通りにくくなります。

特に、消費者金融での借り入れやクレジットカードの未払いがある場合は、「信用情報機関」に借入の履歴が5年間残っているため、その間はローンの審査は厳しいでしょう。

ローンの審査を受ける際は、借金の有無を確認しましょう。

(3)人間性評価

3つ目は人間性評価です。

ここでいう人間性とは、「信用できる人かどうか」です。

金融機関側は、長期間の返済を約束通りに実行してくれるかをじっくり見極めます。

審査の当落選上だった場合、人間性評価が最後の決め手になります。

そのためにも、マナーや身だしなみなどにも気を配りましょう。

具体的には、面談や審査の際の遅刻は絶対にしないようにしましょう!

また、普段着での訪問はできるだけ避け、スーツなどの正装が望ましいです。

担当者に信用してもらえるように、好感が持てるような対応を心がけましょう。

3.金融機関ごとでの不動産投資ローンの審査基準は?

不動産投資でローンを組む際には、ほとんどの人が金融機関を利用すると思います。

しかし、金融機関によって、融資の積極性や条件などの審査基準が異なります。

不動産投資のローン審査基準を、金融機関で分類すると大きく以下の5つに分かれます。

  1. 都市銀行・メガバンク
  2. 地方銀行
  3. 信用金庫
  4. ノンバンク
  5. 日本政策金融公庫

そして、審査基準を表でまとめると以下のようになります。

金融機関名 融資金利 借入限度額 対象となる年収
都市銀行・メガバンク 0.8~1.4% 年収の12~15倍 700〜1000万円以上
地方銀行 1.5~3.5% 年収の15~20倍 500万円〜700万円
信用金庫 1.5~3.5% 年収の15~20倍 年収500万円以下
ノンバンク 3.6~4.5% 年収の20~30倍 年収500万円以下
日本政策金融金庫 1.5~2.0% 4800万or7200万円 年収500万円以下

その他にも特徴がそれぞれ違いますので、順番に詳しく解説していきます。

(1)都市銀行・メガバンクの特徴

都市銀行・メガバンクは、融資金利は低いですが、審査のハードルがこの中で最も高いです。

また、不動産投資の融資にはやや消極的で審査に時間もかかります。

まずは、都市銀行・メガバンクからの融資を進め、限度額を超えたところで他の金融機関を検討するのがおすすめです。

しかし、融資を受けることができる人が限定的であることを注意しましょう。

(2)地方銀行の特徴

地方銀行は、都市銀行やメガバンクに比べると少し金利が高いですが、借入限度額が大きく、属性の制限が小さくなっているため借りやすい点が特徴です。

また、不動産投資ローンに積極的な所もあるので、審査のスピードも早くなります。

しかし、融資エリアが地域ごとに限定されているので、購入する物件のエリアに対応している所を探す必要があります。

(3)信用金庫の特徴

信用金庫は、地方銀行とほぼ同じ条件ですが、より融資エリアが限定的であることが特徴です。

また、会員や組合員からの共同出資で運営されている非営利組織であるため、融資の基準は地方銀行よりも少し低めに設定されています。

(4)ノンバンクの特徴

ノンバンクは、地銀など以上に属性制限が小さく、物件評価の基準も低いため、融資を最も受けやすいのが大きな特徴です。

また、借入限度額も大きく、年収の30倍もの借入ができる場合もあります。 しかし、金利が最も高く、担保も多めに要求されます。

そのため、ノンバンクで扱う金額は極力少なめにするのが理想と言えるでしょう。

(5)日本政策金融公庫の特徴

日本政策金融公庫は、この中で唯一、民間ではなく国の機関として運営している銀行です。

明確な年収の下限設定が無く、審査の際には属性情報よりも事業性を重視することが大きな特徴です。

国が事業支援を行うという形で融資をするので、事業の返済可能性が、審査で一番重視されます。

そのため、年収500万円以下の方に対し、他の金融機関では絶対に融資しないような物件に融資をすることもあります。

また、若者や女性など社会的弱者を優遇し、低金利かつ固定金利で借入ができ、保証人も不要です。

しかし、支店ごとの判断基準がかなり違うため、審査結果が非常に読みづらくなっています。

審査の敷居が最も低くく、条件も良いので積極的に利用しましょう。

4.不動産投資ローンの審査に通るために必要な3つのコト

次に、ローン審査が通るために必要な3つのことをご紹介します。

以下3つは、ローンの審査の際に必ず必要で、また融資も受けやすくなるので、覚えておきましょう。

  1. 不動産賃貸業の経営と考える
  2. 自身の資料を作成する
  3. 検討している物件の資料を揃える

それでは、順番に詳しく解説していきます。

(1)不動産賃貸業の経営と考える

ローンの審査に通るためには、不動産投資ではなく、不動産賃貸業の経営と考えましょう

不動産賃貸業の経営として、融資を受けた方がローンの審査が通りやすくなります。

不動産投資を始める理由として、

  • 楽して稼ぎたい
  • 不労所得が欲しい
  • サラリーマンをやめたいから

など、それぞれ理由があると思います。

銀行の担当者は

「この人にお金を貸しても本当に不動産経営ができるのか?」

と思い、このような考え方を嫌う傾向にあるためです。

銀行の営業マンと対等に話ができる程度の知識を身につけ、不動産賃貸業の経営者としてローンの審査を受けましょう。

(2)自身の資料を作成する

銀行でローンを組む際に、自身の属性(年収、勤務先など)が必要になるため、自身の資料も作成しましょう。

融資をする側から見て、どんな人間かもわからない人に大金を融資することはありません。

以下の3つを抑えた上で自身の資料を作りましょう。

  • どのような人間なのか?(経歴など)
  • どのような方針で不動産経営をしているのか?
  • どのような実績をもっているのか?

