転勤が決まった!それでも住宅ローンを返済していくたった一つの方法

「住宅ローン返済中なのに転勤が決まったけど、家は絶対に手放したくない!」

住宅ローンを組んで購入したお気に入りのマイホーム。

何度も足を運び、検討に検討を重ねて買った家族の憩いの場を、そう簡単には手放したくないですよね。

転勤になっても持ち家を手放すことなく、住宅ローンを返済していく方法は、ズバリ「賃貸に出すこと」です!

今回は、賃貸に出すメリットデメリットを中心に、具体的な流れについてもご紹介します。

転勤の際に必要な住宅ローンの手続きまでわかるようになっているので、ぜひ最後までご覧ください。

まず最初に、住宅ローンの残っている家をどのように対処する人が多いのかを見てみましょう。

1.会社からの補助はある?転勤の実態

住宅ローンを組んでいるのに転勤が決まると、住宅ローンと赴任先の家賃をどちらも払わなければなりません。

住居費が単純に2倍かかってしまうので、家計に与える負担はかなり大きくなってしまいます。

会社が赴任先の家賃補助を出してくれるなら負担は軽くなりますが、実際にどのくらいの補助があるのでしょうか?

なんと!転勤経験者の32%は転勤費用が全額自腹

転勤者を対象にしたアンケート調査で、32%の転勤経験者が全額自腹だということが分かりました!

こちらの画像の一番右をご覧ください。


(出典:東急住宅リース「ビジネスパーソンの転勤事情に関する調査2020」)

この調査からみると、転勤費用のすべてを負担してもらえるのは4人に1人の割合とかなり少ないですね。

4人に3人、実に75%の人は転勤費用について自腹で負担しています。

会社都合の転勤にもかかわらず、転勤費用を自分を出すとなると経済的に厳しいですよね。

転勤費用を負担しなければならないとなると、持ち家の住宅ローンを支払い続けるのは、家計を圧迫するため現実的に難しくなります。

一般的なサラリーマンの収入から考えると、なかなか厳しいですよね。

この現状の中、実際に転勤を経験した人は持ち家をどのように対処したのでしょうか?

転勤経験者の約40%が持ち家を賃貸に出している

下の画像の一番左をご覧ください。

約40%の人が持ち家を賃貸に出していることがわかります。

(出典:東急住宅リース「ビジネスパーソンの転勤事情に関する調査2020」)

転勤で家を離れる場合、賃貸に出して家賃収入を得ようとする人が多いようです。

転勤の場合に持ち家をどうするかの選択肢は、「貸す」「売る」「空き家として保有」の三択になります。

もちろん、どれを選択するかは、人それぞれ転勤期間や置かれている状況によっても変わってきます。

それでは、持ち家を手放すことなく住宅ローンを支払い続けるには、どの選択肢をとるのがベストなのでしょうか?

2.【結論】転勤でも住宅ローンを返済できる方法は「賃貸」

ここまでの内容を踏まえると、転勤になっても住宅ローンを支払っていくためには、
「持ち家を賃貸に出し、家賃収入で住宅ローンの支出分を補填する」
のがベストな選択肢と言えます。

持ち家を購入する時、検討に検討を重ねて購入に至った方が多いと思います。

そんな思い入れのある家を、転勤であっさりと売却するなんて、なかなか勇気がいることですよね。

かといって、空き家として維持しておくのも経済面からみると簡単なわけではありません。

住宅ローンに加えて固定資産税などの税金もかかります。

持ち家は手放したくないけど、住宅ローンもし払い続けるのは経済的に苦しい…

そんな人には、家を賃貸に出して維持する方向で考えるのがベストな選択肢と言えるでしょう。

しかし、ベストな選択肢といえど、物事は表裏一体。

良いこともあれば悪いこともあります。

ここからは、持ち家を賃貸に出すメリット・デメリットを詳しく見ていきましょう。

3.持ち家を賃貸に出すメリット・デメリット

賃貸に出すメリット・デメリットをそれぞれ3つずつご紹介します。

良い点悪い点を把握したうえで、あなたにとって最良の選択肢かどうかを判断してくださいね!

