「資産管理会社とは何か?」
とお調べですね。
不動産や株などの資産がある人は「資産管理会社を持つべき」と言われていますが、それはサラリーマンであっても同じです。
「なんだか難しそう…」と感じるかもしれません。
多くの人にとって会社設立は初めての経験になるので無理はありません。
しかし、サラリーマンでも資産管理会社を作ることでメリットが得られます。
節税に悩む人ほど知るべき内容ではないでしょうか。
この記事では、
- 資産管理会社のメリット・デメリット
- 資産管理会社を持つと有利になる人
- 資産管理会社3つの種類
- 資産管理会社設立の方法
を詳しく解説していきます。
節税に悩む方はぜひ参考にしてみてくださいね。
1.資産管理会社は資産を管理する会社法人
資産管理会社とは、不動産や株などの資産を管理する目的で設立される会社法人のことです。
「資産管理会社」は正式名称ではなく俗名であり、あくまで個人資産の管理が目的なので「プライベートカンパニー」と呼ばれることもあります。
「資産家が節税対策のために講じる策」というイメージを持っている方も多いです。
2.資産管理会社を持つと有利になる人
資産管理会社を設立することで、個人よりも経費化できる範囲が広くなるため結果的に節税効果が生まれます。
資産管理会社を持たずに損をするよりも、持った方が有利になる人は富裕層ばかりだけではありません。
給与以外の収入が増えたときの節税対策として、法人化すべきタイミングを見計らいましょう。
資産管理会社を持つと有利になる人は、大きく以下の4タイプの場合です。
- 不動産を持っている人
- 個人事業主
- 相続税の発生が見込まれる人
- サラリーマン
しかし、全ての人が有利になるわけでもありません。
収入などによっても変わります。
それぞれのタイプごとに詳しく見ていきましょう。
ケース1.不動産を持っている人
不動産収入が大きい人ほど節税効果を見込めます。
個人にかかる所得税は最低5%~最大45%と変動しますが、資産管理会社にかかる法人税は最大でも23%です。
所得税と法人税の違いは以下の通りです。
・個人の場合
課税される所得金額 | 税率 |
---|---|
195万円以下 | 5% |
195万円〜330万円 | 10% |
330万円〜695万円 | 20% |
695万円〜900万円 | 23% |
900万円〜1,800万円 | 33% |
1,800万円〜4,000万円 | 40% |
4,000万円超え | 45% |
・法人の場合
課税される所得金額 | 税率 |
---|---|
800万円以下 | 15% |
800万円以上 | 23% |
法人税より個人税が上回る「695万円~900万円…23%」「900万円~1,800万円…33%」から節税が見込め、資産管理会社の設立を検討すべきタイミングだと言えます。
ケース2.個人事業主
不動産収入ばかりではなく、お店をやっていたり株やFXなどから収入がある個人事業主にもメリットがあります。
配当所得や譲渡所得を資産管理会社の収入にすることで、個人では差し引けない必要経費としての計上が可能に。
例えば、株主総会への旅費交通費がそれに当たります。
また、自分や役員にした家族への報酬や退職金も必要経費として計上が行えるので、資産管理会社を設立した方が節税効果につながります。
ケース3.相続税の発生が見込まれる人
不動産を資産管理会社の資産としておくと、相続時にも節税効果があります。
個人で得ていた不動産収入を家族に役員報酬として支払った場合、最高55%まで贈与税の課税対象から外れます。
もし不動産オーナーである親が亡くなったとしても、相続資産は資産管理会社の株式として容易に分割できるので相続争いになりにくい効果も。
ただし相続財産を相続税評価額として計算できるのは設立後3年を経過していることが条件です。
自分の親に不動産収入がある場合は、早めに準備すべきと言えるでしょう。
ケース4.副業所得があるサラリーマン
資産管理会社を設立をしてメリットがあるのは、副業所得があるサラリーマンです。
本業以外の収入があるサラリーマンも、副業収入が一定のラインを超えてしまうと所得税が重くのしかかります。
法人化した方がいいタイミングは、が上回ったときです。
副収入の増加が見込まれるサラリーマンの方には、早めに節税対策を検討をおすすめします。
3.サラリーマンが資産管理会社を持つ4つのメリット
一般的なサラリーマンでも資産管理会社を持つメリットは大きく以下の4つです。
- 家族を役員にできる
- 減価償却費の調整ができる
- 役員の保険料を経費にできる
- 厚生年金に加入できる
不動産投資の規模が拡大した時にこそ法人化を検討しましょう。
資産管理会社を知らないままでは大きな損です。
サラリーマンだからこそのメリットが生まれます。資産運用をしっかりと行っていきましょう。
それでは、順番に解説していきます!
