「日本家屋風にしたいけど、どんな特徴やメリットがあるのか知りたい!」
「日本家屋の間取りを採用したらデメリットはあるの?」
など、日本家屋風の家づくりをするにあたり、疑問や不安を抱えている方は多いです。
日本家屋の間取りを採用するメリットやデメリットを知らないと、遥かに予算をオーバーする可能性があります。
また、収納スペースの少なさや光熱費の高さに困ってしまうでしょう。
特徴やメリット・デメリットを把握しておけば、家づくりを具体的に進めることが可能です。
ここでは、日本家屋の間取りの特徴やメリット・デメリットなどについて、紹介しています。
この記事を読むことで、日本家屋の間取りへの理解が深まり、家づくりを進めやすくなりますのでぜひ、参考にしてください。
1.日本家屋とは
日本の昔ながらの家を、日本家屋と言います。
江戸時代などにある古い家のことです。
古くから継がれる伝統的な間取りになっていて、先人たちの知恵や工夫が宿っているのが特徴となっています。
広さを事由に変えられる間取りや縁側、格子戸など、日本家屋の特徴は多いです。
そのため、現代の家でも、日本家屋の間取りや特徴を取り入れている物件は少なくありません。
2.日本家屋間取りの特徴9つ
日本家屋の間取りの特徴を知れば、現代の住まいに、取り入れられているものが多いことに気づきます。
縁側や床の間、引き戸や土間など、日本家屋の特徴はデザイン性や機能性が高く、魅力的なものが多いです。
ここでは、日本家屋の間取りの主な特徴について見ていきましょう。
以下は、9つの特徴です。
- 縁側がある
- 床の間がある
- 書院がある
- 床は畳が主流である
- ふすまで間取りを変えられる
- 引き戸がある
- 土間がある
- 田の字型
- 坪庭・中庭がある
1つずつ、内容を紹介していきます。
特徴1.縁側がある
日本家屋の間取りで特徴と言えるのが、縁側があることです。
縁側とは、和室から張り出した板張りで、室内と屋外をつなげる中間領域となります。
座ってキレイな庭や星空を見たり、友人や知人とお茶を飲みながらコミュニケーションをとることができる、憩いの場です。
また、縁側を覆う軒が夏の日差しをカットし、過ごしやすい室内温度の実現にもつながります。
縁側があることは、日本家屋の間取りの特徴です。
特徴2.床の間がある
床の間があるのも、日本家屋の間取りの特徴です。
床の間とは、和室の一角にある床を一段高くしたスペースになります。
掛け軸や生け花などを飾ることが多いです。
なかには、床の間を収納スペースとして使っているケースもあります。
床の間は、現代の家でも取り入れられることも。
日本家屋の間取りと聞いて、床の間を思い浮かべる人も少なくありません。
特徴3.書院がある
書院があるのも、日本家屋の間取りの特徴と言えます。
書院とは、床の間の横にある障子窓の座敷飾りです。
昔は手紙を書いたり読書をするスペースでしたが、様式化して現在の形になっています。
書院と床の間はセットとして考えられており、書院があることで明かりが入りやすく、雰囲気も良くなるのが特徴です。
日本家屋の間取りの特徴として、書院があることも把握しておきましょう。
特徴4.床は畳が主流である
日本家屋の間取りの特徴として、床は畳が主流である点も挙げられます。
現代の住まいのように、フローリングや敷物があるわけではありません。
床が畳なので、気軽に寝転んだり飛び跳ねたりできますし、子供が転んでもクッション性があるため安心です。
また、畳独特の香りがあって、人に癒やしを与えてくれます。
床は畳が主流で、室内を落ち着いた雰囲気にできるのも、日本家屋の間取りの特徴です。
特徴5.ふすまで間取りを変えられる
ふすまで間取りを変えられる点も、日本家屋の間取りの特徴と言えるでしょう。
現代の住宅は部屋間が壁や扉で仕切られていますが、日本家屋はふすまで区切られています。
そのため、用途に応じてふすまを開閉すれば部屋の広さや間取りを大きく変えることができます。
親戚が大勢来るような場合も、ふすまをすべて開けて大広間として利用できるため安心です。
自在に間取りを変更できる点も、日本家屋の間取りの特徴になります。
特徴6.引き戸がある
引き戸がある点も、日本家屋の特徴と言えます。
引き戸であれば、ドアのように開けるスペースが必要ありません。
そのため、家具・家電を配置しやすく間取りの自由度も高くなります。
可変性のある住まいを実現でき、将来ライフスタイルが変化したときも対応がしやすいです。
日本家屋の間取りの特徴として、引き戸がある点も覚えておきましょう。
特徴7.土間がある
「土間」も日本家屋の間取りの特徴になります。
古い家には、室内と屋外をつなぐ空間として、玄関土間が設けられていました。