1ページにつき1メッセージを心がけて、資料を作成すると見やすくなります。

自身の資料を作るだけで、ほとんどの銀行員は良い印象をもってくれるため、ローンの審査がスムーズに進むこと間違いなしです

(3)検討している物件の資料を揃える

次に、検討している物件の資料を揃えましょう。

銀行のローン審査において、物件の資料がないと融資相談にすら乗ってくれません。

最低限、以下の物件資料は揃えましょう。

〜必要な物件資料〜

  • 物件概要書
  • 間取り・写真
  • レントロール

この段階で、初めてローンの審査額が検討されます。

その際に、他の物件と融資額の比較検討もできますので、気になっている物件の資料はできる限り持っていきましょう。

5.ローン審査が通りやすくなる3つのポイント

ここでは、ローン審査が通りやすくなる3つのポイントをご紹介します。

以下3つのポイントは、どこの金融機関でも通りやすくなるので、積極的に試していきましょう。

  1. 返済期間を短く設定する
  2. 銀行の営業部担当者に相談する
  3. 物件資料のやシミュレーションに力を入れる

それでは、順番に詳しく解説していきます。

ポイント1.返済期間を短く設定する

1つ目はローンの返済期間を短く設定することです。

不動産には、耐用年数が存在するため、銀行は不動産の耐用年数が超えた期間の融資を受けることを避けます。

つまり、返済期間を不動産の残存耐久年数以内かつ、可能な限り短く設定することで、融資が受けやすくなります。

(補足)〜耐用年数とは?〜

耐用年数とは、一般的に建物などが使用に耐えられなくなるまでの利用可能年数のこと。 例えば、木造の建物の場合だと法定耐用年数は22年であるため、22年間で徐々に価値が減って行き、22年を経過すると”価値が0円”になります。

建物構造 耐用年数
木造 22年
鉄骨 34年
RC 47年

ポイント2.銀行の営業部担当者に相談する

2つ目は、銀行の営業部に相談を持ちかけることです。

銀行の支店には、「営業部」と「審査部」があります。

営業部は営業であるため、融資を促進する立場です。

それに対して、審査部は審査であるため、融資をストップする役割があります。

そのため、営業部の方が、融資に対して前向きに検討してくれる可能性が高く、ローン審査が通りやすくなります。

まずは、営業部の担当者に相談をしましょう。

ポイント3.物件資料やシミュレーションに力を入れる

3つ目は、物件資料のやシミュレーションに力を入れることです。

「ローン審査って年収や勤務先で8割ぐらい決まるんじゃないの?」

と、思う方が多いと思いますが、ローン審査では、事業内容や収益性の方が重要視されます。

実際に、年収500万円以下でも事業内容がよかったため、高額のローン審査が通ったケースもあります。

以下のポイントに注意して、事業資料の作成やシミュレーションを行いましょう。

  • 物件の周辺調査ができているかどうか?
  • 計画通りに行かなかったとしても、返済が滞ることがないか?
  • 収支シミュレーションに生活費まで含めているか?

6.ローン審査の流れ・必要なモノ

ローンの審査期間は、だいたい1ヶ月〜2ヶ月かかります。

ここでは、審査期間中のローン審査の流れ・必要なモノをご紹介。

主な流れは、以下の5つのステップになります。

  1. 事前審査
  2. ローンの申し込み
  3. ローン審査の手続き
  4. 融資実行

それでは、順番にみていきましょう。

Step1.事前審査

まずは、事前審査を受けましょう。

ローン審査は、通らないケースが多々あります。

物件の売買契約の前に事前審査を受けてことで、時間のロスがありません。

金融機関の融資担当者に連絡をとり、不動産投資ローンを申し込むための準備をましょう。

また、ネットから事前審査ができる金融機関もあるので、チェックは必須です。

Step2.ローンの申し込み

次はローンの申し込みです。

ローンを申し込む時に必要な書類は、金融機関によって多少違いますが、基本的には以下のものになります。

〜不動産会社に揃えてもらうもの〜

  • 登記事項証明書
  • 地積測量図
  • 公図
  • 建築確認済証
  • 重要事項説明書

〜自身で用意するもの〜

  • 物件概要書
  • レントロール
  • 本人確認書類
  • 印鑑証明書
  • 給与明細
  • 源泉徴収票
  • 勤務先の会社概要
  • 確定申告書(自営業者の場合)
  • 事業収益計算書(自営業者の場合)

不動産会社に協力してもらって、スムーズに揃えるようにしましょう。

Step3.ローン審査の手続き

ローン審査が通ったら、金融機関とローン契約を結び融資手続きを行います。

以下が主な契約内容になります。

  • 金銭消費貸借契約(ローン契約)
  • 抵当権設定契約・根抵当権設定契約

諸費用として、物件価格の約7~10%程度がかかるので注意しましょう。

Step4.融資実行

最後に、融資の実行です。

物件の引き渡しの日までに金融機関から融資金額が振り込まれて完了です。

まとめ

不動産投資のローン審査について解説しました。

ローンの審査は、物件内容や個人の属性によって、条件が大きく変わります。

また、金融機関ごとでも審査の基準が違います。

審査ポイントを抑えた上で、ローンを組むようにしましょう。

「もう少し詳しく知りたい!具体的に銀行まで決めたい!」

と、思っている方は、こちらの記事を参考にしてみてください。