メリット1.家族を役員にできる
資産管理会社を設立をして法人化にすると、家族を役員にすることが可能になります。
これに伴い、代表取締役や役員に対しての退職金を積み立てることもできるので、節税対策として行うべきです。
役員報酬を支払う人数が増える分、所得分散の効果も高まるので家族にも仕事をしてもらうことを検討してみましょう。
役員報酬として支給することは、贈与税を支払うことなく財産を移転させることにもつながります。
相続対策として高いメリットが生まれるため、財産が多いほど早めの設立をおすすめします。
メリット2.減価償却費の調整ができる
減価償却とは、高額資産の取得費用を数年に分割して経費計上することです。
不動産の取得費用は高額経費になりますが、資産管理会社を設立しておいた方がより有利に調整ができるようになります。
個人の場合は決められた範囲内で計算しますが、法人になると範囲内なら自由に金額が決められるので黒字決済へと調整も可能に。
損失の繰り越しも個人の場合は3年間ですが、法人の方は9年間繰り越しができるようになります。
メリット3.役員の保険料を経費にできる
法人化することで、より多くの人の保険料を経費にできます。
個人の場合は、生命保険や個人年金保険、介護医療保険それぞれ年間4万円までの上限が設けられています。
法人化の場合は、12万円という上限はありません。
保険の種類によって計上できる金額は異なりますが、役員の生命保険も経費に計上できるようになります。
個人よりも法人の方が経費にできる範囲が広がるのは、大きな強みとなるはずです。
メリット4.厚生年金に加入できる
法人化にするメリットとして、もれなく厚生年金保険への加入がついてきます。
国民年金より手厚いため、加入を望む家族がいれば喜ばれる方が多いです。
ただ、サラリーマンの場合は2重に厚生年金に加入することになるので、今勤めている会社への影響も懸念しなければなりません。
副業がバレることを避けるなら、自分以外の妻などを代表者にして自分は役員報酬を受け取らないなどの対処を取る必要があります。
4.サラリーマンが資産管理会社を持つ4つのデメリット
資産管理会社を持つことはメリットばかりではありません。
以下のように4つの見逃せないデメリットがあります。
- 事務的負担が増える
- 社会保険料の負担
- 毎年7万円の住民税の支払い義務
- 就業規則に引っかかる
節税効果は高いですが、法人化させたときのコストが発生します。
忙しいサラリーマンだからこそ、資産管理会社を持ったときの負担をあらかじめ把握しておきましょう。
デメリット1.事務的負担が増える
資産管理会社を設立すると、会社を維持させるための事務的負担が増えてしまいます。
これは忙しいサラリーマンとして辛いところです。
本業の仕事をこなしながら経理事務も行わなければならず、役員の人数分手続きが増えていきます。
時間が取れず、経理の知識がない人ほど税理士へ依頼を検討しましょう。
デメリット2.社会保険料の負担
資産管理会社を設立すると厚生年金などに加入できるメリットがある分、社会保険料を半分負担しなければなりません。
社員の人数が多いほど負担も増えることになるので、あらかじめ把握しておく必要があります。
デメリット3.毎年7万円の住民税の支払い義務
資産管理会社として法人化をすると住民税の支払い義務が発生します。
その年が赤字決済であっても、最低7万円のコストがかかるのはデメリットです。
デメリット4.就業規則に引っかかる
サラリーマンとして気がかりになるのが「副業がバレないか」ではないでしょうか。
先ほども述べたように、報酬を受け取ると社会保険への加入義務が発生します。
会社を設立したことは副業となる可能性が高まり、「副業禁止」の就業規則に引っかかる可能性も。
サラリーマンを続けながら資産管理会社を維持することは可能なのか、あらかじめよく確認しておくべきです。
5.資産管理会社を作る目安の所得は「年間900万円」
資産管理会社を設立する目安は、年間所得900万円のラインを超えたときです。
年間所得が900万円を超えると所得税率が33%に到達しますが、法人化をすれば23.2%まで下げることができます。
ここで目安にするのは年収ではなく年間所得なので間違えないようにしましょう。
所得が900万円を超えたら、サラリーマンでも法人化を検討すべきと言えます。
6.資産管理会社の2つの形態(株式会社と合同会社)
資産管理会社を設立する際には、「株式会社」と「合同会社」の2つの法人形態から選べます。