日本人は靴を脱ぐ習慣があり、農作業道具なども置けるためです。
現代でも土間を取り入れている新築物件は決して少なくありません。
モダンな日本家屋風ので、土間部分にはベビーカーや自転車などを置いていることが多いです。
土間を設置することで、玄関の機能性が格段に高くなります。
日本家屋の特徴として、土間を真っ先に思い浮かべる人も多いでしょう。
特徴8.田の字型
田の字型の間取りも、日本家屋の特徴です。
田の字型とは、4つの部屋が「田」の字になるように並んでいる間取りになります。
部屋間はふすまで仕切られているため、二間続きにしたり、すべてを1つの間として使用することも可能です。
各室に収納スペースを設けづらいこともあり、現代の家で田の字型にするケースは多くはありません。
田の字型間取りは、日本家屋の特徴と言えるつくりになります。
特徴9.坪庭・中庭がある
坪庭や中庭があるのも日本家屋の間取りの1つです。
坪庭とは、住まいの中心に造られる小さな庭になります。
景色を楽しめるだけでなく、採光や通気が良くなるのが特徴です。
家の中から自然を鑑賞でき、開放的になります。
現代の家でも坪庭を取り入れることはできますが、かなり高い値段になります。
坪庭や中庭があり、四季の移ろいを身近で感じられるのも日本家屋の間取りの特徴と言えます。
3.日本家屋の間取りにする8つのメリット
ここで紹介するメリットを知れば、日本家屋の魅力がわかるはずです。
また、多くの人が日本家屋の間取りを取り入れる理由も掴めるでしょう。
以下は、日本家屋の間取りにする8つのメリットです。
- ほとんどの部屋が外に面している
- ふすまの開け閉めで部屋の広さが変わる
- 優れた調湿機能で過ごしやすい
- 障子で光を調節できる
- 縁側から素敵な庭が見える
- 耐久性が高い
- 通気性が良い
- 自然素材が多く心地よい
それぞれのメリットについて、確認していきましょう。
メリット1.ほとんどの部屋が外に面している
ほとんどの部屋が外に面していることは、日本家屋の間取りのメリットです。
日本家屋は、廊下が建物の内側にあるのではなく外周にあります。
そのためほとんどの部屋が外に面しており、採光や通気が良いのが特徴です。
夏は涼しく冬は暖かく、快適に過ごせます。
換気が良く、有害物質の発生を抑制できるため、小さい子供がいる場合も安心です。
どの部屋も開放的で景色を楽しむことができます。
日本家屋の間取りにするメリットとして、ほとんどの部屋が外に面することが挙げられるでしょう。
メリット2.ふすまの開け閉めで部屋の広さが変わる
日本家屋の間取りにするメリットの1つが、ふすまの開け閉めで部屋の広さが変えられる点です。
現代の家は、扉や壁で区切られるため、開閉によって部屋の広さや間取りを変えることはできません。
ふすまであれば、普段は6畳の2部屋であっても、ふすまを開けて12畳の大広間にすることができます。
来客がある場合だけでなく、昼と夜で使い方を変えるなど、用途やライフスタイルに合わせて自在に変更できるのがメリットです。
日本家屋の間取りを取り入れることで、可変性の高い住まいを実現できます。
メリット3.優れた調湿機能で過ごしやすい
調湿機能が優れていて過ごしやすい点も、日本家屋の間取りにするメリットです。
日本家屋は、建物の大部分に使われる木材、畳のイ草、土壁をはじめとした塗り壁など、随所に調湿機能が優れた材料が用いられています。
夏場は湿気を吸収し、冬場は湿気を放出するため、1年を通して快適な室内環境を保つことが可能です。
調湿機能が優れた家とそうでない家とでは、夏や冬の快適さが大きく変わります。
優れた調湿機能のおかげで快適に過ごせることは、日本家屋の間取りを取り入れるメリットと言えるでしょう。
メリット4.障子で光を調節できる
障子で光を調節できるのも、日本家屋の間取りを取り入れるメリットになります。
現代の家では、光の調節はカーテンで行うのが一般的です。
しかし、日本家屋であれば障子で光調節ができるため、カーテンが必要ありません。
遮光性の高いカーテンを閉めると、日中でも室内が真っ暗になってしまいます。
障子であればやわらかい光を室内に取り入れることができ、一定の明るさを保つことが可能です。
カーテンの購入費や維持費が必要なく、直射日光を防ぎ、ほどよい明るさを実現できるのが日本家屋の良い点と言えるでしょう。
メリット5.縁側から素敵な庭が見える
日本家屋の間取りにするメリットとして、縁側から素敵な庭が見えることが挙げられます。
庭に楓や椿などがあれば、四季折々の景色を、縁側から楽しめるのが魅力です。
