「元会社員でも、田舎で仕事はあるの?」
「スキルがないけど、田舎へ移住してどんな仕事ができる?」
などと田舎暮らしをしたときに仕事があるかお悩みですね。
特に、職人のように手に職がない会社員だと、移住後の仕事を不安に思うはずです。
本記事では、元サラリーマンでもできる田舎での仕事と給料の目安を紹介しています。
田舎であっても自給自足は難しく、仕事がないと暮らしていけません。
本記事を参考に、自分にぴったりな田舎での仕事を見つけましょう。
1.田舎で仕事をしたい移住者が知っておきたい3つの事情
「手に職もないし、田舎に移住して仕事があるか心配」という人は多いでしょう。
職人のようなスキルがないと、田舎暮らしできないイメージがある人もいるはずです。
しかし、手に職がなくても、田舎での仕事はあります。
そのため、元会社員であっても田舎への移住は可能です。
ただし、田舎での仕事には注意点があります。
元会社員でも就ける仕事を紹介する前に、田舎で仕事をするときに知っておきたい3つのことを確認しましょう。
- 田舎で仕事するデメリット
- 仕事が見つからない可能性はある
- パラレルワーカーを目指そう
それぞれ順番に詳しく解説します。
1-1.田舎で仕事するデメリット
田舎で仕事はありますが、都市に比べて仕事の数も選択肢も多くありません。
さらに、都市より賃金が低いため、移住すると収入が減少する人がほとんどです。
田舎だと都市部より支出は減ります。
しかし、減収した分だけ支出が減る可能性もありません。
田舎で仕事をするには、このようなデメリットがあることを覚えておきましょう。
1-2.仕事が見つからない可能性はある
田舎での仕事は賃金が低いといったデメリット以外にも、仕事自体が見つからない可能性があります。
たとえば、次のような人は田舎で仕事を見つけにくいでしょう。
- 仕事へのこだわりが強い人
- 仕事を選り好みする人
特に「田舎でしたい仕事がない」という人は、移住後に仕事を探すとなかなか見つけられないことがあります。
田舎での仕事が心配なら、移住前に仕事を見つけてから引っ越しましょう。
1-3.パラレルワーカーを目指そう
田舎暮らしは、複数の仕事をして生活費を稼ぐことをおすすめします。
なぜなら、田舎での仕事は賃金が安いため、兼業した方が効率よく生活費を稼げるからです。
ここまで見てきたように、田舎での仕事は次のようなデメリットがあります。
- 仕事の数や選択肢が少ない
- 賃金が安い
- やりたい仕事を見つけられない
このようなデメリットを回避し田舎で暮らすには、パラレルワーカー(複数の仕事をする人)になりましょう。
たとえば、ゲストハウスを運営しながら、カフェとネットビジネスを行うといったイメージです。
パラレルワーカーになれば、1つ1つの仕事の収入は少なくても、田舎で暮らす生活費を稼ぐことができます。
田舎暮らしをしたいなら、パラレルワーカーを目指しましょう。
2.脱サラして田舎暮らしする人におすすめの仕事10選
「複数の仕事を持った方が良いと分かったけど、どんな仕事があるの?」と気になる人も多いはずです。
脱サラして、「スキルはないけど田舎暮らしをしたい」という人は、次の10の仕事を検討してみましょう。
- 農業・漁業・酪農などの一次産業
- 自伐型林業
- ライターなどネットビジネス
- 民宿・ゲストハウス
- カフェ・レストラン
- 非常勤の公務員
- 介護職
- 工場勤務
- 地域おこし協力隊
それぞれの仕事の給料の目安も紹介するため、どのような仕事をどれくらいすれば暮らしていけるかイメージしてみましょう。
仕事1.農業・漁業・酪農などの一次産業
一次産業の年収:150万円~300万円程度
田舎暮らしを希望する人の中には、農業や漁業など「一次産業をしたい」と考えている人もいるでしょう。
一次産業を仕事にする場合、コストと労力が必要です。
元会社員の素人が田舎で始めて、すぐにお金になる仕事ではありません。
自分で食べる分なら作れるかもしれませんが、仕事としては難しいため兼業することになります。
それでも一次産業を仕事にしたい人は、しっかり調べて、週末農業などをして実践を積んでから移住しましょう。
雇用されて一次産業をする
一次産業で雇用されて働く場合の時給:1,000円程度
一次産業に携わりたいなら、大きな農家などで社員やバイトとして働き、スキルや経営ノウハウを学ぶことをおすすめします。
なぜなら、雇用されて働けば、独力で学ぶよりも効率的に勉強でき、生活費も稼げるからです。
住み込みなら、田舎暮らしを経験することもできます。
