【限界集落って何?】限界集落になる原因や共通する特徴を全て紹介しちゃいます…

「限界集落って何?どんな地域のこと?」
「限界集落は全国にどれくらいあるの?何が原因で限界集落になる?」

など、限界集落について詳しく知りたいと考える方は多いでしょう。

結論から言えば、日本には15,000を超える限界集落があり、今後も増える予測です。

そこで本記事では、限界集落に関する以下4点について、わかりやすく説明しています。

  1. 限界集落になる原因
  2. 限界集落に共通する特徴
  3. 限界集落が抱えるリスク
  4. 限界集落回避のための対策

この記事を読めば、限界集落問題への理解が深めることができます。

ぜひ、ご覧ください。

1. 限界集落とは

限界集落とは

まずは、限界集落がどのような状況の地域を指すものなのか、定義や内容について、見ていきましょう。

限界集落は、人口減・少子高齢化が進む日本の将来を映したものであり、今後も増えていくことが予測されています。

「限界集落」「準限界集落」「危機的集落」の3つの集落について内容を把握し、現状や課題を正しく認識できるようになりましょう。

ここでは、以下4点について紹介していきます。

  1. 「限界集落」の定義
  2. 限界集落に近い「準限界集落」
  3. 限界集落より危険な「危機的集落」
  4. 全国の限界集落数「15,568集落」

1−1. 「限界集落」の定義

「限界集落」とは、集落から人口流出が続き、過疎化が進んだ町や村のことを言います。

限界集落の定義は「人口の50%以上が65歳を超えている集落」です。

つまり、2人に1人以上が65歳以上の高齢者で、さまざまな面で集落の維持が限界に達している地域のことになります。

人口の半数以上が65歳以上ともなると、労働力が落ちて産業やサービスは衰退するため、地域の発展は臨めません。

インフラも整備されず、災害リスク等も高くなるでしょう。

人口流入がなく、65歳人口の割合が増え続けるため不便な地域になっていきます。

1−2. 限界集落に近い「準限界集落」

限界集落になる可能性が高い集落は「準限界集落」と呼ばれます。

準限界集落とは「人口の50%以上が55歳を超えている集落」のことです。

つまり、2人に1人以上が55歳を超えており、極めて限界集落に近い状態の町や村になります。

限界集落よりも若年層や壮年層が残っているため、人口が増加すれば限界集落になることを回避することも可能です。

しかし、人口流出が続くようであれば、限界集落になるのも時間の問題と言えます。

限界集落の前段階として、準限界集落があることを覚えておきましょう。

1−3. 限界集落より危険な「危機的集落」

「危機的集落」とは、限界集落よりも危険な状態にある集落のことです。

具体的には「人口の70%以上が65歳を超えている集落」になります。

10人中7人が65歳超であり、まさに高齢者だらけの地域です。

人口の半数以上が65歳以上の限界集落でも、地域はうまく機能していません。

危機的集落であれば、まったく機能しておらず、廃村直前の状態と言えます。

産業等が盛んで若者が移住し、人口が増加すればいいですが、そうでない場合は集落が消滅するのも時間の問題です。

準限界集落や限界集落は、なんとか危機的集落に陥らないように対策を講じなければなりません。

1−4. 全国の限界集落数は「15,568集落」

国交省と総務省の「条件不利地域における集落の現況把握調査について(平成27年4月時点)」(ページ23-7)によると、全国にある75,662集落のうち、65歳以上が人口の半数を超える限界集落の数は「15,568(20.6%)集落」もありました。

平成22年の調査時は10,091(15.5%)集落でしたので、5年間で5,000以上も限界集落が増えたことになります。

地域別に見ると、以下のエリアが限界集落の数が多いです。

  1. 中国圏
  2. 九州圏
  3. 四国圏

また、前回(平成22年)調査と今回調査で比較可能な集落が64,130あるのですが、以下のように約8割の集落で人口が減少しています。

  • 人口減少の集落:52,058(81.2%)
  • 人口増加の集落:8,649(13.5%)

尚、75歳以上が人口の半数以上を占める危機的集落は3,457もありました。

さらには、65歳以上の人しかいない集落が801、75歳以上しかいない集落が306もあります。

人口減・少子高齢化が進むことが確実な日本において、これらの集落数はさらに増えていく見込みです。

2.【危険】限界集落になる5つの原因

【危険】限界集落になる5つの原因

限界集落になる地域には、必ず原因があります。

人・若者が増えないから限界集落になるのであり、原因がないのに限界集落に陥ることなどありません。

限界集落になる原因がわかれば、知っている地域に照らし合わせて、危険度を予測することができます。

以下は、限界集落になる5つの原因です。

  1. 他の地域からの移住者がいない
  2. 集落内で子供が誕生しない
  3. 魅力的な施設などがない
  4. 集落を出た若者が戻ってこない
  5. 盛んな産業がない