友人や知人とお茶をしながら鑑賞するだけでなく、子供と一緒に寝転がって庭の変化を楽しむのもいいでしょう。
縁側から素敵な庭が見えるのは日本家屋ならではのメリットと言えます。
メリット6.耐久性が高い
耐久性が高いことも、日本家屋の間取りにするメリットです。
日本家屋の大部分には木材が使用されています。
歴史的な建築物など、木材で建てられた建物は耐久性が高いです。
そのため、長年良好な状態を維持している建物がたくさんあります。
日本家屋は、木材でできているため耐久性が高く、長く品質・性能を維持することができます。
その結果、安心・安全な生活を送ることができると言えるでしょう。
メリット7.通気性が良い
日本家屋の間取りにするメリットとして、通気性が良いこともあります。
外周に廊下があり、ほとんどの部屋が外に面しているためです。
通気性が非常に良いため、室内に湿気が溜まるのを防ぎ、建物が劣化しづらくなります。
カビの発生を防ぎ、常に新鮮な空気を取り入れることができるため、快適な毎日を送ることができるでしょう。
反対に、通気性が悪い家に住むと、すぐにカビが発生したり、どんよりとした空気が溜まるため、居心地がとても悪いものです。
日本家屋は通気性が良く、建物にも住民にもメリットがあります。
メリット8.自然素材が多く心地よい
自然素材が多く心地よいのも、日本家屋の間取りにするメリットと言えるでしょう。
日本家屋には、木材や畳が多く使われており、木やイ草の温もりや香りを感じながら生活ができるためです。
木の精油成分はフィトンチッドが主で、リラックス効果や殺菌効果が期待できます。
つまり、心身がリフレッシュできる森林浴のような爽快感を、毎日味わうことが可能です。
日本家屋は自然素材が豊富に使われているため、心地よい生活を送れることがメリットになります。
4.日本家屋の間取りにするデメリット8つ
日本家屋のメリットだけでなく、デメリットも知ることで、採用する間取りを決めやすくなります。
また、事前にデメリットを知っていれば効率よく対処することも可能です。
以下は、日本家屋の間取りにするデメリット8つになります。
- 家を建てるのに広い敷地が必要
- 建築費用が高い
- インテリアも和風でないと合わない
- 光熱費が高くなる可能性がある
- 収納スペースが少ない
- 縁側などは使わなくなった時に困る
- 耐震性に不安がある
- プライバシーを確保しづらい
1つずつ、確認していきましょう。
デメリット1.家を建てるのに広い敷地が必要
日本家屋の間取りにするデメリットの1つが、家を建てるのに広い敷地が必要なことです。
日本家屋は、開口部(外に開かれた部分)が大きいこともあり、耐力壁や柱が設置しづらい構造になっています。
そのため、平屋であることが多いです。
平屋で2階建て相当の床面積にするとなれば、家を建てるのに広い敷地が必要になります。
広い敷地を確保するには、立地や予算など、さまざま制限があるでしょう。
家を建てるのに広い敷地が必要なのは、日本家屋の間取りにするデメリットです。
デメリット2..建築費用が高い
建築費用が高いことも、日本家屋の間取りにするデメリットです。
一部分であればいいですが、すべてを当時の日本家屋のようにするのであれば、多額の建築費用がかかってしまいます。
使用する建材自体のコストが高い上に、熟練した技術を持つ職人に依頼しなくてはいけないためです。
随所に日本家屋の間取りを取り入れたい場合は、ある程度の予算を覚悟しましょう。
デメリット3.インテリアも和風でないと合わない
日本家屋の間取りを採用した場合、インテリアも和風でないと合わないのがデメリットです。
すべてにおいて和の雰囲気が漂う日本家屋に、洋風のインテリアを配置しても浮いてしまいます。
室内空間とインテリア、どちらも良さを出すことができないでしょう。
日本家屋の間取りを採用するのであれば、相性が良い和の家具を揃えるべきです。
そうすることで、より室内の雰囲気が良いものになるでしょう。
デメリット4.光熱費が高くなる可能性がある
光熱費が高くなる可能性がある点も、日本家屋の間取りを採用するデメリットになります。
日本家屋は、断熱材が入らない真壁な上、開放的で広々としているためです。
そのため、夏と冬は光熱費が高くなる可能性があります。
日本家屋の間取りを一部分しか取り入れない場合はいいですが、随所に採用する場合は注意しましょう。
光熱費が高くなることで家計が圧迫され、ローン返済が難しくなることもありえます。
デメリット5.収納スペースが少ない
収納スペースが少ないことも、日本家屋のデメリットです。
日本家屋の間取りの特徴でもある田の字型は、ふすまの開閉によって広さを自在に変えられる点が魅力です。