とくに理由がなければ、低コストの合同会社を選ぶのが一般的です。
合同会社を選ぶことで、設立金額を約10万ほど安くすることができます。
株式会社と違う点は、出資者と経営者が同一人物であるところですが、影響を与えることはありません。
7.資産管理会社の3つの種類
資産管理会社の運営形態は大きく分けて以下の3つの種類に分類されます。
- 直接保有型
- 管理委託型
- 転貸型
種類ごとに運用方法に違いがあります。
自身に合う節税効果の高い種類を選びましょう。
種類1.直接保有型
資産管理会社を設立する人の多くが「直接保有型」を選んでいます。
その理由は、得られる節税効果が高いからです。
直接保有型は家賃収入を法人の収入とし、オーナーは役員報酬として受け取ることで節税効果を生み出せます。
資産管理会社に不動産を保有させて不動産収入を一括管理させた方が、最も節税効果が高いのです。
種類2.管理委託型
管理委託型とは、テナントや物件の管理費を収入とするタイプです。
管理費は賃料の5%程度にとどまるため、物件保有戸数が多くなければ節税効果はさほど見込めないでしょう。
法人としての収入がコスト割れする可能性もあり、管理費を上げた場合は税務調査で否認されやすいデメリットもあります。
種類3.転貸型
転貸(サブリース)型とは、個人が保有する収益物件を資産管理会社が借り上げる仕組みです。
借主が資産管理会社となるため賃貸割合が100%になるので、相続税の評価を上げるメリットがあります。
所得を個人と法人に分散できるので節税効果がありますが、まれに「不当に減少させた行為」と税務調査で否認されることもあるのは見逃せない点です。
8.資産管理会社を設立するまでの流れ
ここからは、資産管理会社を設立するまでの流れを解説します。
「会社を作るなんて大変なんじゃないか?」とイメージするものですが、意外とあっさりと手続きは終わるものです。
以下の3つのステップで、資産管理会社は設立できます。
- 社名を決める
- 下準備を行う
- 書類を役所に提出する
どのように手続きをするのかぜひ参考にしてください。
STEP1.社名を決める
まず決めておくべきものが「社名」です。
社名のルールに従い「○○株式会社」または「株式会社○○」と名前を決めておきましょう。
STEP2.下準備を行う
会社設立のために用意しておくことがいくつかあるので、順に確認していきましょう。
会社の基本情報を決める
まずは会社としての基本情報を決めておきます。
- 本店所在地・・・自宅でも可
- 出資者と役員・・・(自分、家族や親族など)
- 出資金額・・・1円からでOK
- 出資者は自分、役員は家族や親族という要領であらかじめ決めておきます。
- 決算月・・・設立から1年以内
法人用の印鑑を用意する
書類に押すための法人用の印鑑は次の3つです。
- 代表印
- 角印
- 銀行印
定款を作成
定款(ていかん)とは、会社の基本的規則のことです。
事業内容に記入する文言を決めておきしょう。
資本金を振り込む
資本金を発起人名義の口座に振込みます。
1円の出資金でも構いません。
振込みをした際の通帳のコピーを法務局へ提出するために用意しましょう。
会社設立費用を用意する
資産管理会社を設立するための費用を用意します。
株式会社、合同会社それぞれ用意する書類と費用は以下の通りです。
(株式会社の場合)20~24万円程度
定款認証の公証人手数料 | 5万円 |
---|---|
登録免許税 | 15万円 |
定款印紙代 | 4万円 |
定款、登記簿の謄本手数料 | 別途数千円 |
(合同会社の場合)6~10万円程度
登録免許税 | 6万円 |
---|---|
定款印紙代 | 4万円 |
定款、登記簿の謄本手数料 | 別途数千円 |
STEP3.書類を役所に提出する
以下の必要な書類を揃えたら、所在地にある法務局へ登記申請を行います。
- 法人設立届書(定款コピー、株主名簿、設立時貸借対照表を添付)
- 青色申告承認申請書
- 給与支払事務所等の開設届出書
- 事業開始の届出
提出を終えれば手続きは完了し、無事に自分の資産管理会社が設立されたことになります。
まとめ
ある一定の所得収入を得たときには、資産管理会社を設立をするとメリットが得られることがお分かりいただけたかと思います。
たとえサラリーマンでも副業による所得収入が増えると節税効果を得ることができます。
デメリットについて十分に理解した上で上手に活用してください。