一次産業で働きたい人は、まず短期間でもバイトとして仕事を体験し、仕事としてやっていけるか、田舎で暮らせるかを確認しましょう。
仕事2.自伐型林業
自伐型林業の年収:300万円~400万円程度
自伐型林業(自伐林業)とは、小規模の森林の管理と森林から持続的に収入を得る林業のことです。
高額な初期費用が必要だった従来の委託型林業と異なり、初期費用が300万円ほどから始められる低コストの林業となります。
委託型林業とは、森林組合や業者に森林管理などを委託する林業のこと。
自伐型林業は初期費用が低いこともあり、田舎へ移住した人が参入しているケースが多いです。
さらに林業は農業のようにこまめな手入れも必要なく、農業やネットビジネスなど他の仕事との兼業に適しています。
林業を始めたい人は、移住前に自伐型林業の研修に参加しましょう。
仕事3.ライターなどネットビジネス
ネットビジネスの年収:数千円~数百万円
インターネットさえあれば仕事ができるビジネスなら、田舎暮らしでも問題ありません。
資格がなくても始めやすいネットビジネスには、主に次のような仕事があります。
仕事 | 内容 |
通販会社運営 | 仕入れたものやハンドメイドのものを販売する仕事。 在庫・物流管理してくれる代理倉庫会社を利用すれば、自宅で在庫を持たなくても運営できます。 |
ライター | Webサイトや雑誌などに掲載する文章を書く仕事。 クラウドワークスなどネット上の求人から仕事を探せます。 |
ブロガー | 自分のブログに記事を投稿し、アフィリエイトなどを利用して稼ぐ仕事。 有名になれば記事が書籍になったり、セミナーを開講したりできます。 |
ユーチューバー | YouTubeに自主制作の動画を公開して、広告収益によって収入を得る仕事。 動画を多く見てもらえれば、収益が上がり、セミナーといった他の仕事に繋がります。 |
ネットビジネスは、田舎暮らしの情報を発信したい人におすすめです。
ただし、ほとんどのネットビジネスはすぐに収益化できません。
そのため、林業とネットビジネスなど兼業する仕事の1つとして考えましょう。
仕事4.民宿・ゲストハウス
宿泊施設運営の年収:100万円~400万円程度
田舎で民宿やゲストハウスといった、小規模の宿泊施設を運営することも可能です。
宿泊施設運営は、宿泊施設となる建物を見つけたり、改修したりする費用が必要なため、初期投資が数百万円必要となります。
その他、運営費用として家賃、融資への返済、光熱費といった費用も毎月かかるのです。
費用と労力はかかりますが、「田舎を訪れた人にくつろげる空間を提供したい」ならおすすめの仕事。
閑散期は収入が減るため、閑散期にできる仕事も持っておいた方が良いでしょう。
仕事5.カフェ・レストラン
飲食店経営の年収:200万円~400万円程度
田舎で次のような飲食店の経営も、必要な講習や資格を取得すれば、元会社員でも行いやすい仕事です。
- カフェ・コーヒー屋
- レストラン・定食屋
- パン屋・ケーキ屋(イートインできる場合)
田舎での経営だと、顧客層が地元の人か旅行者となります。
そのため移住先の人口や観光資源によって、収入も左右されるのです。
田舎で飲食店を開業したいなら、しっかり下調べしてから経営できるか判断しましょう。
仕事6.観光スタッフ
観光スタッフの年収:100万円~300万円程度
「移住した先で旅行者に魅力的な観光地を案内したい」という人もいるでしょう。
もし、「自分で観光をプランしたい」という人は、旅行業務取扱管理者といった資格が必要です。
「移住して観光に携わりたいけど、自分で店の経営は難しそう」という人は、観光スタッフがおすすめ。
自治体の観光スタッフ、地元でやっているアウトドアのスタッフといった仕事があります。
観光スタッフの求人は正社員やバイトなど契約形態が様々なため、どのような働き方をしたいか考えてから探しましょう。
仕事7.非常勤の公務員
非常勤の公務員の年収:160万程度
非常勤の公務員の時給:900円程度
田舎で公務員として働くこともできます。
非常勤職員なら、時給は安いですが、安定した職場で働けるのです。
正規以外の公務員には、臨時職員もあります。
臨時職員は副業が禁止されていることが多いため、複数の仕事をするなら非常勤職員になりましょう。
仕事8.介護職
介護職の年収:180万円~240万円程度
介護職の時給:1,000円程度
「移住後すぐに仕事がしたい」「福祉に興味がある」といった人は、介護職に就くことを目指しましょう。
介護職は非常に大変ですが、やりがいもある仕事です。