3-1.持ち家を賃貸に出すメリット


ちなみに、持ち家を賃貸に出すメリットを、実際の転勤経験者は以下のように回答しています。


(出典:東急住宅リース「ビジネスパーソンの転勤事情に関する調査2020」)

メリット1.家賃収入が入る

賃貸に出すことで、入居者から家賃収入を得ることできるのが一番のメリットです。

会社からの家賃補助がある場合はそのまま副収入になります。

補助がない場合でも住宅ローンの出費を家賃収入でまかなうことで、持ち家を手放さずに住みます。

家賃収入を得られるのが賃貸に出す最大のメリットと言えるでしょう。

メリット2.物件の維持も兼ねることができる

入居者に住んでもらうことによって、物件の維持も同時に兼ねることができます。

定期的な見回りや換気の手間が不要になります。

家を空き家にして置いておく場合、空気の入れ替えが起きないため、床や壁が傷んでしまいます

また、空き巣が入っていないかなど、定期的な見回りは不可欠です。

賃貸に出して入居者に住んでもらうことで、自然と物件の維持を兼ねることができます。

メリット3.元の勤務地に戻ったらすぐに住める

転勤が終わった後、戻って来れる家があるという安心感を得られます。

もし家を売却してしまうと、また家を探すところから始めなければなりません。

間取り、値段、住宅ローンの組みなおし、職場からのアクセス…などなど、様々なことを考えなければなりません。

お金も時間もかかるため、元の家にスムーズに戻ることができる点はメリットと言えるでしょう。

3-2.持ち家を賃貸に出すデメリット

一方で、持ち家を賃貸に出すことでデメリットも生じます。

メリットばかりを見るのではなく、どんなデメリットがあるのかもしっかりと把握しておくことが大切です。

デメリットに対する対処法もお伝えしますので参考になれば幸いです!

デメリット1.他人に家を使われてしまう

持ち家を他人に貸すと、目の届かないところでトラブルなどが起きる可能性があることは理解しておかなければなりません。

経年劣化で仕方ない場合もありますが、家具を壊されてしまったり、床が傷ついてしまう可能性があります。

こういった部分には目をつぶる必要がある点はデメリットです。

対策として、入居者はどんな人なのかを事前に把握するために直接対面して話すようにしましょう。

話してみることで、借り手も大家さんの顔を知れるので、大切に使おうと思ってもらいやすくなります。

デメリット2.途中で売却しづらくなる

持ち家を賃貸に出している間は、「収益物件」として扱われます

収益物件は、投資家向けに売却することになるので、何かの事情で「やはり売却したい」と思っても、簡単に売却できなくなります。

特にファミリー向けの賃貸物件は収益性が低くなることが多いため、買い手が見つかりづらいです。

不動産を高く売却したい方はこちらの記事をご覧ください。

転勤で家を売却しなきゃいけない!持ち家を売却するときに覚えておくべき3のコツとは?

デメリット3.入居者が退去してくれないリスクがある

入居者は法律で強く守られているので、契約は自動更新になるのが通常です。

そのため、入居者が応じなければ退去させることができません。

転勤から戻って来ても、元の家に住めなければ本末転倒ですよね。

対策としては、「契約期間が終わったら必ず退去してください」という期限付きの契約を結ぶことです。

たとえば、2020年の4月から転勤が決まり、3年で戻ってくることが分かっている場合、2年半後の2022年10月に退去してくださいという内容にします。

これを定期借家契約と言います。

このような期限付きの契約にしておけば、トラブルを避けることができます。

4.この条件に当てはまる人は持ち家を賃貸に出すべき!

これらの条件に当てはまる人は持ち家を賃貸に出すべき人です!

詳しく見ていきましょう。

転勤期間が3年以内

転勤期間が3年以内程度で期限が決まっている場合、いつ頃元の勤務地に戻ってくるのかの計画が立てやすくなります

入居者にいつまで住んでも大丈夫なのかを事前に伝えることができ、退去時のトラブル防止につながります。

転勤期間が3年以内ならば、賃貸に出すのを検討するのがベストです。

転勤期間が未定の場合はいつまで賃貸にすればいいのか見当をつけるのが難しいため、売却を検討するのが良いでしょう。

また、逆に1年以内といった短い転勤の場合は人に貸すのではなく空き家で置いておくという選択肢をとることも可能になります。

家賃補助なし

家賃補助がない場合、住宅ローンと赴任先の住居費を2重で支払わなければなりません。

一般的なサラリーマンからすると、現実的に金銭面で難しいですよね。

持ち家の住宅ローンは家賃収入で補うことが必須になります。

全額補えなくとも、半分でも補えたら経済的にグッと余裕が出てきます。

家賃補助が出ない場合は、賃貸に出すことを検討しましょう。

一方で、家賃補助がある場合は選択肢が広がります。

賃貸に出せば家賃がそのまま副収入になりますし、空き家で置いておく選択肢も取ることができます。

ほかの選択肢についてはこちらの記事で詳しく説明しているのでご覧ください。

転勤で持ち家/マイホームは売る?賃貸?空家?ベストな判断基準を授けます!