それぞれの内容について、1つずつ確認していきましょう。

原因1.他の地域からの移住者がいない

限界集落になる原因の1つが、他の地域からの移住者がいないことです。

たとえ、人口流出が多い地域であっても、流出以上の流入があれば限界集落は回避できます。

人口が増えて、その地域が栄えるからです。

移住者が流出する人口よりも少なければ、産業やサービスは衰退し、いずれ限界集落に陥り、集落としての機能も失われます。

近年、都会から田舎への移住が流行っていますが、魅力ある地域で移住支援制度がないと、移住者は簡単には増えません。

他の地域からの移住者がいない場合は、いずれ限界集落になる可能性があるため、早期の対策が必要です。

原因2.集落内で子供が誕生しない

子供が誕生しないのも、限界集落に陥る1つの要因と考えられます。

子供が誕生しなければ、人口増を移住者にのみ頼るしかありません。

小さい子供が多いければ、地域が活性化し、産業やサービスの発展につながります。

現在、日本の合計特殊出生率は1.42(2018年)で、出生数は2016年に年100万人を割っており、2019年の出生数は約86万人です。

日本の合計特殊出生率・出生数をみたい人は「日経新聞」で詳しく掲載しているので気になる人は見てみて下さい。

子供が誕生したからといって、人口減・少子高齢化を止められるわけではありません。

しかし、小さい子供がいることで地域の大人たちは未来に危機感を持ち、何らかの行動を起こす可能性が高くなります。

子供が誕生しない地域は、若者も少なく高齢者ばかりなので、地域の未来図を描きづらく、活性化もされません。

原因3.魅力的な施設などがない

魅力的な施設などがないことも、限界集落になる原因の1つです。

限界集落の多くは、市街地から離れた山間地になります。

つまり、周辺にお店や商業施設、飲食店などがほとんどありません

スーパーやコンビニまでも車で30分以上かかる集落もあります。

スーパーやコンビニはもちろん、大型商業施設や文化的施設、観光施設など魅力的な施設が近くにあれば、人は集まってくるものです。

集落の近くにこのような施設がない場合、移住しようと思う人は少ないでしょう。

ある程度、利便性を求める若者や子育て世代であれば、なおさらです。

原因4.集落を出た若者が戻ってこない

限界集落になる原因となるのが、集落を出た若者が戻ってこないことです。

若者が戻ってこなければ、流出の歯止めが効きません。

また、若者が減って高齢者が多い地域だと活性化や繁栄も難しいでしょう。

これから働き盛りを迎える若者がいなくなれば、産業の継ぎ手も見つかりません。

若者が集落を出て戻ってこないのは、次の理由からです。

  • 地域に魅力がない
  • 仕事がなく十分な収入を確保できない
  • 出会いがない
  • 同世代の人がいない など

集落に同世代の若者が多く、出会いがあり、持続的で十分な収入を確保できるようであれば、若者は戻ってくるでしょう。

そもそも、集落を出ない可能性もあります。

若者が、あたりまえのように集落を出て戻ってこないのであれば、限界集落になるのは時間の問題です。

同じ理由で、若い移住者も集まらないでしょう。

原因5.盛んな産業がない

集落内に盛んな産業がないことも、限界集落になる原因です。

多くの限界集落は、農業や林業、漁業など中心の農村や漁村になります。

しかし、これらの仕事に興味・関心がある若者は、それほど多くありません。

また、農業や林業、漁業で十分な収入を確保できるのであれば、興味を示す人は増えますが、集落で十分な収入を確保できるケースは少ないです。

周辺地域一帯を代表するような産業が盛んな集落であれば、発展が見込めますが、そうでなければ衰退していき収入を維持できません。

限界集落となるような地域は、立地的に不利なことが多いです。

そのため、産業が盛んでなければ人は比較的集まりにくくなります。

3. 限界集落に共通する4つの特徴

限界集落に共通する4つの特徴