介護職は、仕事をしながら資格を取ることができるため、将来的にも役立つスキルを身に付けられます。
また、田舎は高齢化が顕著なため、介護職の求人は多いです。
移住後に福祉に携わりたいなら、介護職を見つけましょう。
仕事9.工場勤務
工場勤務の時給:1,000円程度
工場勤務は、安定した職業に就いて、田舎暮らしを満喫したい人におすすめです。
地方には工場が多いため、常にたくさんの求人があります。
さらに寮付きの工場なら、田舎での住まいも心配せずに移住できるのです。
「田舎で特にしたい仕事がない」「しっかり働いて、しっかり休みたい」といった人は、工場勤務の仕事を探しましょう。
仕事10.地域おこし協力隊
地域おこし協力隊の月給:15万円~20万円程度
地域おこし協力隊とは、1年~3年の間、自治体のもとで様々な仕事をして、地域を活性化させる仕事です。
農業や地域の情報発信、福祉やインストラクターなど自治体によって多くの種類の仕事があります。
地域おこし協力隊には、次のようなメリットがあります。
- 田舎に定住できるか判断できる
- 仕事内容やスキルを学べる
- 田舎で安定した給料を得られる
- 任期終了の翌年に起業すると、起業費用として100万円(上限)がもらえる
突然移住すると、田舎暮らしがイメージと違っていて、街に戻りたくなることがあります。
地域おこし協力隊で田舎に行けば、田舎暮らしが自分に合っていなくても、街に戻りやすいです。
田舎暮らしが自分にできるか心配な人は、地域おこし協力隊として働きながら田舎に定住できるか判断しましょう。
3.田舎での仕事を探す4つの方法
田舎での仕事を紹介しましたが、「どうやって仕事を見つければ良いの?」と疑問に思う人もいるでしょう。
田舎での仕事を探す方法は、次の4つがあります。
- ハローワーク
- 社員・バイト向け求人サイト
- フリーランス向け求人サイト
- ツテ
仕事探しの方法を順に詳しく確認しましょう。
方法1.ハローワーク
ハローワークを活用すると、田舎での求人を見つけられます。
ハローワークは、インターネットでの求人検索を活用しましょう。
移住先のハローワークに行って求人を見つけるよりも、手軽に求人を探せます。
フリーワードに「農業」などとキーワードを入力して検索すれば、希望に近い求人を検索可能です。
自営せずに雇用されて働きたいなら、ハローワークで求人検索してみましょう。
方法2.社員・バイト向け求人サイト
社員やバイトとして働きたいなら、ハローワーク以外にも求人サイトを利用しましょう。
田舎暮らしに向いた求人サイトには、次のようなサイトがあります。
サイト名 | 内容 |
Indeed | 社員からバイトまで、様々な職種の求人を探せます。 キーワードに「田舎」といった単語を入れて検索しましょう。 |
バイトルのふるさと求人 | バイトルが運営する地方の求人が掲載されているサイトです。 移住体験イベントや就業祝い金100万円など、気になる人は確認しましょう。 |
あぐりナビ | 全国の農業や畜産などの求人を検索できるサイトです。 専任アドバイザーへ就農・転職の電話相談が無料でできるため、田舎で一次産業に携わりたいなら、活用しましょう。 |
ローカルテラス | 地方の求人が非常に詳しく確認できるサイトです。 実際に働いている人の声や地域の雰囲気など、詳しく記事されているため、仕事のイメージを掴みやすいでしょう。 就業以外にも、事業承継や起業をしたい人に向けた求人もあります。 |
このようなサイトを活用し、田舎での仕事を見つけましょう。
方法3.フリーランス向け求人サイト
「自分で仕事をしたい」「ネットビジネスをしたい」という人は、フリーランス向けの求人サイトを利用しましょう。
フリーランス向けの求人サイトは、次のようなサイトがあります。
サイト名 | 内容 |
Indeed | 社員やバイト以外にも、フリーランスの求人も探せます。 キーワードに「フリーランス」といった単語を入れて検索しましょう。 |
ランサーズ | 在宅やリモートでできる仕事を探せるサイトです。 オンラインでのやりとりだけで完結する仕事も多数あるため、ネットビジネスを行いたい人は利用しましょう。 |
クラウドワークス | 在宅ワークを中心に仕事を探せるサイトです。 ランサーズと併用して利用すると、多くの仕事を見つけられます。 |
フリーランス向けの求人サイトなら、スキマ時間にできる仕事もたくさんあります。
時間が空いた時にできる仕事を見つけて、効率よく働きましょう。
方法4.ツテ