5.賃貸に出すには?7つのステップを解説

ここまでご紹介したメリットデメリットを踏まえたうえで、「賃貸に出したい」という方に向けて、具体的にどうやったらいいのかについてお話しします。

実際に持ち家を賃貸に出して契約が決まるまで、大きく7つのステップがあります。

簡単に一つずつ流れを見ていきましょう。

ステップ1.まずは賃料査定

まず初めに、持ち家がどのくらいの賃料で貸し出すことができるのか、賃料査定で確認しましょう。

相場と比較した時に持ち家がどの程度の賃料をとることができるかの指標になるため、次に行う収支シュミレーションの参考になります。

インターネットから簡単に賃料査定できるサービスを利用するのがおすすめです。。

例えば、三井のリハウスの賃料査定は、所要時間約60秒という驚きの速さで査定を申し込むことができます。

査定~賃貸借契約まで相談に乗ってもらうこともできるので、分からない点や不安な点があればすぐに聞くことができるので、その点もありがたいですね。

ステップ2.収支シュミレーションを行う

賃貸に出す場合、年間でどれくらい費用が掛かるのかを確認しましょう。

初期投資として最初に必要になる金額と、毎年継続してかかる金額を分けて考えるのがポイントです。

項目は上の図で確認してみてください。

金額は各個人で大きく変わってくるので、ご自身にあったシュミレーションを立てましょう。

ステップ3.不動産会社を選ぶ

借り手を探してくれる不動産会社を選んで契約します。

借り手を見つけるためには、物件の情報だけではなく周辺地域の環境なども細かく説明してもらうことが重要になってきます。

そのため、地域密着型の不動産会社を選ぶのがおすすめです。

まずは、賃料査定を行い、査定を行った不動産会社から依頼する会社を選びましょう!

賃料査定&不動産会社選びをこちらのサイト1つでできてしまいます!

三井のリハウスで賃料査定を行う

ステップ4.貸出条件を決める

不動産会社と契約したら、どのような条件で貸し出すのかを決めていきます。

「できるだけいい人に住んでもらいたい」
という気持ちから項目を多くしてしまいがちなのですが、条件が多いほど借り手が見つかりづらくなってしまいます。

どうしても外せない項目以外は目を瞑ることも必要になってきます。

詳しくは不動産会社に相談しながら決めていくのが良いでしょう。

ステップ5.入居者の募集と審査を行う

条件が決まれば、広告やポータルサイト、店頭に物件の情報を出し、入居者の募集を行います

希望者が見つかった場合、内見は不動産会社の担当者が行ってくれます。

しかし、審査は本人(オーナー)が行うか、不動産会社が行うかは契約の仕方によって変わります。

代理で行ってもらう契約にしておく方がスムーズですが、信頼できる不動産会社かどうかの見極めが必要です。

ステップ6.賃貸借契約を結ぶ

希望者の審査をして問題なければ、賃貸の契約を結びます

物件の情報について説明しなければなりませんが、不動産会社に任せていて問題ない部分です。

ただ、後々トラブルが起こらないように、事前に情報の漏れがないように確認はしておきましょう。

契約自体は書面上でのやり取りのみで済むことが一般的です。

ステップ7.管理・運営を行う

契約を結べば、いよいよ賃貸経営のスタートです。

家賃の集金や入居者からのクレーム対応・設備の修繕といった管理業務を行う必要が出てきます。

転勤になって遠方に行く場合、管理会社に委託する形になります。

費用は家賃の5%程度が相場となっています。

仲介してくれた不動産会社が紹介してくれることが多いですが、ご自身で探してより条件の良い管理会社を見つけても良いでしょう。

6.【注意点】賃貸に出す場合に必要な住宅ローンの手続き

今まで住宅ローンを支払っていた/今から住宅ローン支払うけれども転勤が決まった場合、住宅ローンに関する手続きはどのようなものが必要なのでしょうか?