多くの限界集落には共通する特徴が見られます。

どんな特徴があるのかを知ることで、限界集落になるリスクが高い集落を見分けることが可能です。

以下は、限界集落に見られる4つの特徴になります。

  1. 集落の人口が50人未満しかいない
  2. 集落が中山間地にある
  3. 世帯数が30未満である
  4. 役場のある市街地から離れている

それぞれの特徴について、1つずつ見ていきましょう。

特徴1.集落の人口が50人未満しかいない

限界集落に見られる特徴の1つが、集落の人口が50人未満であることです。

人口が非常に少ない上に、65歳以上が半数を超える状況になっています。

「条件不利地域における集落の現況把握調査について」の調査地域の中で、人口が50人未満の集落数は2万超です。

全国にある75,662集落のうち、3割近くを占めています。

人口50人未満の集落がすべて限界集落ではありませんが、その可能性が高い地域ばかりです。

尚、人口50人未満の集落数が多い地域は、以下のとおり限界集落数が多い地域と同じになります。

  1. 中国圏:6,207
  2. 九州圏:3,845
  3. 東北圏:3,136
  4. 四国圏:3,122

また、中国圏に関しては、人口10人未満の集落が659もあります。

人口50人未満だと、集落として機能していない可能性が高く、人口増も難しいでしょう。

多くの限界集落に見られる1つの特徴となっています。

特徴2.集落が中山間地にある

集落が中山間地にあることも、多くの限界集落に見られる特徴です。

地域区分別の集落数は、山間地が22,356、中間地が21,888で、集落全体の約58%が中山間地にあります。

都市的地域には、集落が6,673(8.8%)しかありません。

また、平地に関しても集落が20,392(31.4%)とたくさんあります。

つまり、利便性が優れた都市的地域以外には、多くの集落があるということです。

特徴3.世帯数が30未満である

世帯数が30未満であることも、多くの限界集落に見られる特徴です。

「人口50人未満」同様、限界集落になりやすい集落の1つの指標として見ることができます。

以下は、世帯数が30未満の集落数が多い地域です。

  1. 中国圏:8,272
  2. 東北圏:6,106
  3. 九州圏:5,205
  4. 四国圏:3,877

中国圏は、10世帯未満しかない集落が2,141もあります。

また、20世帯未満の集落は5,890あり、中国圏の集落全体の4割超を占める状況です。

世帯数が少ないということは集落がうまく機能せず、利便性も優れていないことが容易に想像できます。

このような地域では若者も出ていき、移住者もいないことが多いです。

世帯数が非常に少ないことも、限界集落に多い特徴になります。

特徴4.役場のある市街地から離れている

役場から離れていることも、限界集落に多く見られる特徴の1つになります。

役場は、その地域の中心地にあることが多いため、市街地から離れているということです。

具体的には役場から10km以上離れている場所に、集落・限界集落がたくさん見られます。

最も限界集落数が多い中国圏では、10km以上の距離にある集落数は7,541(54.7%)です。

中心地から離れて利便性等が悪くなると、限界集落になる可能性があります。

4. 限界集落が抱える6つのリスク

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限界集落は、人口や世帯数が少ない上に大半が高齢者なので、さまざまなリスクを抱えています。

どのようなリスクがあるのか理解すれば、限界集落の危険度がわかるはずです。

以下は、限界集落が抱える6つのリスクになります。

  1. 空き家の増加で治安が悪化する
  2. 空き地が増える
  3. 農業、林業、漁業などの産業が衰退する
  4. 町の発展が期待できない
  5. インフラ整備が不十分になる
  6. 災害リスクが高くなる