もし移住先に知り合いがいたり、知り合いに田舎のツテがあるなら、人脈を辿って仕事を見つけられる可能性があります。
友人、家族、同僚など、相談してみるとツテが見つかるかもしれません。
地方から出てきている人なら、地元の仕事情報を知っていることがあります。
まずは移住を考えていることを話し、仕事について相談してみましょう。
4.田舎暮らししたいなら仕事を見つけてから移住しよう
ここまで、スキルなしからでも田舎でできる仕事を紹介してきましたが、1つ気を付けたいことがあります。
それは、「移住してから仕事を探し始めると、仕事が見つからない可能性がある」ということです。
仕事がなければ、せっかく移住しても、すぐに生活が立ち行かなくなります。
そのため田舎暮らしで失敗したくないなら、仕事を見つけてから移住することです。
「したい仕事が見つからない!」という人は、とりあえず元の仕事をベースとした仕事を探しましょう。
5.田舎暮らしにおすすめ!移住に役立つ資格・講習
最後に、田舎暮らしで仕事の幅を拡げるために役立つ資格や講習を紹介します。
移住後は試験・講習会場が遠くなるため、移住前の取得・受講がおすすめです。
田舎暮らしで役立つ資格・講習は次の4つとなります。
- 自動車免許
- 食品衛生責任者など飲食系の資格
- 農業・林業に関する特別教育講習
- 介護福祉士
どのような資格・講習か順番に見ていきましょう。
資格・講習1.自動車免許
車の免許は、移住前に必ず取得しましょう。
田舎は、想像以上に車社会です。
車を運転できなければ、仕事にも就けません。
生活でも必要なため、車も購入することをおすすめします。
資格・講習2.食品衛生責任者など飲食系の資格
カフェなど飲食系の仕事をしたいなら、飲食関連の資格を取得しましょう。
飲食店経営は、「食品衛生責任者」と「防災管理者」の2つの資格が最低限必要です。
2つとも、講習を受講すると1日で取得できます。
講習の費用は、食品衛生責任者が1万円、防災管理者が5,500円(店舗が300平米未満)です。
必要と思われがちな調理師免許は、なくても飲食店を開業することができます。
田舎でレストランや居酒屋をするなら、移住前に「食品衛生責任者」と「防災管理者」の資格を取得しておきましょう。
資格・講習3.農業・林業に関する特別教育講習
田舎で農業や林業をするなら、農業関連の講習を受けておきましょう。
農業・林業関連で受講しておくべき講習には、次のようなものがあります。
- 刈払機取扱作業者に対する安全衛生教育
- チェーンソーによる伐木等特別教育
畑や庭の手入れをするために必要な草刈り機(刈払機)の講習は、1日程度で受講できます。
林業に必要なチェーンソーによる伐木等特別教育は、未経験者で3日程度かかる講習です。
草刈り機やチェーンソーは個人で使うなら講習は必要ありません。
しかし、安全に道具を使うためにも、メンテナンスや使い方を教えてくれる講習を受けといた方が良いでしょう。
資格・講習4.介護系の資格
介護系の資格があれば、全国どこに行っても仕事に困ることがありません。
介護系の資格は、介護福祉士という国家資格からレクリエーション介護士といった新しい資格まで様々です。
スキルなしから取得するなら、次の資格がおすすめ。
資格 | 内容 | 受験・受講料 |
介護職員初任者研修 | 介護職員としての入門資格 | 0円~10万円程度 (地域やスクールによる) |
介護福祉士実務者研修 | 介護職員初任者研修より実践的な資格 | 3万円~15万円程度 (保有資格、地域、スクールによる) |
介護事務 | 介護保険や経理業務など介護施設勤務に生かせる資格 | 6,500円~7,700円 (認定団体による) |
レクリエーション介護士2級 | 高齢者をコミュニケーションやレクリエーションで喜びを与えるスキルが身に付く資格 | 4万円程度 (スクールによる) |
介護職に興味があるなら、このような資格を取得すると役立つでしょう。
まとめ
元会社員でも、田舎で暮らしながらできる仕事はたくさんあります。
紹介した次のような仕事を参考に、まずは1つでも自分ができる仕事を探しましょう。
- 農業
- 自伐型林業
- ライターなどネットビジネス
- 民宿・ゲストハウス
- カフェ・レストラン
- 非常勤の公務員
- 介護職
- 工場勤務
- 地域おこし協力隊
田舎での仕事は、収入が都会より安いです。
そのため1つだけの仕事をするより、複数の仕事をすることをおすすめします。
様々な仕事を経験し、自分にぴったりの仕事を見つけて田舎暮らしを満喫しましょう。