また、住宅ローン控除は引っ越しても引き続き受けられるのか?わかりやすく解説します。

銀行への連絡

転勤が決まり、引っ越す場合転勤で引っ越す旨と新住所を銀行に通知しましょう。

住宅ローンは、原則「利用者本人の居住」のための特別なローンなので、利子が低く設定されています。

そのため、賃貸に出して住宅ローンの契約人以外の人が住むのは、実は「条件違反」になってしまうのです。

しかし、銀行はこれを黙認しているというのが現状なので、一括返済を求められるリスクは限りなく低いと考えられます。

銀行にとっての最大のリスクは、ローン債務者と連絡が取れなくなることです。

住所変更を連絡せずに放置してしまうと銀行からの連絡が返送されてしまうなど、印象が悪くなってしまいます。

そうなってしまうと、黙認しているルール違反を指摘される可能性もあります。

そこで、銀行にはかならず「転勤で引っ越す旨と新住所」を通知しましょう。

住宅ローン控除を受けている間に転勤になった場合

この場合、通常は元の家に戻ってきた年から住宅ローン控除が再度適用されます。

転勤期間は、住宅ローン控除は適用されません。

しかし、転勤期間に賃貸に出していた場合は、戻ってきた年の翌年からの適用になります。

そして、住宅ローン控除の再適用が認められるには、2つの要件を満たさなければなりません。

  1. 転勤命令などのやむを得ない事情があること
  2. 所定の手続きを引っ越しで家を出るまでに行っていること

手続きに関しては、
「転任の命令等により居住しないこととなる旨の届出書」
などの必要書類を所轄税務署に提出しなければなりません。

詳しくは、国税庁のHP「No.1234 転勤と住宅借入金特別控除等」をご覧ください。

住宅を購入した年に転勤になり、また戻ってくる場合

マイホームを購入した年内に転勤になった場合、初年度は住宅ローン控除が受けられません

その後転勤先から戻り、再びその家に住む場合は適用を受けることができます。

賃貸に出していた場合はその翌年からになります。

ただし、再度適用を受けられるのは、マイホームの取得から6ヶ月以内に住んでいることが条件となっています。

そのため、マイホーム購入後に一度も住むことなく転勤が決まってて引っ越した場合は適用の対象外になってしまいます。

この点は注意が必要です。

また、購入した年の転勤の場合、税務署への書類の提出は特に必要ありません。

【補足】「賃貸に出すのは嫌」な人がとれる選択肢2つ

転勤になっても持ち家の住宅ローンを支払い続ける方法は「賃貸に出す」でした。

しかし、「賃貸に出すのは嫌」な人がとれる選択肢は何があるのでしょうか?

選択肢1.売却する

「元の勤務地に戻ってこれるかどうかわからない」
そんな方は売却を検討するのがいいでしょう。

売却することで、管理や維持にかかるお金と時間をかけずに済みます。

賃貸に出すと、管理や維持をしなければなりません。

さらに、管理費や固定資産税も継続的に必要になってしまいます。。

転勤期間に期限が決まっていてまた戻ってくる見込みがある人なら心置きなく賃貸です。

しかし、転勤期間が未定の人は売却してしまう方が経済的にも時間的にも良い選択と言えるでしょう。

転勤の際に家を売却してしまいたい人は以下の記事で詳しい流れを解説しているのでご覧ください。

転勤で持ち家/マイホームは売る?賃貸?空家?ベストな判断基準を授けます!

選択肢2.空き家にしておいておく

「他人に家を使われるのはどうしても嫌だ!」
「転勤にはなったけど1年後には戻ってくることが決まっている」
そんな方は空き家として置いておくことを考えましょう。

空き家にしておいておけば、転勤から戻ってきた際にすぐに住むことができます。

特に煩わしい手続きやお金のかかるクリーニングも必要ない点はメリットです。

もちろん、空き家にしている間は住宅ローン+税金は支払わなければなりません。

転勤期間が1年以内で決まっている方や、経済的に余裕がある方は空き家にする選択肢をとってもいいでしょう。

転勤の際に空き家にしておきたい方は以下の記事で解説しているのでご覧ください。

転勤で持ち家/マイホームは売る?賃貸?空家?ベストな判断基準を授けます!

まとめ

突然転勤になったとしても、住宅ローンの支払いは止まりません。

本記事のポイントを簡単に3つにまとめます。

  1. 賃貸に出して住宅ローンを支払い続ける
  2. 転勤3年以内&家賃補助なしの人は賃貸一択
  3. 銀行への連絡と住宅ローン控除手続きは忘れずに

転勤辞令から引っ越しまで、あまり時間が残されていないと思います。

本記事が、貴方にとって最善の選択の手助けになれば幸いです。