どのようなリスクがあるのか、1つずつ確認していきましょう。

リスク1.空き家の増加で治安が悪化する

限界集落が抱えるリスクの1つが、空き家の増加による治安悪化です。

限界集落になると高齢化により人口減少が進み、空き家が多くなります。

空き家が増えると風景や景観が悪化するだけでなく、治安悪化につながるため注意が必要です。

空き家が多くなると、不審者が勝手に住んだり事件を起こす可能性があります。

実際、日本でも空き家で大量の大麻を製造したり、外国人犯罪グループが詐欺に悪用したり、遺体遺棄事件などが発生しているのです。

国土交通省が全国の市区町村に行ったアンケート結果(平成21年1月)でも、多くの自治体が空き家は防災や防犯機能の低下を招き、犯罪を誘発すると答えています。

アメリカで「最も危険な都市」とされるデトロイトも、空き家の増加によって犯罪都市になったと言われているほどです。

限界集落になり空き家が増加することで、地域の治安が悪化して住民の生活が脅かされることになります。

リスク2.空き地が増える

空き地が増えることも、限界集落のリスクです。

人口減・高齢化が進むことで、農地や空き地の管理が難しくなり、荒れ地が増えてしまいます。

風景や景観が悪化するだけでなく、土地の価値まで下落してしまい、売却も難しくなるでしょう。

土地の有効活用もできない中で、固定資産税等のコストは発生し続けます。

また、空き地にゴミを不法投棄されることもあるでしょう。

空き地や荒れ地が多いような地域に、移住する人はいないため、さらに人口減少のスピードが早くなります。

リスク3.農業、林業、漁業などの産業が衰退する

農業、林業、漁業などの産業が衰退することも、限界集落のリスクです。

多くの限界集落では、農業、林業、漁業などが主な産業となり、住民の生活を支えています。

移住者がおらず、高齢化や人口減が進めば、これらの産業が衰退していくことは確実です。

限界集落によって、農林漁業へも影響が出ます。

リスク4.町の発展が期待できない

限界集落になれば、今後の町の発展が期待できません

半数以上が65歳超であり、人口減が益々進むためです。

移住者がいなければ、危機的集落になるのも時間の問題と言えます。

集落も機能せず、産業も衰退するなど、地域の発展は非常に難しいでしょう。

リスク5.インフラ整備が不十分になる

限界集落のリスクの1つが、インフラ整備が不十分なことです。

限界集落は、人口や世帯数が少なく家がポツンポツンと建っていて、隣家とも相当な距離があります。

どの自治体も財源に余裕がない中で、限界集落の道路や水道管、電気などのインフラ整備に十分なお金を回すことができません。

人口が集中している市街地のインフラ整備や観光対策などに、十分な予算を充てるでしょう。

人口や世帯数が少ない限界集落では、インフラ整備が不十分なこともリスクです。

リスク6.災害リスクが高くなる

災害リスクが高くなるのも、限界集落のリスクと言えます。

上記の通り、限界集落は十分なインフラ整備が行われません。

また、空き家や空き地が多い上に大半が高齢者です。

さらに、多くの集落が山間地にあります。

地震や台風、豪雨などの自然災害が発生すれば、被害が大きくなる可能性が高いです。

5. 限界集落回避のための3つの対策

限界集落回避のための3つの対策

ここでは、限界集落を回避するための3つの対策について紹介します。

対策を講じたとしても、限界集落を回避することは簡単なことではありません。

しかし、何もしなければ驚くようなスピードで限界集落になり、その後危機的集落へと陥ることになります。

対策を講じることで、集落の高齢化・人口減のスピードを抑制することは可能です。

その間に、新たな対策を次々と行えば、回避の可能性は高まるでしょう。

以下は、限界集落回避のためにできる基本的な対策3つです。

  1. 空き家バンクを活用した移住促進
  2. 空き家を活用した事業
  3. イベント実施で魅力をアピール

比較的スピーディーに、取り組みできる対策ばかりになります。

それぞれの内容について、見ていきましょう。

対策1.空き家バンクを活用した移住促進

限界集落を回避するための対策として、空き家バンクを活用した移住促進があります。

空き家バンクとは、物件情報を登録すれば、移住希望者に空き家情報を提供できるサービスです。

運営しているのは全国の自治体なので、信頼性が高く、住まい探しで利用する移住者はたくさんいます。

空き家バンクを見て物件情報が少なければ、「住む家がない」と勘違いされる可能性があるでしょう。

他の地域への移住を検討され、機会損失となる可能性があります。

また、住みたい家があるかどうかで移住先を決める人もいるので、多くの情報を載せておくことが大事です。

空き家バンクなど、移住者が利用するサイトに多くの物件情報を載せ、少しでも多くの人に興味を持ってもらいましょう。 

対策2.空き家を活用した事業

空き家を活用して事業やサービスを展開することも、限界集落を回避する対策の1つです。

たとえば、

  • 空き家を移住体験用の宿泊先にする
  • リノベーションして宿泊施設として運用する
  • 古民家カフェなどをオープンする

など、他にもいろんなことに空き家を活用することができます。

空き家のままにしていても、地域にとって良いことはないため、さまざまな事業やサービスを展開するべきです。

家を通じて地域の良さに触れてもらうことで、移住者が増える可能性があります。

限界集落の対策として、空き家を積極的に活用しましょう。

対策3.イベント実施で魅力をアピール

限界集落を回避するためにも、イベントを実施して地域の魅力をアピールしましょう。

地域に移住者が来ない理由は「魅力がない町(村)」と思われているからです。

食事や景色、観光スポットや工芸品など、地域の魅力となるものを活用してイベントを行えば、興味を持つ人が現れる可能性があります。

SNSも活用して情報発信すれば、地域の良さが一気に知れ渡るかもしれません

また、都市部で実施される地方イベントにも参加するなど、積極的に動くことが大事です。

まとめ

ここでは、限界集落になる原因や特徴、リスクや対策について紹介しました。

最後にもう1度、ここで紹介した大事なポイントを3点まとめています。

  1. 限界集落は「人口の50%以上が65歳を超えている集落」で全国に15,568集落ある
  2. 人口減少や少子高齢化、地域に魅力がなく活性化していないことで限界集落が生まれる
  3. 限界集落になると治安が悪化したりインフラ整備が不十分になるなど多数の弊害が出る

限界集落は今後も増えていくでしょう。

一人ひとりが限界集落が増える現状を認識し、アイデアを出したり、行動を起こすことも大切になります。

まずは、限界集落への理解を深め、今起きていることと向き合うようにしましょう。