しかし、各間に収納スペースがあるわけではなく、あっても押入れのみになります。
押入れだけでは収納が足りませんし、洋服をハンガー掛けすることもできません。
部屋は広いですが、収納スペースが少ないことは日本家屋の間取りのデメリットです。
荷物を減らすか、タンスなどの収納家具を多く設置する必要があります。
デメリット6.縁側は使わなくなった時に困る
縁側が不要になった場合に使い道がないことも、日本家屋の間取りにするデメリットです。
使用する時は憩いの場として活躍しますが、不要になれば何に使うこともありません。
また、定期的に修繕やメンテナンスをしないと、腐ってボロボロになってしまいます。
縁側だけでなく、坪庭なども同様です。
鑑賞に興味がなくなったら、デッドスペースになってしまいます。
使わなくなった時に困る箇所が多いことも理解しておきましょう。
デメリット7.耐震性に不安がある
日本家屋の間取りにするデメリットとして、耐震性に不安があることです。
耐力壁や柱が多く配置できず、木材が中心で、屋根には重い瓦が使用されているため、現代の家ほど耐震性は優れていません。
地震に弱いわけではありませんが、大地震が発生した場合には心配です。
完全に日本家屋の家を建てる場合は、信頼できる不動産会社や建築会社に依頼をしましょう。
デメリット8.プライバシーを確保しづらい
プライバシーを確保しづらい点も、日本家屋のデメリットと言えるでしょう。
ほとんどの部屋が外に面しており、カーテンが設置できないこともあります。
すべて現代風の日本家屋であれば大丈夫ですが、そうでない場合は心配です。
日本家屋の間取りを採用する場合、プライバシーの点で心配がないか、事前打ち合わせで確認をしましょう。
5.日本家屋の間取り以外の4つの特徴
ここで紹介する間取り以外の特徴を知ることで、日本家屋の良さをさらに理解することができるでしょう。
いずれも、和の雰囲気を感じられる、日本家屋ならではの特徴です。
以下4つの特徴を把握し、家づくりに採用するかどうか判断をしましょう。
- 目隠し格子戸
- 日本瓦
- 漆喰塗りと鎧張りの壁
- 木がふんだんに使われている
それでは、1つずつ特徴を紹介していきます。
特徴1.目隠し格子戸
日本家屋には、目隠し格子戸が用いられていることが多いです。
目隠し格子戸があることで、大きな窓でも外からの視線を程よく遮ることができます。
見た目もオシャレであり、和の雰囲気を感じられるのが魅力です。
日本家屋の間取り以外の特徴である、目隠し格子戸も取り入れてみましょう。
特徴2.日本瓦
日本家屋の屋根材には、瓦が用いられています。
瓦は、防火性や防音性が高いだけでなく、断熱性や耐久性も優れており、長く家を守ってくれるのが特徴です。
瓦は重量が重いこともあり、現代の家では出番が少なくなりました。
しかし、日本家屋風の家づくりをするのであれば、最もマッチする屋根材になります。
日本瓦が使用されているのも、日本家屋の特徴です。
特徴3.漆喰塗りと鎧張りの壁
漆喰塗りと鎧張りの壁も、古き日本家屋の間取り以外の特徴と言えるでしょう。
現在では見られることは少なくなりましたが、昔は漆喰塗りと鎧張りの壁は、あたりまえのものでした。
どちらも年月が経つにつれ味が出て、雰囲気が良くなる点が魅力です。
現在は採用されることが少ないが故に、漆喰塗りと鎧張りの壁にすれば、より物件の魅力が引き立つことでしょう。
日本家屋の間取り以外の特徴として、漆喰塗りと鎧張りの壁があることを覚えておいてください。
特徴4.木がふんだんに使われている
木がふんだんに使われているのも、日本家屋の間取り以外の特徴です。
日本家屋は、ほとんどの部分に木材を使用しています。
木材ならではの香りや温もりを感じられるのは、他の家では味わえない魅力と言えるでしょう。
木材は健康にも良く、シックハウス症候群を防ぐ効果も期待できるため、小さい子供がいる家庭も安心です。
木がふんだんに使われていることは、日本家屋の大きな特徴と言えます。
まとめ
ここでは、日本家屋の間取りの特徴やメリット・デメリットなどについて紹介しました。
最後にもう1度、ここで紹介した重要な4つのポイントをおさらいしますね。
- 縁側や床の間、書院など、日本家屋の間取りはどれも魅力的
- 間取りの可変性が高く、調湿機能や通気性が優れいているため快適な生活ができる
- 収納スペースが少なく建築費用が高いなど、デメリットも考え採用間取りを決める
- 技術の進捗によって、当時の日本家屋のデメリットは解消できるものが多い
日本家屋の間取りを取り入れたいと考えている方は、ここで紹介した内容を、参考にしてください。
そして、早速不動産会社を選んで、イメージを具体化させていきましょう。